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DV・性暴力被害統計|内閣府調査で見る日本の実態データ【2026年版】

日本では、配偶者や交際相手からの暴力(DV)・性暴力・ストーキング被害が、どれほどの規模で起きているのか。この問いに答えるとき、わたしたちは公的機関が実施する統計調査に依拠するほかありません。内閣府の「男女間における暴力に関する調査」、警察庁の「ストーカー事案等の概況」、法務省の「犯罪白書」——これらのデータは、被害の実態を社会全体で共有し、法整備・支援体制の拡充につなげるための基盤となっています。

複数の調査を通じて繰り返し確認されてきた事実があります。配偶者から何らかの暴力を経験したことのある女性の割合は、調査のたびに約4人に1人前後という数値が示されており、決して例外的な事象ではありません。しかし、被害を警察や相談機関に申し出た人はその中の一部にとどまります。「誰にも相談しなかった」と回答する被害者が過半数を占めるという結果は、統計に表れている件数があくまでも「氷山の一角」であることを示しています。

本記事では、内閣府・警察庁・法務省・国連機関などの公的統計データを横断的に整理し、DV・性暴力・ストーキング被害の現状を体系的に解説します。2007年以降に進んだ主な法改正の経緯、現在の議論の焦点、そして残された構造的課題についても中立的な立場から整理します。対象読者は、企業の人事担当者・相談窓口担当者、社会福祉士・相談員、学術研究者・行政の政策立案担当者、および被害統計を学習目的で参照したい学生・市民のみなさまです。

目次

DV・性暴力統計を読む前に知っておくべき「調査の基本」

内閣府「男女間における暴力に関する調査」の概要

内閣府男女共同参画局は、おおむね3年ごとに「男女間における暴力に関する調査」を実施しています。この調査は、配偶者・交際相手からの暴力(DV)のほか、性暴力・性的ハラスメントについての経験を幅広く尋ねるもので、全国の18歳以上の男女を対象とした無作為抽出による郵送調査方式が採られています。2022年度(令和4年度)の最新調査まで、概ね継続して実施されており、調査結果は内閣府男女共同参画局のウェブサイト(https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h29_bouryoku_chousa.html 等)で公開されています。

この調査の目的は「被害の実態把握」であり、刑事統計が捉えられない「届け出なかった被害」も含めて可視化することにあります。設問は「身体的暴力」「精神的暴力(怒鳴る・脅す・無視するなどの行為)」「性的強要」「経済的圧迫」「社会的隔離」の各類型に対応しており、深刻度(命の危険を感じた、怪我をした、など)についても尋ねています。男女共同参画基本計画の達成状況評価にも用いられる重要な政策エビデンスです。

警察庁・法務省統計と内閣府調査の違い

内閣府調査が「被害経験の有無」を本人への聞き取りで把握する「被害者調査(victimization survey)」であるのに対し、警察庁の統計は「相談件数・認知件数・検挙件数」という行政側の実績数値です。配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は内閣府がとりまとめ、刑法犯としての性犯罪認知件数や検挙件数は警察庁・法務省が集計します。これら二種類の統計は性格が根本的に異なり、数値を比較する際には調査方法・定義の違いを理解したうえで解釈することが必要です。

特に重要なのは、警察統計に表れる数値は「被害者が警察に届け出て、警察が事件として認知した件数」であるという点です。内閣府調査で把握される被害経験者数との差が「暗数(あんすう)(表面化していない被害件数)」として論じられることがあります。暗数は被害統計の解釈において中心的な概念であり、数値が低いことが「被害が少ない」を意味しないことを理解する必要があります。

被害統計が示す「氷山の一角」問題

内閣府調査では、配偶者からの暴力を経験した女性のうち、「被害を警察に相談した」と回答した割合は数%程度にとどまることが繰り返し示されています。また「誰にも相談しなかった」割合も相当高い水準で確認されています。相談しなかった理由として多く挙げられるのは、「相談するほどのことではないと思った」「自分さえ我慢すればよいと思った」「恥ずかしくて誰にも言えなかった」などです。

これらの理由の背景には、複数の構造的要因があると分析されています。第一に、暴力をDVとして認識しにくい問題(「けんかは夫婦の問題」という意識、心理的暴力・経済的暴力の認識困難さ)、第二に、相談先へのアクセスに関する情報不足、第三に、経済的依存や子どもへの影響を恐れた「離脱困難」の構造、第四に、報復・報復的支配への恐怖、が挙げられます。いずれも被害者個人の問題ではなく、社会的・制度的な課題として理解することが重要です。

