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ジェンダー予算(Gender Budgeting)とは|男女共同参画政策を財政から変える仕組みと日本の現状【2026年版】

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日々の生活を支える公共サービス——保育所の整備、介護施設の充実、育児休業制度の財源——これらはすべて国や自治体の「予算」によって動いています。では、その予算の配分がジェンダー(社会的・文化的に形成された性別。生物学的性別=セックスと区別される概念)の観点から分析されていないとしたら、どうなるでしょうか。表面上「性別を問わない」として設計された予算が、実際には特定の性別に不利に働くことがある——この問題意識から生まれたのが「ジェンダー予算(Gender Budgeting)」という考え方です。

ジェンダー予算とは、政府や自治体の財政運営にジェンダー平等の視点を組み込み、予算の策定・実施・評価の各段階で「誰がどのような影響を受けるか」を性別の観点から分析するアプローチです。1984年にオーストラリアで初めて国家レベルで導入され、現在ではOECD加盟国の半数以上が何らかの形で実践しています。一方、日本では第5次男女共同参画基本計画(2020年)でEBPM(証拠に基づく政策立案)の推進が明示されるなど基盤整備が進みつつある一方、制度的な組み込みには課題が多く残されています。

この記事では、ジェンダー予算の基本概念から国際事例・日本の現状・残された課題まで、2026年時点の情報をもとに体系的に解説します。第5次・第6次男女共同参画基本計画との関係、EBPMとの接点、主要国の手法比較、自治体レベルの取り組みについても整理します。企業の人事担当者、自治体の男女共同参画推進員、法学・政策学を学ぶ方々、そして公共政策とジェンダーの交差点に関心をお持ちの方に広く参考にしていただける内容です。

目次

ジェンダー予算(Gender Budgeting)とは何か

定義と基本的な考え方

ジェンダー予算(Gender Budgeting)とは、政府・自治体が行う財政活動——予算の編成、執行、評価——のすべての段階において、ジェンダー平等の視点を組み込む政策手法です。「男性用予算」と「女性用予算」を別々に設けることではなく、既存の予算配分が男女(あるいは多様な性自認・性的指向を持つ人々)にどのような異なる影響を与えるかを分析し、その結果をもとに政策を改善することを目的としています。

欧州評議会(Council of Europe)は、ジェンダー予算を「ジェンダー平等を達成することを目的として、予算プロセス(計画立案・分析・システマチックな評価)にジェンダーの視点を導入する一種のジェンダー主流化」と定義しています。ジェンダー主流化(Gender Mainstreaming:社会のあらゆる分野・政策にジェンダー視点を組み込む考え方)の財政版といえる概念です。

ジェンダー予算が問題提起する核心は、「中立に見える制度が実は中立ではない」という点にあります。社会の中にはすでに性別に基づく役割分業や経済格差が存在しており、その現実を無視して同一ルールを適用しても、不平等が温存・固定化される可能性があります。財政政策もこの構造的課題から切り離せない領域です。

「性別中立」と「性別適切」の違い

ジェンダー予算の実践において核心となる概念が、「性別中立(gender-neutral)」と「性別適切(gender-responsive)」の区別です。

性別中立な予算とは、表面上は性別を問わず平等に扱うように見えるものの、社会的・経済的不平等の出発点が異なることを考慮しないアプローチです。一方、性別適切な予算は、ジェンダー格差の実態を踏まえ、実質的な平等が達成されるよう配分を調整するアプローチです。

たとえば、公共交通機関への補助金が主にフルタイム通勤者向けの運行スケジュールを前提とする場合、育児や介護によって非定型の移動パターンを持ちやすい人々が実質的に恩恵を受けにくい状況が生まれます。これは意図的な差別ではなく、設計上の盲点です。ジェンダー予算的なアプローチは、こうした盲点を「見える化」することを目指します。

この考え方は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第4条が掲げる「社会における制度または慣行についての配慮」——社会的な仕組みが性別役割分業を固定化しないよう留意すること——の精神とも重なります。財政運営もまた、この基本理念の適用対象となりうる分野と考えられています。

ジェンダー予算が必要とされる背景

財政支出がジェンダー格差に与える影響

ジェンダー格差は、収入・資産・就業形態・職種など多くの側面で存在しています。内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 令和5年版(2023年)」によれば、女性の非正規雇用比率(2022年)は54.4%であるのに対し、男性は22.2%にとどまっています。また、民間企業のフルタイム正社員の平均賃金を男女で比較すると、女性は男性の約74%の水準にあります(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2022年)。

