MENU

婚姻費用とは|別居中・離婚前の生活費請求と算定表の読み方【2026年版】

※本記事には広告(PR)が含まれます。

婚姻費用という言葉を、夫婦間でトラブルが生じたとき初めて耳にする方は少なくありません。別居や離婚に向けた話し合いが始まると、「生活費はどうなるのか」「相手が支払ってくれない場合はどうすればいいのか」という切実な疑問が浮かびます。婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある間に互いに分担すべき生活費のことで、民法(最終改正:2024年5月施行)に明確な根拠があります。

本記事では、婚姻費用の法的定義・算定方法・請求手続き・不払い時の対応策から、2024年の民法改正や男女共同参画の視点から見た現代的論点まで、2026年時点の最新情報をもとに体系的に解説します。「離婚前の生活費をどう確保すればいいのかわからない」という方、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害を受けながら別居を検討している方、人事・法務担当として家族法を学ぼうとしている方に向けて整理しました。婚姻費用の仕組みを理解することは、経済的に不利な立場に置かれた配偶者が法的権利を正しく行使するための第一歩となります。

目次

婚姻費用とはなにか|法的定義と対象範囲

婚姻費用(こんいんひよう)とは、夫婦が婚姻中に共同生活を維持するために必要な一切の費用のことです。衣食住の費用のほか、医療費・教育費・交際費なども含まれます。婚姻費用の根拠は民法にあり、どちらか一方の収入が多い場合でも、双方が応分の負担を担う仕組みになっています。

民法第760条の定め

民法第760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定しています。この条文が婚姻費用分担義務(ふようぎむ)の根拠です。分担の割合は当事者の合意によって定めるのが原則であり、合意ができない場合は家庭裁判所が判断します。

婚姻費用の分担義務は、婚姻関係が継続している間は消えません。別居中であっても、法律上の婚姻関係が解消される(離婚が成立または婚姻が取り消される)まで、義務は続きます。これは、経済的に不利な立場に置かれた配偶者を法的に保護する仕組みとして機能しています。

婚姻費用に含まれるもの・含まれないもの

婚姻費用に含まれる主な項目は次のとおりです。

  • 食費・住居費・光熱水道費などの日常生活費
  • 衣料費・日用品費
  • 医療費(権利者本人および子どもの分)
  • 教育費・習い事費(子どもの分)
  • 交通費・通信費
  • 損害保険料・生命保険料の一部

一方、婚姻費用に含まれないとされることが多い費用として、別居前から発生していた負債の返済、義務者自身の趣味・交際費、婚姻中に一方が単独で取得した資産の維持費用などが挙げられます。何が含まれるかについて争いが生じた場合は、家庭裁判所が個別の事情に基づいて判断します。

婚姻費用が問題になる主な場面

婚姻費用が争点となるのは、多くの場合次のような状況です。

  • 夫婦が別居し、収入のある側が生活費を送ってこなくなった場合
  • DV被害を受け、子どもを連れて実家や支援施設に避難した場合
  • 離婚協議が長引き、その間の生活費が確保できない場合
  • 相手が生活費を渡さず経済的コントロール(経済的DV)を行っている場合

特に経済的DVの場面では、婚姻費用の法的請求が、相手への経済的依存から抜け出すための重要な手段となります。「お金を渡さない」という行為は経済的暴力の一形態であり、被害を受けている場合は一人で悩まず相談窓口を利用することをご検討ください。

婚姻費用の算定方法|算定表の仕組みと2019年改定

婚姻費用の具体的な金額は、まず当事者間の合意によって定めることが基本です。合意が難しい場合は、家庭裁判所の実務で広く用いられている「婚姻費用・養育費算定表」(最高裁判所司法研修所発行)を参照して判断されます。

算定表の成立経緯と2019年改定

算定表は2003年に東京・大阪の家庭裁判所調査官らが提唱した計算方式をもとに公表されました。2019年に最高裁判所司法研修所が改訂版を公表し、統計データが2015年賃金センサスをベースとした新しい計算式に更新されました。改訂後は月額金額帯が当時の実態に即した水準に見直されており、現在の実務で広く参照されています。

