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無償ケア労働(アンペイドワーク)とは|家事・育児・介護のジェンダー格差と法制度【2026年版】

家事や育児、高齢の家族の介護——これらは人々の日常生活に不可欠な活動でありながら、市場では取引されず、賃金も支払われません。こうした賃金の発生しない生活維持活動の総称を「無償ケア労働(アンペイドワーク)」と呼びます。

総務省「令和3年社会生活基本調査(2021年)」によれば、6歳未満の子どもがいる世帯において、妻の1日あたりの家事・育児時間は平均7時間34分、夫は1時間54分です。この差は実に5時間40分にのぼり、就労機会・昇進・老後の年金額にまで影響を及ぼす構造的問題として、2026年現在も続いています。

国際比較においても、日本の女性が担う無償ケア労働時間は男性の約5倍と、OECD諸国の中でも格差が際立っています。「家庭内の役割分担は個人の選択の結果」という理解だけでは捉えきれない、社会制度・税制・ジェンダー規範が絡み合う構造的問題です。

本記事では、無償ケア労働の定義・分類、統計が示す日本の実態、その経済的価値、関連する法制度(男女共同参画社会基本法・育児・介護休業法など)、そして2026年時点の政策論点を体系的に解説します。人事・法務担当者、ジェンダー政策に関心のある方、育児・介護を担いながら就労継続を模索している方にとっての一助となれば幸いです。

目次

無償ケア労働(アンペイドワーク)とは何か

アンペイドワークの定義と国際的位置づけ

「アンペイドワーク(Unpaid Work)」とは、市場で取引されず賃金が支払われないにもかかわらず、人々の生活維持や社会の再生産に不可欠な活動の総称です。ILO(国際労働機関)は「家族・コミュニティのメンバーのために行われる無償の活動」と定義しており、家事・育児・家族の介護・地域ボランティアなどが含まれます。

「無償ケア労働」という名称が国際的に注目されたのは、1995年に北京で開催された第4回世界女性会議(北京会議)がきっかけです。この会議で採択された「北京行動綱領」は、無償労働の可視化と経済的評価を各国政府に求めました。その後、SDGsの目標5.4(無償のケア・家事労働の認識)にも引き継がれ、2026年現在に至るまで国際的な政策課題として位置づけられています。

日本では、内閣府が「無償労働の貨幣評価」として定期的な試算を実施しており、国際基準に沿った統計整備が進んでいます。ただし、可視化の取り組みが制度的な格差解消に十分に結びついているとは言いがたい状況が2026年現在も続いています。

有償労働(ペイドワーク)との違い

有償労働(ペイドワーク)とは、給与・報酬・賃金を対価として行われる市場労働であり、GDP(国内総生産)や国民経済計算(SNA:System of National Accounts)の算定対象です。これに対してアンペイドワークは市場を介さないため、従来のGDP統計には含まれません。

この非対称性が問題の核心です。市場評価されない活動は政策立案の優先順位から外れやすく、担い手の貢献が統計上「ゼロ」として扱われます。例えば、家庭の外で提供される保育サービスはGDPに算入されますが、家庭内での同等の育児活動はカウントされません。この構造が、無償ケア労働を担う者の社会的・経済的評価を低下させる一因とされています。

「見えない」という性質は、政策議論においても大きな問題を生みます。市場での賃金・付加価値として計上されない活動には、政策的な資源配分が向かいにくくなるからです。これが、無償ケア労働の担い手(統計的には女性が大多数)の負担が社会的に認識されにくい構造を生み出してきたと指摘されています。

アンペイドワークに含まれる活動の範囲

ILOや内閣府の分類を参考にすると、アンペイドワークには以下の活動が含まれます。

① 家事(食事の準備・後片付け、掃除、洗濯、買い物等)
② 育児(授乳・入浴・送迎・学習サポート等)
③ 家族介護(高齢者・障害者の身体介助・見守り・通院付き添い等)
④ 地域・親族への支援(PTA活動、地域行事の運営、近隣への手伝い等)
⑤ ケアのコーディネーション(Mental Load・メンタルロード)

特に⑤の「ケアのコーディネーション」は近年注目を集めています。家族の予定管理、学校行事の把握、医療機関予約の調整、保育所の選定・手続き——これらは時間統計では捉えにくい「気づかいと段取り」であり、担い手の精神的負担として長時間にわたって継続します。「メンタルロード」という概念は、欧米を中心に2017年ごろから広く議論されるようになり、日本でもジェンダー研究・育児支援の文脈で取り上げられるようになりました。