こうした格差がある状況では、財政政策の受益者の性別分布を把握することが、政策の効果を正確に評価するうえで不可欠です。たとえば、主に高所得者に有利に働く減税措置は、所得水準が平均的に低い傾向にある人々への恩恵が相対的に小さくなる可能性があります。一方、医療・保育・介護といった社会サービスへの公共投資は、これらのサービスを必要としやすい人々に対してより大きなプラスの影響をもたらすことが、国際的な研究で示されています。

財政政策が「誰に届くか」を性別・属性の観点から検証することは、限られた公的資源を最大限に活かすための効率性の問題でもあり、公正性(equality)だけでなく衡平性(equity:出発点の違いを踏まえた公平さ)の観点からも重要とされています。

無償ケア労働と公共投資の関係

ジェンダー予算の議論において中心的なテーマの一つが、無償ケア労働(アンペイドワーク:家事・育児・介護・地域活動など、賃金を伴わない労働)と公共サービスの関係です。

日本の総務省「社会生活基本調査(2021年)」によれば、有業者の場合でも、女性が1日に費やす家事関連時間(育児・介護を含む)は男性と比較してはるかに多く、無償ケア労働の負担に偏りがある実態が示されています。世界的に見ても、国連データでは女性が男性の約3倍の無償ケア労働を担っているとされています(UN Women, “Progress on the Sustainable Development Goals”, 2023)。

公共の保育所・介護施設が不足したり、関連サービスが削減されると、その「穴埋め」は家庭内の無償労働として吸収されることが多く、就労を制限・断念せざるを得ない状況が生まれやすくなります。逆に、保育・介護サービスを拡充する公共投資は、家庭内のケア負担を軽減し、就労参加を促進する効果が期待されます。IMF(国際通貨基金)も「社会サービスへの公共投資はジェンダー平等と経済成長の両立に貢献する」という分析を示しており(IMF Working Paper, “Women, Work, and the Economy”, 2013)、ジェンダー予算的なアプローチの経済的合理性を裏付ける議論として国際的に参照されています。

インターセクショナリティ(交差性)という視点

ジェンダー予算の現代的な展開として注目されるのが、インターセクショナリティ(交差性:性別・年齢・民族・障害の有無・経済的地位などの複数の社会的属性が交差して生じる複合的不平等)の観点です。

たとえば、シングルマザー・外国籍の女性・障害のある女性は、「性別による不平等」と「属性による不平等」が複合的に重なります。こうした複合的な不利益を見落とさないためには、性別統計だけでなく、年齢・世帯構成・国籍・障害などのクロス集計データが必要です。カナダの「GBA+(Gender-Based Analysis Plus)」が「+」として複数の属性を分析対象に加えているのは、このインターセクショナリティへの対応です。ジェンダー予算は、多様な当事者を「見える化」する基盤としての意義も持っています。

国際的な取り組みとOECDの推進状況

オーストラリアからはじまったジェンダー予算

ジェンダー予算の先駆的な実践国として広く知られるのがオーストラリアです。1984年、ホーク労働党政権のもとで「Women’s Budget Statement(女性予算報告書)」が導入されました。これは各省庁の予算が女性に与える影響を毎年分析し、報告書にまとめることを義務づける仕組みで、世界で初めてジェンダー予算を国家レベルで制度化した事例とされています。

この取り組みは1990年代後半に一時縮小しましたが、2014年以降に復活し、現在はオーストラリア財務省が毎年「Women’s Budget Statement」を公表しています。財政政策が女性の経済的参加・安全・健康・キャリアに与える影響を数値で示す内容となっており、国際的なジェンダー予算実践のベンチマークとなっています。

OECDの推進と主要国の取り組み

OECDは2016年以降、「Recommendation on Gender Budgeting(ジェンダー予算推奨)」の枠組みのもと、加盟国にジェンダー予算の導入を促しています。2021年の調査では、OECD加盟国の56%が何らかのジェンダー予算的措置を導入していることが確認されました(OECD, “Gender Budgeting Practices Across OECD Countries”, 2021)。