算定表では、義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)の年収、および子どもの人数・年齢を基に、月額の婚姻費用の目安となる金額帯を確認できます。

算定表の基本的な使い方

算定表を活用する際の基本的な手順は次のとおりです。

  1. 義務者と権利者それぞれの年収を確認します。
  2. 給与所得者の場合は源泉徴収票の「支払金額」、自営業者の場合は確定申告書の「所得金額」を用いるのが一般的です。
  3. 子どもの人数と年齢を確認します(0~14歳と15歳以上で参照する表が異なります)。
  4. 算定表の縦軸(義務者の年収)と横軸(権利者の年収)が交差する欄の金額帯を読み取ります。

得られた金額帯はあくまでも目安であり、特別の事情がある場合は増減を求めることも可能です。算定表は最高裁判所のウェブサイトからも確認することができます。

算定表では対応しにくいケース

算定表は標準的なケースを想定しているため、次のような事情がある場合は個別の判断が必要になります。

  • 義務者の年収が算定表の上限(給与所得者で概ね2,000万円程度)を超える場合
  • 権利者や子どもに多額の医療費が継続的に必要な場合
  • 私立学校・留学・特別支援教育など、通常を超える教育費がかかる場合
  • 義務者が海外在住であったり、外国籍が絡む渉外婚姻である場合
  • 義務者が収入を意図的に低く申告している疑いがある場合

こうした特殊な事情がある場合は、算定表の金額帯を基準としながらも、裁判所が個別事情を考慮して増減額を判断します。弁護士への相談を通じて、具体的な見通しを確認することが有効です。

婚姻費用の請求手続き|協議・調停・審判の流れ

婚姻費用を確保するには、配偶者との協議から始め、合意できない場合は家庭裁判所へ申し立てる流れが一般的です。手続きの選択肢とその流れを整理します。

協議による合意と公正証書の活用

夫婦間で話し合い、婚姻費用の金額・支払い方法・支払い時期について合意できた場合は、公正証書(強制執行認諾付き)を作成することが推奨されます。公正証書にしておくことで、後日支払いが滞った際に改めて訴訟を起こすことなく、直接強制執行の申立てが可能となるケースがあります。

協議の際、相手方から不当に低い金額を押し付けられる懸念がある場合や、DVのリスクがある場合は、弁護士を介した形で進めることをご検討ください。

家庭裁判所への調停申立て

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることができます。申立書・当事者双方の収入証明書類(源泉徴収票・確定申告書など)・戸籍謄本・住民票などを準備し、相手方の住所地または当事者が合意した家庭裁判所に提出します。

調停では、調停委員を介して双方の事情を聴取し、算定表を参考にしながら合意形成を目指します。調停が不成立に終わった場合は、家事事件手続法(最終改正:2023年4月施行)第272条第4項に基づき、自動的に審判手続きへ移行します。

審判と婚姻費用仮払仮処分

審判では、家庭裁判所が提出された資料をもとに婚姻費用の額を決定します。審判に不服がある場合は即時抗告ができます(家事事件手続法第156条)。

調停・審判の手続き中に生活費が逼迫している場合は、「婚姻費用の仮払仮処分(かりばらいかりしょぶん)」を申し立てることもできます。家庭裁判所が緊急性を認めた場合、審判の確定前であっても婚姻費用の一定額を支払うよう義務者に命じる措置が取られることがあります。

申立て費用や必要書類の詳細は、最寄りの家庭裁判所または法テラス(電話:0570-078374)にてご確認ください。

【PR】離婚・婚姻費用に関する法律知識を深めたい方へ
Q&A 婚姻費用・養育費算定の実務(日本加除出版)
※Amazonの商品ページで最新情報をご確認ください。

婚姻費用と養育費の比較|DV被害者への影響と注意点

婚姻費用と養育費(ようごひ)は混同されがちな制度ですが、目的・期間・権利者・根拠条文がそれぞれ異なります。以下の比較表で違いを確認してください。

比較項目 婚姻費用 養育費
根拠条文 民法第760条(夫婦の費用分担義務) 民法第766条・第877条(親の扶養義務)
発生時期 婚姻中(別居中を含む) 離婚後
権利者 配偶者および監護する子ども 子ども(実際には監護親が受け取る)
対象費用 配偶者自身の生活費+子どもの費用 子どもの扶養費用のみ
終期 離婚成立時・別居解消時・権利者死亡時など 子どもが成人するまで(合意で変更可)
手続き 協議→調停(婚姻費用分担調停)→審判 協議→調停(養育費調停)→審判
不払い時の対応 給与差し押さえ(手取りの最大2分の1) 給与差し押さえ(手取りの最大2分の1)
将来払いの差押え 可能 可能