日本における担い方の実態|統計データで見る男女格差

総務省「社会生活基本調査(2021年)」の主要データ

総務省が5年ごとに実施する「社会生活基本調査」は、日本の生活時間配分を把握する代表的な統計です。2021年(令和3年)調査の結果は以下のとおりです。

【有配偶者(共働き世帯)の家事関連時間(1日平均)】
・女性:4時間16分
・男性:51分

【6歳未満の子どもがいる世帯の家事・育児時間(1日平均)】
・妻:7時間34分
・夫:1時間54分

この格差は就業状態に関わらず一貫して観察されます。フルタイムで働く女性でも、家事・育児時間は男性を大きく上回り、「二重負担(Double Burden)」または「二交代制(Second Shift)」と呼ばれる状態が広く見られます。アメリカの社会学者アーリー・ホックシールドが1989年に提唱したこの概念は、2026年現在の日本においても多くの家庭に当てはまります。

ライフステージ別に見た格差の推移

家事・育児分担の格差は、ライフステージを通じて継続的に観察されます。

共働き・子なし期においては格差は相対的に小さい傾向がありますが、第一子の誕生を境に急激に拡大します。就学前の子どもを持つ育児期が格差のピークとなり、妻の就労時間が短縮される傾向と重なることで、経済的・キャリア的な影響が最も大きくなります。子の就学後は育児時間が減少しますが、家事・学校行事対応は依然として女性に偏る傾向が続きます。さらに高齢期には、親の介護が加わることで女性の無償ケア負担が再度増加するケースも多く見られます。

このライフステージを通じた格差の固定化は、老後の年金格差にも連動します。育児・介護を理由に就労を中断した期間は厚生年金の保険料納付期間から外れるため、老後の経済的自立への影響は長期間に及びます。無償ケア労働の担い手への経済的なしわ寄せは、現役期にとどまらず、老後にまで及ぶ構造的問題です。

コロナ禍以降の変化と現在地

2020年のコロナ禍以降、テレワーク普及により一部で男性の家事参加が増加したとの報告があります。2021年社会生活基本調査では、男性の家事・育児時間は2016年調査比でわずかながら増加が確認されました。また、厚生労働省によれば、男性の育休取得率は2023年度に30.1%に達し、過去最高水準を更新しています。

ただし、育休取得率の上昇と実態的な家事分担の改善は別問題です。「育休を取得したが期間が数日にとどまった」「育休終了後に家事分担が育休前の状態に戻った」という報告は多く、数値目標の達成と本質的な格差解消の間には依然として乖離があります。政府の「こども未来戦略(2023年)」では男性育休取得率の目標を2025年に50%、2030年に85%と設定しており、制度面での促進は続いていますが、職場文化・慣行の変容を伴わなければ数値目標だけの達成に留まるという指摘もあります。

無償ケア労働の経済的価値|GDPに計上されない「仕事」の規模

貨幣換算の方法(機会費用法・代替費用法)

無償ケア労働の価値を経済的に評価する方法には主に2つのアプローチがあります。

【機会費用法(Opportunity Cost Method)】
無償ケア労働に費やした時間を、担い手が市場労働に当てた場合の賃金(個人の市場賃金)で評価する方法です。担い手の職種・スキルによって評価額が大きく変わるという課題があります。

【代替費用法(Replacement Cost Method)】
無償ケア労働を市場サービス(家事代行・保育・介護)で代替した場合のコストをもとに価値を算出する方法です。「スペシャリスト代替費用法」(各活動に対応する専門職の賃金を適用)と「ジェネラリスト代替費用法」(家事全般を担う労働者の賃金を一律適用)の2種類があります。

内閣府は主に代替費用法(スペシャリスト方式)を用いて国内の無償労働価値を推計しています。方法によって算出値が大きく異なるため、国際比較の際には使用された推計手法の確認が必要です。

内閣府の試算(2018年)と政策的含意

内閣府の「無償労働の貨幣評価(2018年版)」によれば、代替費用法(スペシャリスト方式)を用いた日本の無償労働の経済価値は約121.3兆円(対GDP比約22.0%)と推計されています。このうち女性が担う無償労働の価値は男性の約3.8倍に相当します。

この数字が示すのは、「もし市場で適切に評価されれば、女性が担っている経済的活動の規模は現在の市場賃金統計が示す以上に大きい」という事実です。無償ケア労働の可視化は、ジェンダー平等の経済的側面を議論する際の基礎データとして重要な意味を持ちます。

OECD諸国では、無償労働の価値がGDPの15%~50%相当とする推計が多く見られます。日本の推計値(22%前後)はこの範囲内ですが、担い手の性別偏在度(女性への集中度)はOECD平均より高い水準にあります。