配偶者からの暴力(DV)の被害統計

DV被害経験率の推移(2000年代~2026年)

内閣府が2001年以降に継続実施してきた「男女間における暴力に関する調査」では、配偶者から「身体的暴力」「精神的暴力」「経済的暴力」「性的暴力」のいずれかを経験した女性の割合が、おおむね20%台後半から30%台前半の範囲で計上されてきました。最新の令和4年度(2022年度)調査においても、この水準は大きく変化しておらず、配偶者等からの何らかの暴力被害が女性の「約4人に1人」に相当する割合で継続的に確認されています。

また、男性の被害についても同調査で把握されており、女性よりは低い割合ながら、一定数の男性被害者が存在することが数値として示されています。「DV被害は女性のみ」ではないことをデータは示していますが、深刻な被害・命の危険を感じた経験・性的暴力の被害は、女性に著しく集中する傾向があることも同時に示されています。これらのデータは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法、最終改正:2023年施行)の制度設計の根拠の一つとなっています。

暴力の類型別・深刻度別データ

内閣府調査では、暴力の種類を詳細な類型に分けて集計しています。「身体的暴力」単独よりも、「心理的攻撃」(怒鳴る・脅す・ものを投げる・無視するなど)を経験したことがある割合の方が高く出る傾向があります。これは、DV被害の中心が身体的暴力に限らず、精神的・心理的な支配を含む複合的な暴力であることを示しています。

深刻度別の設問では、「命の危険を感じた」と回答した割合も確認されており、暴力が「けんか」や「しつけ」の範疇を超え、生命に関わるレベルの問題として発生していることがデータとして示されています。また、経済的圧迫(生活費を渡さない・仕事を制限するなど)や社会的隔離(外出・人間関係を制限するなど)は身体的暴力と組み合わせて行われることが多く、複数の暴力類型の重複が「支配」のパターンを形成することが指摘されています。

相談行動の実態——「誰にも相談しなかった」の割合

令和4年度調査でも過去調査と同様に、被害経験者のうち「誰にも相談しなかった」と回答した割合が相当な水準で確認されています。相談先として最も多いのは「家族・親族」「友人・知人」といったインフォーマルなネットワークであり、配偶者暴力相談支援センターや警察への相談はごく一部にとどまります。

一方、警察庁が公表する配偶者間暴力に関する相談件数は年々増加しており、2022年度には12万件を超える水準に達しています。これは2000年代初頭と比較すると数倍の増加であり、DV防止法の周知・普及や相談体制の整備が一定程度進んだことを反映していると考えられます。ただし、相談件数の増加が「被害の増加」を直接意味するのか、「潜在被害の顕在化」を意味するのかは、被害者調査と行政統計を組み合わせて慎重に分析する必要があります。

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性暴力・ストーキング被害の統計データ

性犯罪認知件数の推移と「暗数」問題

警察庁が公表する性犯罪認知件数は、被害者が警察に届け出た(または警察が把握した)事案のみを集計します。内閣府が2020年度(令和2年度)に実施した「性暴力被害の実態に関する調査」によれば、無理やりに性交等をされた経験がある女性のうち、警察に届け出た割合は数%程度にとどまるとされています。大多数の被害が刑事統計に計上されていないことが、この調査から確認されます。

2023年7月施行の刑法改正(刑法第176条以下の不同意わいせつ罪・不同意性交等罪への改正)により、被害者が訴えやすくなったことで認知件数の変化が生じていると見られており、改正後のデータは継続的なモニタリングの対象となっています。また、2023年に制定された性的姿態等撮影処罰法(撮影罪)により、盗撮行為・わいせつ画像の無断撮影・送付・保管等が一元的に規制対象となり、新たな統計カテゴリが設けられています。

被害者と加害者の関係性データ

内閣府の性暴力被害調査では、被害者と加害者の関係性についても集計されています。顔見知り(元交際相手・配偶者・知人・職場関係者など)による被害が相当な割合を占めており、見知らぬ他人による「通り魔的」被害は全体の中の一部にとどまることが繰り返し確認されています。

こうしたデータは、性犯罪の加害者が見知らぬ人だという社会的なイメージが実態と乖離していることを示しています。関係性のある人物からの被害は、証拠化・相談・届け出が困難になりやすく、被害者自身が「被害だと気づきにくい」ケースや「信じてもらえないと感じて相談を躊躇する」ケースが多いことが、支援現場からも指摘されています。これが暗数を増やす要因の一つとして分析されています。