カナダでは1995年に政府全体の政策評価にジェンダー分析を義務づける「GBA+(Gender-Based Analysis Plus)」を導入し、2018年からは予算文書に全省庁の取り組みを記載することが義務化されました。フランスとオーストリアは予算文書の一部として「ジェンダー予算報告書」を毎年公表しており、スウェーデンは国家予算の全分野にジェンダー統計を組み込む包括的なアプローチを採用しています。また、オーストリアは連邦財政法(Bundeshaushaltsgesetz)にジェンダー平等を財政運営の原則として明記するという、憲法的な根拠を持つ先進的な制度を整えています。

SDGs目標5との接続

SDGs(持続可能な開発目標)の目標5は「ジェンダー平等の達成と全ての女性・少女のエンパワーメント」を掲げており、財政を通じたジェンダー平等の実現が国際的な目標の一部となっています。具体的には、家族計画・教育・社会的保護・農業などの分野への「ジェンダー配慮型支出」がモニタリング指標の一つとして位置づけられています。

日本はSDGs推進本部(本部長:内閣総理大臣)を設置し、2030年に向けた取り組みを進めています。しかし、ジェンダー予算に関する具体的な数値目標の設定には至っておらず、「財政面でのジェンダー主流化」に関する国際的なコミットメントと実施状況のギャップを指摘する声もあります。

手法名 主な内容 主な実施国・機関 日本での現状
女性予算報告書 各省庁の予算が女性に与える影響を毎年報告書にまとめ公表する オーストラリア(1984年~) 未導入
ジェンダー影響評価(GBA+) 予算案・政策案が多様な性別・属性に与える影響を事前に評価する カナダ(1995年~) 一部自治体で試行的実施
受益者評価分析 公共支出の受益者を性別・年齢等で分析し「誰が使っているか」を可視化する スウェーデン、英国 部分的に実施
ジェンダー意識的予算報告 予算文書・決算書にジェンダー影響をセクションとして明記する フランス、オーストリア 未導入
ジェンダー統計の政策活用 性別分離統計を政策・予算立案に体系的に活用するシステムを構築する OECDほぼ全加盟国 整備途上
表1:ジェンダー予算の主要手法と各国・日本の実施状況(OECD資料をもとに作成)

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日本の現状と男女共同参画計画での位置づけ

第5次・第6次男女共同参画基本計画での扱い

男女共同参画基本計画は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第13条に基づき、内閣府が策定する政府全体の行動計画です。同条は国に対し、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画」を定めることを義務づけています。

第5次男女共同参画基本計画(2020年12月閣議決定)では、「EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の推進」が横断的課題として初めて明示的に位置づけられました。性別統計(ジェンダー統計)の充実と活用が、政策立案・評価の基盤として認識されるようになったことは、ジェンダー予算的な考え方の土台が少しずつ整いつつあることを示しています。

第6次男女共同参画基本計画(2025年度改定版)の策定作業(内閣府男女共同参画局関係会議、2024年)では、「ジェンダー主流化」の財政的実践について議論が行われました。2025年度末に閣議決定が予定される第6次計画において、ジェンダー予算に関する記述がどのような形でなされるかが、政策関係者・研究者の間で注目されています。

EBPM(証拠に基づく政策立案)との接続

EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)とは、政策の立案・実施・評価において、データや統計などの証拠(エビデンス)を系統的に活用するアプローチです。日本では2017年の経済財政諮問会議での議論を機に行政改革の一環として推進が始まり、各省庁での導入が進んでいます。

ジェンダー予算を実質的に機能させるためには、まず「性別に分けられたデータ(性別統計)」が整備されていることが前提となります。性別統計(Gender Statistics)とは、性別ごとに集計・分析された統計データのことで、政策の受益者が実際に誰であるかを可視化するための基盤です。

内閣府は「男女共同参画統計データベース」を運用し、雇用・賃金・意思決定参画・無償労働時間などのデータを公表しています。しかし、予算評価との体系的な接続は限定的な状況にあります。各省庁の政策評価書に性別分析が系統的に組み込まれているとは言えず、EBPMとジェンダー統計をつなぐ制度的な仕組みの構築が課題として指摘されています。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