GDP・国民経済計算(SNA)への算入論と課題

国連統計委員会は現在、SNA(国民経済計算体系)の本体に無償労働を算入することは困難として、「衛星勘定(Satellite Account)」という付属統計として扱う方針を維持しています。評価方法の多様性と国際比較可能性の確保が主な障壁です。

ただし、衛星勘定の普及自体は進んでおり、日本・韓国・カナダ・ニュージーランド・EU各国が独自の推計を公表しています。SDGsの指標5.4.1(無償のケア・家事労働に費やされた時間の割合、性別・年齢・場所別)は、各国に対して生活時間調査の整備を求めており、日本の総務省「社会生活基本調査」がこの指標の推計に活用されています。無償ケア労働の統計整備は、国内政策だけでなく国際報告義務の観点でも重要な位置づけを持っています。

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男女共同参画社会基本法と無償ケア労働の関係

基本法第4条が示す「固定的な役割分担意識の解消」

男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号、最終改正:令和4年)第4条は、「社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならない」と定めています。

この規定は、家事・育児を「女性がやって当然」とする慣行が男女の就労選択・キャリア形成に与える影響を問題視したものと解釈されます。制度的平等(法律上の平等)が整備された後も実態的格差が続く背景には、社会全体に浸透した性別役割分業意識(ジェンダー規範)があるという認識が、この条文に込められています。

また、同法第3条(男女の人権の尊重)は「個人として能力を十分に発揮できる社会を形成すること」を基本理念として掲げており、無償ケア労働の偏在によって特定の性別のみが就労機会を制限される状況は、この理念と相容れないものとして政策議論に位置づけられています。

育児・介護休業法の役割と制度上の限界

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法、最終改正:令和6年)は、労働者が育児・介護を担いながら就業継続できるよう支援することを目的とした法律です。育児休業・介護休業・子の看護休暇・介護休暇・短時間勤務制度・フレックスタイム等を定めています。

2022年の法改正では産後パパ育休(出生時育児休業)が創設され、子の出生後8週間以内に父親が最大4週間の育児休業を分割取得できるようになりました。2025年施行の改正では、育休取得状況の公表義務が従業員300人超の企業へと拡大されています。

ただし、育児・介護休業法の適用対象は「雇用関係のある労働者」に限定されており、自営業者・フリーランス・家族従事者には適用されません。また、「育休を取得すること」と「その後の継続的な家事分担の変化」は別問題です。取得後に分担が以前の状態に戻るケースも報告されており、制度整備だけでは格差の根本解消には不十分という指摘があります。

配偶者控除制度をめぐるジェンダー論点

所得税の「配偶者控除」(配偶者の年収が103万円以下の場合、納税者に最大38万円の控除が認められる制度)は、いわゆる「103万円の壁」として知られています。この制度が、主たる生計者の配偶者(多くの場合は妻)が就労時間を意識的に抑制するインセンティブを生んでいるという批判が、ジェンダー研究者・経済学者から繰り返し提起されています。

2017年の税制改正で配偶者特別控除の適用上限が年収201万円まで引き上げられましたが、配偶者控除本体の103万円基準は維持されました。就労を抑制することで控除を受けるという選択が経済的合理性を持つ構造は、女性の就労促進・経済的自立という男女共同参画政策の方向性と相矛盾する側面があるとして、継続的な議論の対象となっています。フルタイム就労に移行すれば無償ケア労働の担い手が変化する可能性がある一方、税制上の不利益が生じるという構造的矛盾の解消は、2026年現在も課題として残っています。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

無償ケア労働の分担改善に関連する主な制度変化を整理します。

・2009年:育児・介護休業法改正(子の看護休暇・介護休暇の拡充、短時間勤務の義務化等)
・2010年:パパ・ママ育休プラス創設(父母がともに育休取得した場合の延長制度)
・2015年:女性活躍推進法成立(職場での女性活躍推進を事業主に義務付け)
・2017年:配偶者特別控除の適用範囲拡大(年収上限を141万円から201万円に引き上げ)
・2021年:育児・介護休業法改正(育休取得の個別周知・意向確認の義務化)
・2022年:産後パパ育休(出生時育児休業)の創設。分割取得が可能に
・2023年:こども家庭庁発足(育児支援の司令塔機能を一元化)
・2023年:育休取得率の公表義務開始(従業員1,000人超の事業主)
・2025年:育児・介護休業法改正施行(公表義務対象の拡大、テレワーク活用促進等)