ストーキング相談件数と被害者の性別構成

警察庁が公表する「ストーカー事案等の概況」によれば、ストーキングに関する相談件数は2000年のストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)施行以降、増加傾向が続いており、近年は年間約2万件前後で推移しています。被害者の性別は女性が大多数を占め、8割前後が女性被害者という傾向が継続しています。

加害者は元交際相手・配偶者・知人が多数を占め、親密な関係の解消後にストーキング行為が発生するパターンが全体の相当割合を占めるとされています。2021年改正(最終改正:2023年5月施行)ではGPS機器を用いた位置情報の無承諾取得、拒否後の文書送付等が規制対象に追加されており、デジタル化・巧妙化したストーキング行為への対応が強化されました。ストーキングがDVや交際相手からの暴力と密接に連動していることを示すデータとして、加害者との関係性が「元恋人・元配偶者」である割合が継続して高い水準にあることが挙げられます。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

DV・性暴力・ストーキング分野では、2007年以降に多数の法改正・新法が制定されました。主な動きを時系列で整理します。

  • DV防止法改正(2013年): 生活の本拠を共にする交際相手を保護対象に追加。保護命令の対象行為を拡大(DV防止法第1条第2項、第10条改正)。
  • ストーカー規制法改正(2013年・2016年・2021年・2023年): SNSを通じたつきまとい等の追加(2013)、禁止命令制度の拡充(2016)、GPS機器による位置情報取得の規制(2021)、文書送付等の追加(2023)と段階的に強化。
  • DV防止法改正(2019年): 生活の本拠を共にする関係に準ずる関係(学生同士のルームシェア等)への適用を明確化。第三者機関への情報提供スキームを整備。
  • DV防止法改正(2023年): 精神的暴力・自由の侵害行為を保護命令の対象に追加(DV防止法第10条改正)。被害者が相談支援センターを経由せず直接申し立てできるケースを整備。同年施行。
  • 性犯罪刑法改正(2023年): 「強制性交等罪」を「不同意性交等罪」(刑法第177条)に改称。「暴行・脅迫」要件を廃止し、「同意なき性的行為」を包括的に規定。地位関係性(年齢差・権力差)を要件として明記。2023年7月施行。
  • 性的姿態等撮影処罰法(撮影罪)制定(2023年): 盗撮・わいせつ画像の撮影・提供・保管等を一元的に規制。同年施行。

議論の現在地

法改正が相次ぐ一方で、現在も議論が続いているポイントが複数あります。

「不同意」の立証困難さと運用の実態について、2023年刑法改正後、不同意性交等罪の運用が注視されています。被告側が「合意があった」と主張するケースで「同意の不存在」をいかに立証するかという実務的課題は、捜査・訴追段階での対応に依拠しており、被害者支援団体は被害届受理率・不起訴率の継続的な開示を求めています。制度の実効性を肯定的に評価する声がある一方、「依然として被害届を提出するハードルが高い」とする指摘も継続しています。

二次被害(secondary victimization)防止については、捜査や司法手続きの過程で被害者が傷つく二次被害が繰り返し問題提起されてきました。2023年の法改正に合わせて性犯罪被害者サポート弁護士制度が強化されましたが、全国一律での対応実現には課題が残るとされています。賛否ある点としては、捜査手法の見直しや被害者聴取方法の標準化をめぐる議論が継続しています。

男性・LGBTQ+被害者の統計把握については、現在の公的統計が女性被害者を中心に設計されており、男性被害者やLGBTQ+当事者の被害実態の十分な把握が課題とされています。調査設計の見直しを求める声が学術界・支援団体から上がっており、今後の調査手法のあり方が問われています。

残された課題

統計・制度整備の両面で、依然として解決されていない課題が山積しています。

第一に暗数解消のための相談促進です。被害を経験しながら相談・届け出をしない割合が高止まりしており、広報・教育・アウトリーチ・ワンストップ支援センターの充実が継続的な政策課題となっています。第二に統計の一元化とEBPM(証拠に基づく政策立案)の強化です。内閣府・警察庁・法務省・厚生労働省・こども家庭庁などが別個のデータを管理しており、省庁横断的なエビデンス統合が求められています。第三に司法統計の透明化です。性犯罪の被害届受理率・起訴率・有罪率を継続的に公開し、制度の実効性を外部から検証できる体制整備が求められています。第四に加害者更生プログラムの充実です。再犯防止の観点から加害者への介入プログラムの法制化・普及を求める議論が進んでおり、韓国・欧州諸国の制度を参考にした制度設計が検討されています。