大きな違いは「配偶者自身の生活費が含まれるかどうか」です。婚姻費用は配偶者の生活費も対象となりますが、養育費は子どもの費用に限られます。離婚が成立すると婚姻費用は終了し、子どもがいる場合は養育費へと移行します。

DV被害者が婚姻費用を請求する際の注意点

DV被害を受けて別居している場合でも、婚姻費用を請求する権利はあります。ただし、手続きを進める際には次の点に留意が必要です。

  • 加害者に連絡先・住所を知られることへの不安がある場合は、弁護士を代理人として立てるか、住所の秘匿申立て(家事事件手続規則に定める制度)を活用する方法があります。
  • DV被害者支援のノウハウを持つ相談窓口(配偶者暴力相談支援センター・法テラスのDV被害者支援制度)を優先的に活用することが推奨されます。
  • 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法、最終改正:2024年4月施行)に基づく保護命令が出ている場合は、手続きの場での安全配慮が求められます。

ジェンダー平等と婚姻費用制度の意義

婚姻費用制度は歴史的に、育児・家事によってキャリアが中断した配偶者の生活保障として機能してきました。男女共同参画の観点からは、収入の低い配偶者(性別を問わず)が別居・離婚の局面でも経済的に保護されることが、ジェンダー平等の実現において重要であると指摘されています。

制度上は性別によって区別がなく、夫が無収入または低収入の場合には妻が義務者となります。実態として女性が権利者となるケースが多いのは、賃金格差やキャリア中断の問題が婚姻費用制度の利用形態に反映されているためです。賃金格差の問題については「男女間賃金格差とは|統計データで見るジェンダーペイギャップと是正策【2026年版】」もあわせてご参照ください。

現代的論点|2026年時点の到達点

婚姻費用は2007年時点から制度的な変化が続いている分野です。主な法改正の動きと、現在も続く議論を整理します。

2007年以降の主な法改正・新法

婚姻費用の算定や家族法全般に関わる主な動きは以下のとおりです。

  • 養育費・婚姻費用算定表の改定(2019年): 最高裁判所司法研修所が統計ベースを2015年賃金センサスに更新し、月額金額帯を実態に即した水準に改めました。2003年の初版から16年ぶりの改訂となり、実務への影響は大きなものがあります。
  • 民事執行法改正(2020年施行): 民事執行法(最終改正:2023年4月施行)第196条以下の財産開示手続き・第204条の情報取得手続きが整備されました。これにより、義務者の勤務先や金融機関の情報を取得しやすくなり、婚姻費用・養育費の不払いへの対応として活用されるようになりました。
  • DV防止法改正(2024年4月施行): 精神的暴力が保護命令の対象に追加され(DV防止法第10条改正)、DV被害者が安全に婚姻費用の請求手続きを進めるための法的根拠が強化されました。
  • 民法(親子法制)改正(2024年成立・2026年施行): 離婚後共同親権制度が導入され、子の監護・養育費・面会交流をめぐる家庭裁判所の関与が強化されました。婚姻費用は婚姻中の制度であるため直接改正の対象とはなっていませんが、離婚後の子の監護費用との連続性について議論が続いています。
  • 養育費不払い対策強化(2024年民法改正): 離婚協議録の書面化促進・養育費の取り決め義務化に向けた措置が強化されました。婚姻費用についても、協議段階での書面化を促す動きが続いています。

議論の現在地

婚姻費用の算定をめぐっては、複数の立場からの意見があります。

一方では「算定表では義務者(高収入側)の負担が実態として重すぎる」という主張があります。義務者側の弁護士・研究者の一部からは、個別事情(住居コストの地域差、義務者の負債状況など)が算定表に十分反映されていないという指摘もあります。また、算定表の統計ベースが2015年賃金センサスであるため、2020年代の賃金水準・物価上昇が反映されていないという批判もあります。