議論の現在地

無償ケア労働の偏在解消をめぐっては、複数の立場から議論が行われています。

数値目標・制度的促進を重視する立場は、政府目標(男性育休取得率2030年85%目標)のような具体的な数値目標の設定と、育休給付金の拡充・企業への公表義務付けによる制度的な分担促進を支持します。無償ケア労働の問題を「個人の選択」ではなく「社会的課題」として位置づけ、政策的に解決すべきと主張します。北欧諸国が「パパクォータ(父親育休の義務割当)」によって男性育休取得を大幅に増やした実績が、こうした立場の根拠の一つとして引用されます。

一方、家庭内の自律的選択を尊重する立場は、夫婦・家族ごとの合意に基づく役割分担のあり方への国家介入には慎重であるべきとし、保育所拡充・育休制度整備など「選択肢の拡大」を通じた間接的アプローチを支持します。個人の価値観・ライフスタイルの多様性を尊重する観点から、分担のあり方を一律に規定することへの懸念も示されます。

両立場に共通する認識として、「現状の格差が完全に個人の自由意思の結果とは言えず、社会制度・税制・職場慣行・ジェンダー規範という構造的要因が個人の選択を制約している」という点は、政策論議においても広く共有されつつあります。

残された課題

2026年時点において、以下の課題が未解決または進行中の状況にあります。

育休取得後の継続的分担の定着
育休取得率は向上しているものの、取得期間の短さ(数日程度の形式的取得)や、育休終了後に分担が育休前の状態に戻るケースの多さが課題です。「取得率」だけでなく「取得後の継続的な家事参加の変化」を評価する指標の整備と、それを促す政策設計が求められています。

フリーランス・自営業者のケア支援
育児・介護休業法の適用外となる非雇用就業者(フリーランス・自営業者・家族従業者)への支援策は依然として手薄です。多様化する就労形態と制度の整合性が問われており、特にフリーランス保護を目的とした「フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年施行)」においてもケア支援の観点は限定的にとどまっています。

家族介護の社会化と家族負担の軽減
少子高齢化の深化とともに家族による無償介護の規模は拡大しています。介護保険制度(2000年施行)によって介護の社会化は一定程度進みましたが、介護施設・人材の不足から家族(特に女性)への依存が続いており、「介護離職」の問題は現在も継続しています。

メンタルロードの可視化と政策的対処
家族の調整・管理に関わる精神的負荷(メンタルロード)は時間統計では捉えにくく、政策的に対処する手法の開発が遅れています。「ケアのコーディネーション」を担う負担の可視化と評価は、今後の政策課題として注目されています。

日本と主要国の無償労働時間比較

OECD「Society at a Glance(対社会指標)」および各国の生活時間調査をもとにした、1日あたりの無償労働時間(分)の概算比較を示します(※調査年次は国により異なります。参考値としてご参照ください)。

国・地域 女性(分/日) 男性(分/日) 女性/男性比 父親育休の主な制度
日本 約225 約41 約5.5倍 産後パパ育休(2022年~、最大4週)
韓国 約187 約49 約3.8倍 育児休業(父親に使用を促す措置あり)
アメリカ 約180 約106 約1.7倍 連邦法の有給育休なし(州・企業ごとに異なる)
フランス 約194 約131 約1.5倍 父親育休28日間(義務的取得制度あり)
ドイツ 約189 約119 約1.6倍 両親手当(パートナー月数の取得推奨)
スウェーデン 約175 約131 約1.3倍 パパクォータ(父親専用90日)を含む480日
ノルウェー 約165 約134 約1.2倍 パパクォータ(父親専用15週)を含む合計49週
OECD平均(概算) 約193 約106 約1.8倍 国により大きく異なる

出典:OECD「Society at a Glance 2023」および総務省「社会生活基本調査2021年」をもとに整理。数値は各調査の最新推計値にもとづく概算。

スウェーデン・ノルウェー等の北欧諸国では、父親の育休取得義務割当(パパクォータ制)と充実した保育インフラが男性の家事参加を構造的に促してきた歴史があります。日本は制度整備が進みつつあるものの、男女差は依然として国際比較で最上位水準にあります。この格差の背景には、制度整備の遅れだけでなく、「家事・育児は女性が担うもの」という根強いジェンダー規範の存在が指摘されています。

支援制度と相談窓口

ケアを担う方への主な公的支援

育児休業給付金(雇用保険)は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合に支給されます。休業開始から180日間は休業前賃金の67%相当、以降は50%相当が目安です。申請手続きはハローワークまたは事業主を通じて行います。