国際比較で見る日本のDV・性暴力被害統計

WHO・UN Womenの国際統計との比較

世界保健機関(WHO)が2021年に発表した推計では、世界全体で15歳以上の女性の約27%(およそ4人に1人)が、親密なパートナーからの身体的・性的暴力を生涯に少なくとも1度は経験したことがあるとされています。この数値は日本の内閣府調査の結果と概ね同水準であり、日本の被害率が国際的に突出して低い・高いというわけではないことを示しています。ただし、調査手法・質問文・対象年齢・暴力の定義が各国で異なるため、単純な国際比較には慎重さが求められます。

UN Women(国連女性機関)のグローバルデータでは、女性への暴力(VAW:Violence Against Women)を人権侵害として位置づけ、各国政府に対して統計整備と政策対応を求めています。日本は国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)から複数回の勧告を受けており、被害者統計の整備と支援体制の充実が求められてきた経緯があります。

欧州先進国との比較と解釈上の注意点

欧州では、欧州基本権機関(FRA)が2014年に27加盟国を対象としたEU全体調査を実施しており、パートナーからの身体的・性的暴力の生涯被害率は33%という結果でした。日本の数値は概ねこの水準と近い範囲にあります。しかし、相談率・通報率は欧州先進国の方が高い傾向があり、「被害は同様に発生しているが、日本では相談・通報への壁が依然として高い可能性がある」と分析する研究者がいる一方、「文化・法制度・相談インフラの差異があるため単純な比較は困難」とする見解も存在します。

比較項目 日本(内閣府調査等) EU全体(FRA 2014) 解釈上の注意点
配偶者等からの身体的・性的暴力の生涯被害率(女性) 約25%前後(内閣府調査各年) 33%(FRA 2014) 調査方法・定義が異なるため直接比較に注意が必要
被害を警察に届け出た割合 数%程度(内閣府調査) EU平均:約14%(FRA推計) 日本は届け出率が低い傾向が指摘されている
「誰にも相談しなかった」割合 過半数(内閣府調査各年) EU平均:約30~40%(FRA) 日本は非相談率が高水準で推移している
不同意性交等の暗数推計(届け出率の逆数) 届け出率数%(内閣府2020年度) 国により異なるが10%台が多い 質問設計・調査対象年齢等で変わるため参考値として扱う
DV相談件数の動向 年間約19万件(配偶者暴力相談支援センター、2022年度) 各国個別集計(比較統計なし) 制度・窓口整備の状況で件数が変動する
DV・性暴力被害統計の日本・国際比較(出典:内閣府男女共同参画局、FRA 2014、WHO 2021をもとに編集部作成)

相談・支援機関の利用統計

配偶者暴力相談支援センターの相談件数推移

都道府県が設置する配偶者暴力相談支援センターは、DV防止法第3条第3項に基づく機関です。内閣府が毎年集計する全国の相談件数は、2001年のDV防止法施行直後の数千件から、2022年度には約19万件へと増加しています。この増加は、制度の周知・認知度向上、相談窓口数の拡充、DVに対する社会的認識の変化を反映していると考えられています。ただし、件数増加の背景には「被害の顕在化(潜在被害が表面化した)」と「被害の実数増加」の両方の要素が絡んでいる可能性があり、単純に「被害が増えた」とは解釈できないことに留意が必要です。

相談者の性別は女性が圧倒的多数を占めていますが、男性相談者も一定数存在することが毎年確認されています。同センターへの相談をきっかけに一時保護や法的手続きにつながるケースも増加しており、支援の入口としての機能が強化されています。

一時保護所・法テラスの利用実態

配偶者暴力相談支援センターには一時保護機能を備える施設もあり、一時保護所への入所件数も公表されています。厚生労働省の集計によれば、女性相談センター(旧称:婦人相談センター)への入所者のうち、DVを理由とするものが相当割合を占めています。一方で、一時保護所のキャパシティ・受入れ条件(同伴できる子どもの年齢制限等)が支援の障壁となるケースも指摘されており、民間シェルターとの連携強化が課題として挙げられています。

法的支援の面では、日本司法支援センター(法テラス)がDV被害者に対する弁護士費用の立替制度(審査免除制度)を設けており、収入・資産に関わらず弁護士相談・費用立替を受けられる仕組みが整備されています。利用件数は年々増加傾向にありますが、制度を知らないことやワンストップ窓口とのつながりの難しさが依然として課題として挙げられています。具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