ジェンダー予算の実施に直接・間接的に関係する法令・計画の主な変遷は以下のとおりです。

  • 2007年: 第2次男女共同参画基本計画の改定施策が推進される。ジェンダー統計の整備が課題として認識され始める。
  • 2010年: 第3次男女共同参画基本計画閣議決定。「統計・調査の整備」が重点課題として明示される。
  • 2015年: 女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、平成27年法律第64号)成立。企業に女性活躍推進行動計画の策定・公表を義務づけ(対象は301人以上の事業主から段階的に拡大)。
  • 2019年: 女性活躍推進法改正。対象を101人以上の事業主に拡大し、情報公表義務を強化。男女間賃金格差データの開示が広がる。
  • 2020年: 第5次男女共同参画基本計画閣議決定。EBPMの推進とジェンダー統計整備を横断課題として初めて明示。
  • 2022年: 育児・介護休業法(平成3年法律第76号)改正施行。男性育休(産後パパ育休)の創設。育休取得率の企業公表義務化が2023年4月から始まる。
  • 2023年: こども家庭庁設置。少子化・子育て支援の財政と政策を一元化。公共サービスへのジェンダー視点での投資評価の重要性が増大する。
  • 2025年(予定): 第6次男女共同参画基本計画改定。ジェンダー主流化の財政的実践についての記述の有無が注目される。

議論の現在地

ジェンダー予算の導入をめぐっては、推進を支持する立場と慎重論・懐疑的な立場の両方から議論が展開されています。どちらも男女共同参画政策の実効性を真剣に考える立場からの意見であり、一方的に結論づけることは適切ではありません。

推進派の主な主張
ジェンダー格差を是正するためには、政策の意図だけでなく財政的な裏付けが不可欠であるという認識が広がっています。OECDの分析では、ジェンダー予算の実施が政策効果の向上・資源配分の効率化に資することが示されており、SDGsの国際的コミットメントを果たすためにも財政面でのジェンダー主流化は避けられないという主張があります。また、無償ケア労働を社会的に評価・可視化することで、福祉政策の実効性が高まり、長期的には税収増にも貢献しうるという経済的合理性を指摘する立場もあります。

慎重派・懐疑的な立場の主な主張
「性別によって予算を振り分ける」という誤解が生じやすく、ジェンダー予算の正確な意味の説明と丁寧な制度設計が必要という点が指摘されています。また、分析・報告の行政負担が増大し、特に財政的に厳しい地方自治体では対応困難になる懸念もあります。さらに、「男性向け」「女性向け」という区分を強調しすぎることで、かえって性別二元論(社会が男性と女性の二項対立で構成されるという前提)を強化する危険があるという批判もあります。

残された課題

2026年時点で日本が直面する主な課題は、以下の3点に整理できます。

第一に、性別統計の不整備です。行政統計の多くが性別区分を持たないか、集計・公表が不十分なため、政策評価のためのエビデンスが不足しています。内閣府の男女共同参画統計は整備が進んでいますが、省庁横断的な体系化には至っていません。

第二に、財政制度との接続の欠如です。財政法(昭和22年法律第34号)をはじめとする財政制度の根拠法にはジェンダー配慮に関する明文規定がなく、制度的な導入には法的整備または行政運用上の工夫が求められます。財政制度の根幹にジェンダー平等の原則を明記したオーストリアの事例は、日本の今後の議論に示唆を与えています。

第三に、担い手の育成不足です。予算編成部門にジェンダー分析の専門知識を持つ人材が少なく、内閣府・財務省・自治体ともに専門人材の確保が課題として指摘されています。海外ではOECDやUN Womenが担い手育成プログラムを提供していますが、日本ではまだ組織的な取り組みが限定的です。

ジェンダー予算の主要手法と自治体の取り組み

国際比較:カナダのGBA+が示す可能性

カナダが採用する「GBA+(Gender-Based Analysis Plus)」は、性別だけでなく年齢・民族・障害の有無・性的指向・性自認など複数の属性(インターセクショナリティ)を考慮した包括的な政策評価手法として、国際的に高く評価されています。カナダ財務省の年間予算文書には、主要施策ごとにGBA+に基づく分析結果が記載されており、「この政策が最も影響を与えるのは誰か」という問いへの回答が示されています。

欧州では、欧州議会がジェンダー予算の実施をEU加盟国に勧告しており、欧州委員会もジェンダー主流化の財政的実践に関するガイドラインを公表しています。フランスでは国家予算法案に「ジェンダー予算別添文書(Document de politique transversale)」を添付することが法定されており、各省庁の施策がジェンダー平等にどう貢献するかを明示する仕組みが整えられています。

日本の自治体レベルでの試み

国レベルの制度的導入が遅れる一方、一部の自治体では独自の取り組みが進んでいます。東京都は「東京都男女平等参画推進総合計画(2022年度改定)」において、施策の進捗を性別ごとに評価する指標体系を設けています。また、神戸市・大阪市などの政令市でも、事業評価にジェンダーの視点を取り入れる試みが見られます。