他方では「算定表の金額では権利者(子どもを連れた別居親など)の実際の生活を維持できない」という意見もあります。特に都市部の家賃水準が高い場合、算定表から得られる月額では生活費として不十分なケースもあると指摘されています。

DV被害者の婚姻費用請求については、「加害者との直接接触を最小化できる手続き整備」という観点からの制度改善要求が各支援団体から継続的に提起されています。住所の秘匿制度の実効性強化や、弁護士費用の立替制度の拡充が課題として挙げられています。

残された課題

婚姻費用制度には、2026年時点でも以下のような課題が残っています。

  • 不払い問題の実効的解消: 民事執行法の整備にもかかわらず、婚姻費用・養育費の不払い率は依然として高い水準にあります。強制執行の手続きには費用と時間がかかるため、弁護士費用を負担できない権利者にとって高いハードルとなっています。
  • 算定表の更新サイクル: 2019年改定以降、賃金水準や物価の変化が算定表に反映されていないとの指摘があります。定期的な更新の仕組みづくりが求められています。
  • 自営業者・フリーランスの収入把握: 収入が不規則であったり、経費計上の仕方で所得額が大きく変わる場合、実態に合った婚姻費用の算定が困難です。
  • 渉外婚姻への対応: 外国籍の配偶者が絡む婚姻では、どの国の法律(準拠法)を適用するかによって婚姻費用の計算・請求に大きな差が生まれます。国際的な枠組みの整備が引き続き課題です。

婚姻費用が支払われない場合の法的対応

調停・審判または公正証書で婚姻費用の支払いが定められても、義務者が支払わない場合があります。その際に活用できる法的手段を解説します。

給与・預貯金の差し押さえ

裁判所が認めた婚姻費用の支払いを義務者が履行しない場合、権利者は義務者の勤務先に対して給与の差し押さえを申し立てることができます。

民事執行法第152条第1項は、通常の金銭債権では給与の4分の1までしか差し押さえできないと規定しています。ただし、同条第2項により、婚姻費用・養育費などの扶養義務に基づく債権については、給与の手取り額の2分の1まで差し押さえが認められています。将来分の婚姻費用も一度の申立てで継続的に差し押さえる「将来払いの差押え」も可能です。

預貯金口座の差し押さえも同様に可能です。2020年施行の民事執行法改正により、義務者の金融機関口座情報を裁判所が取得できる制度が整備され、差し押さえの実効性が高まりました。

履行勧告・履行命令の活用

家庭裁判所は、調停・審判で定めた義務者に対し、義務の履行を勧告する「履行勧告」の制度があります(家事事件手続法第289条)。履行勧告は強制力を持たないため、義務者が任意に応じない場合は履行命令に進みます。

家事事件手続法第290条に基づく履行命令は、義務者が正当な理由なく義務を履行しない場合に発令されます。命令に違反した場合は10万円以下の過料が課される場合があります。ただし、直接的な財産の差し押さえではないため、実態として不払いが続く場合は強制執行に移行することが有効です。

婚姻費用分担義務の終期と請求のタイミング

婚姻費用の分担義務は、次のいずれかが生じた時点で終了します。

  • 離婚が成立した時(子どもがいる場合は養育費に移行)
  • 別居が解消(同居が再開)された時
  • 権利者が死亡した時
  • 婚姻取消が確定した時

注意すべきは、婚姻費用の請求は調停申立て時または請求の意思表示をした時点からしか認められないとする実務上の取り扱いが多いことです。別居してから時間が経過した後に調停を申し立てても、申立て前の過去分は認められにくい傾向があります。別居が始まったら速やかに請求の意思表示を行うか、弁護士・法テラスに相談することが重要です。

公的相談窓口と支援制度

婚姻費用や離婚・DV被害に関する問題は、一人で抱え込まず公的機関や専門家に相談することをご検討ください。費用がかかる場合でも、法テラスの援助制度を活用できる場合があります。