公的相談窓口

  • DV相談ナビ(#8008): 「#8008」(ハレレバ)をダイヤルすると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに自動的につながる全国共通ナビダイヤルです。24時間対応の機関も含まれます。
  • DV相談+(内閣府): メール・SNS・電話での相談を24時間受け付ける内閣府事業。外国語対応も可能(https://soudanplus.jp/)。
  • 性犯罪被害相談電話(#8103): 「#8103」(ハートさん)で最寄りの都道府県警察の性犯罪被害相談電話に接続されます。被害届の提出に限らず、相談のみの利用も可能です。
  • よりそいホットライン(0120-279-338): 24時間対応、DV・性暴力・生活困窮・LGBTQ+など幅広い相談に対応します。
  • 法テラス(0570-078374): 法的手続きや弁護士費用に関する情報提供・費用立替審査を行う国の機関です。DV被害者向けの審査免除制度があります。

まとめ

本記事では、内閣府・警察庁・法務省・国際機関の公的統計をもとに、日本のDV・性暴力・ストーキング被害の実態データを体系的に整理しました。

内閣府調査が繰り返し示しているのは、配偶者等からの暴力は「特殊な家庭」だけの問題ではなく、女性の約4人に1人が何らかの被害を経験しているという現実です。しかし、被害を警察や相談機関に届け出る割合は依然として低く、被害の多くが「暗数」として表面化しないまま推移しています。この構図は日本固有の問題ではなく国際的にも共通する課題ですが、日本では相談率・届け出率が欧州先進国と比較して低い水準にあることが指摘されています。

2007年以降の法改正(DV防止法の保護命令対象拡大・精神的暴力の追加、不同意性交等罪の創設、ストーカー規制の段階的強化)は、被害者保護の法的基盤を着実に強化してきました。一方で、暗数の解消・統計の一元化・司法手続きにおける二次被害防止・男性やLGBTQ+被害者への対応・加害者更生プログラムの整備など、課題は依然として山積しています。

統計データは単なる数字ではなく、被害者一人ひとりの経験の積み重ねです。数値の背景にある実態と課題を社会全体で共有し、支援体制と法制度の継続的な改善につなげていくことが求められます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 日本でDV被害を経験した女性の割合はどのくらいですか?
内閣府「男女間における暴力に関する調査」(令和4年度)によれば、配偶者から何らかの暴力を経験したことが「ある」と回答した女性の割合は、おおむね4人に1人前後の水準が複数回の調査を通じて継続して確認されています。
Q2. 被害を経験した女性の多くが警察や相談機関に届け出ないのはなぜですか?
内閣府調査では「相談するほどのことではないと思った」「自分にも原因があると思った」「恥ずかしくて誰にも言えなかった」といった理由が多く挙げられています。暴力をDVと認識しにくいこと、経済的依存、報復への恐怖、相談先の情報不足なども構造的な要因として分析されています。
Q3. DV被害統計でいう「暗数」とはどういう意味ですか?
「暗数(あんすう)」とは、実際に発生している犯罪・被害のうち、警察や行政の統計に計上されない件数を指します。DV・性暴力分野では被害届や相談件数が実際の被害件数を大幅に下回ることが内閣府の被害者調査で繰り返し確認されており、統計数値はあくまでも「氷山の一角」と考えられています。
Q4. 2023年の刑法改正で性犯罪の規定はどのように変わりましたか?
2023年7月施行の刑法改正で、「強制性交等罪」が「不同意性交等罪」(刑法第177条)に改称されました。「暴行・脅迫」がなくても「同意のない性的行為」として処罰される類型が整理され、年齢差・権力差(地位関係性)による影響も規定に明記されています。「暴行・脅迫」要件の廃止により、より幅広い被害態様が保護対象となりました。
Q5. ストーキング被害の相談はどこにすればよいですか?
警察の相談窓口(最寄りの警察署または「#9110」で都道府県警察本部の相談窓口に接続)へ相談できます。身の危険を感じる場合は「110番」が優先されます。よりそいホットライン(0120-279-338)でも24時間相談に対応しています。ストーカー規制法第13条に基づく警告・禁止命令の申請も警察を通じて行えます。
Q6. 配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は増えていますか?
増加傾向が続いており、2022年度の全国合計は約19万件に達しています。2001年のDV防止法施行当初と比較すると数倍規模に増加しています。ただし、この増加が「被害の実数増加」を意味するのか「潜在被害の顕在化」を意味するのかは、被害者調査と行政統計を組み合わせて慎重に分析する必要があります。

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