介護休業給付金(雇用保険)は、要介護状態の家族を介護するために休業した場合に、休業前賃金の67%相当が支給されます(最大93日間)。地域子育て支援センターやファミリーサポートセンターは、市区町村が設置する育児相談・互助の場であり、孤立した育児環境の改善に利用できます。介護保険制度(2000年施行)については、65歳以上(特定疾病がある場合は40歳以上)の方が要介護・要支援認定を受けることで、訪問介護・デイサービス等の介護サービスが利用可能です。

相談窓口

仕事と育児・介護の両立に関する相談は、各都道府県の「総合労働相談コーナー」(都道府県労働局・ハローワーク内設置)で受け付けています。育児・介護を理由とした職場トラブルや権利侵害に関する相談が可能です。

配偶者や家族からの暴力・ハラスメントについては「DV相談ナビ(#8008)」に電話すると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに接続されます。また、性犯罪・性暴力の被害については「性犯罪被害相談電話(#8103)」または各都道府県の「ワンストップ支援センター」をご利用ください。

家族法・離婚・養育費など法的問題については、法テラス(日本司法支援センター、電話:0570-078374)が弁護士・司法書士の紹介を含む無料法律相談案内を行っています。具体的な事案については、弁護士などの専門家への相談をご検討ください。

まとめ|無償ケア労働とジェンダー平等の交差点

無償ケア労働(アンペイドワーク)は、家庭と社会の「見えない基盤」を支える活動です。日本においては女性が担う時間が男性の約5倍にのぼり、この偏在はキャリア形成・経済的自立・老後の年金額にまで長期的な影響を与え続けています。内閣府試算では、無償ケア労働の経済的価値はGDP比約22%(約121兆円)に相当するとされていますが、その大部分を担う女性の貢献は市場統計では「見えない」状態に置かれています。

男女共同参画社会基本法は、固定的な性別役割分業意識を社会から取り除くことを明示的に求めています。育児・介護休業法の整備・改正によって制度的な後押しは年々強まっているものの、育休取得率の向上と実態的な家事分担の改善の間には依然として乖離があります。フリーランス・自営業者への制度的手当て、介護問題の深刻化、メンタルロードの可視化・政策化など、残された課題は多岐にわたります。

無償ケア労働の問題は「家庭の問題」である以上に、社会設計・法制度・税制・雇用慣行が複合的に絡み合う構造的課題です。ジェンダー平等を職場・政治・教育の領域で論じるとともに、家庭内での役割分担のあり方を社会全体として問い直すことが、男女共同参画社会の実現に向けた不可欠な視点といえます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 無償ケア労働(アンペイドワーク)とはどういう意味ですか?
A. 賃金・報酬が支払われないにもかかわらず、人々の生活維持や社会の再生産に不可欠な活動の総称です。家事・育児・家族介護・地域ボランティア・ケアのコーディネーション(メンタルロード)などが含まれます。市場で取引されないためGDPには計上されませんが、内閣府は2018年に約121兆円相当の経済価値があると試算しています。
Q. 日本の男女間でどれくらいの格差がありますか?
A. 総務省「令和3年社会生活基本調査(2021年)」によれば、6歳未満の子どもがいる世帯の家事・育児時間は妻が1日平均7時間34分、夫が1時間54分と約4倍の差があります。共働き世帯全体でも女性4時間16分・男性51分の格差があり、OECD加盟国の中でも際立って大きい水準です。
Q. 育児・介護休業法は無償ケア労働の格差解消に役立っていますか?
A. 2022年の産後パパ育休創設や男性育休取得率の向上(2023年度30.1%)など、制度的な後押しは強まっています。ただし、育休取得後に分担が以前の状態に戻るケースも多く、取得率の向上と継続的な家事分担改善の定着は別問題です。制度整備だけでは格差の根本解消には不十分という指摘もあります。
Q. 配偶者控除(103万円の壁)と無償ケア労働にはどんな関係がありますか?
A. 配偶者の年収を103万円以下に抑えることで税控除を受けられる構造が、配偶者(多くの場合は妻)の就労時間を抑制するインセンティブを生んでいるという批判があります。就労を抑制した分だけ家事・育児を担いやすくなるという側面から、男女の無償ケア労働分担の固定化と関連するとして、ジェンダー研究者・経済学者から継続的に議論されています。
Q. 無償ケア労働に関連する相談窓口はどこですか?
A. 仕事と育児・介護の両立については都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」、DV・家庭内暴力については「DV相談ナビ(#8008)」、法的問題については法テラス(0570-078374)が相談窓口として利用できます。いずれも無料で利用可能です。具体的な事案については弁護士などの専門家への相談をご検討ください。

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