主な公的相談窓口一覧

  • 配偶者暴力相談支援センター(DVホットライン #8008): 都道府県が設置する相談窓口です。「#8008(はれれば)」に電話することで、最寄りのセンターにつながります。DV被害の相談・一時保護(シェルター)の紹介・法的手続きのサポートを行っています。
  • 性犯罪被害相談電話(#8103/ハートさん): 性的被害に関する相談を受け付けています。24時間対応の都道府県もあります(時間帯は都道府県ごとに異なります)。
  • 法テラス(日本司法支援センター)電話:0570-078374: 収入が一定水準以下の方向けに、弁護士費用の立替制度(審査あり)を提供しています。DV被害者には通常審査の簡略化措置があります。婚姻費用の請求手続きについても法律相談が可能です。
  • 家庭裁判所(各地): 婚姻費用分担調停の申立手続きや書類の書き方について案内を行っています。申立書は裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
  • 女性相談センター(各都道府県): 生活上のあらゆる相談(婚姻費用・離婚・就労・生活困窮など)を幅広く受け付けています。男性向けの相談窓口を設けている自治体もあります。

具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

【PR】離婚・家族法の制度を体系的に学ぶために
家族法(有斐閣ストゥディア)
※Amazonの商品ページで最新情報をご確認ください。

まとめ

婚姻費用は、婚姻中の生活費分担を支える重要な法的制度です。別居や離婚を検討している場合でも、婚姻関係が続く限り、一方が他方に婚姻費用を請求できる権利は失われません。民法第760条を根拠に、算定表・調停・強制執行という法的手段が整備されており、請求のタイミングと手続き選択が実際の生活費確保において重要です。

男女共同参画の観点では、婚姻費用制度は経済的に不利な立場に置かれやすい配偶者(性別を問わず)の生活保障として機能しています。DV防止法の改正・民事執行法の整備など制度的前進がある一方で、不払い問題の実効的解消・算定表の更新・DV被害者の安全な手続き確保など、2026年時点でも解決途上の課題が残っています。

婚姻費用についての疑問や具体的な状況への対応は、弁護士・法テラス・配偶者暴力相談支援センターなどの専門機関にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

婚姻費用と養育費はどう違いますか?
婚姻費用は婚姻中(別居中を含む)の夫婦間で発生する生活費分担であり、配偶者自身の生活費も含みます。養育費は離婚後に発生する、親から子への扶養義務に基づく費用です。婚姻費用は離婚成立と同時に終了し、その後は養育費に移行します。
別居中でも婚姻費用を請求できますか?
はい、請求できます。婚姻費用の分担義務は、別居中であっても法律上の婚姻関係が継続している限り消えません。民法第760条に基づき、収入が多い配偶者は少ない側に対して婚姻費用を支払う義務があります。
婚姻費用はいつから請求できますか?
婚姻費用の請求は、実務上は調停申立て時または請求の意思表示をした時点から認められることが多いとされています。過去にさかのぼって請求することは認められにくい傾向があるため、別居が始まった時点で早期に請求の意思表示を行うことが重要です。
相手が婚姻費用を支払わない場合はどうすればよいですか?
調停・審判や公正証書で婚姻費用の支払いが定められている場合は、家庭裁判所による履行勧告・履行命令、または民事執行法に基づく給与・預貯金の差し押さえを申し立てることができます。婚姻費用は扶養義務に基づく債権であるため、給与の手取り額の2分の1まで差し押さえが認められています(民事執行法第152条第2項)。
婚姻費用の算定表はどこで確認できますか?
婚姻費用・養育費算定表は、最高裁判所のウェブサイトや、各家庭裁判所で閲覧できます。2019年に改定されたものが現在の実務で使用されています。自営業者の場合や特別な事情がある場合は算定表だけでは判断が難しいため、弁護士または法テラスへの相談をご検討ください。
DV被害を受けていますが、加害者に居場所を知られずに婚姻費用を請求できますか?
DV被害者については、住所の秘匿制度や弁護士代理人を通じた手続きの活用により、加害者に居場所を知られることなく婚姻費用の請求手続きを進められる場合があります。配偶者暴力相談支援センター(#8008)や法テラスのDV被害者支援制度を通じて、具体的な手続き方法を相談することをお勧めします。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次