一方、これらの取り組みは各自治体の判断に委ねられており、国としての統一基準はありません。人口規模の小さな自治体では専門人材の確保が困難なため、取り組みの格差が顕著です。男女共同参画センターを核にした自治体内の連携強化と、国による技術支援・情報共有の仕組みが求められています。また、内閣府が提供する「男女共同参画施策担当者研修」の充実を求める声も、地方自治体関係者から上がっています。

公的相談窓口と参考情報

ジェンダー予算・男女共同参画政策に関する情報収集や相談の際に参考となる公的機関を紹介します。

  • 内閣府男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/): 男女共同参画基本計画・ジェンダー統計データ・ジェンダー主流化に関する情報を公表しています。
  • 各都道府県・市区町村の男女共同参画センター: 地域の推進員との連携や条例・自治体計画に関する相談窓口です。
  • 法テラス(日本司法支援センター): 電話0570-078374(ナビダイヤル)。男女共同参画・ジェンダーに関連する法律問題について、弁護士紹介や情報提供を行っています。
  • DV相談ナビ(#8008): ドメスティック・バイオレンス(DV)に関する相談窓口を案内します。

具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

まとめ

ジェンダー予算(Gender Budgeting)は、財政という国家・自治体の根幹的な機能にジェンダー平等の視点を組み込む政策手法です。「男女共同参画社会の実現」という目標は、法律の制定や啓発活動だけでは達成できず、それを裏打ちする財政的な仕組みが不可欠であるという認識が、国際社会では広く共有されるようになっています。

日本では第5次男女共同参画基本計画でのEBPM推進を皮切りに、少しずつ基盤が整いつつあります。しかし、性別統計の不整備、財政制度への正式な組み込みの欠如、担い手育成の遅れという3つの課題が残されており、2026年時点でも主要先進国と比較して後れを取っている状況です。

男女共同参画政策がより実質的な成果を上げるためには、政策の「意図」だけでなく「財源」にも目を向けることが重要です。第6次男女共同参画基本計画(2025年度改定予定)や今後の国会審議において、ジェンダー予算的アプローチがどのように位置づけられるかは、引き続き注視すべきテーマです。法律・政策の文脈でジェンダー平等を考える際、財政の視点は避けて通れない領域となっています。

よくある質問(FAQ)

Q. ジェンダー予算とは何ですか?
男性用・女性用と予算を分けることではなく、既存の予算配分が男女や多様な性自認を持つ人々にどのような異なる影響を与えるかを分析し、その結果をもとに政策・予算を改善するアプローチです。「性別適切な財政運営」とも呼ばれます。
Q. 日本でジェンダー予算は制度化されていますか?
国レベルの正式な制度化はまだ進んでいませんが、第5次男女共同参画基本計画(2020年)でEBPM(証拠に基づく政策立案)の推進とジェンダー統計整備が横断課題として明示されました。一部の自治体では試行的な取り組みが始まっています。
Q. ジェンダー予算を最初に導入した国はどこですか?
オーストラリアです。1984年にホーク労働党政権が「Women’s Budget Statement(女性予算報告書)」を導入し、各省庁の予算が女性に与える影響を毎年報告書にまとめることを義務づけました。現在もオーストラリア財務省が同文書を毎年公表しています。
Q. ジェンダー予算と無償ケア労働はどのように関係しますか?
公共の保育・介護サービスへの財政支出は、これらのサービスが削減された場合に家庭内の無償労働として肩代わりする人々への影響と直接結びついています。ジェンダー予算は無償ケア労働の性別分布を踏まえて公共サービスへの投資効果を評価するため、ケア労働の可視化と一体の議論です。
Q. 第6次男女共同参画基本計画とジェンダー予算はどのような関係がありますか?
2025年度に閣議決定が予定される第6次基本計画の策定過程では、ジェンダー主流化の財政的実践についての議論が行われました。どのような形で記述されるかが注目されていますが、2026年時点では制度的組み込みには至っていません。
Q. ジェンダー予算に批判的な意見はありますか?
「性別で予算を振り分ける」という誤解が生じやすいこと、行政負担の増大、性別二元論を強化する懸念などが指摘されています。推進論・慎重論ともに政策の実効性を真剣に考える立場からの議論であり、丁寧な制度設計と対話が求められています。

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