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フェミニズムとは|第1波から第4波・日本の女性運動の歴史と2026年の現在地

「フェミニズム」という言葉を耳にしたとき、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。「過激な運動」「男性を敵視する思想」といった固定観念が根強く残っている一方で、「性別にかかわらず全ての人が尊重される社会の実現を目指す考え方」として広く受け入れられている側面もあります。

フェミニズム(feminism)は、19世紀後半の女性参政権運動に源流を持ち、現在に至るまで「第1波から第4波」という大きな変遷を経てきました。その中心的な主張は時代とともに変化し、単純な「女性優遇」論ではなく、ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別。生物学的性別=セックスと区別される概念)に基づく差別の解消と、全ての人が平等に生きられる社会の構築を目指すものへと深化しています。

日本では1999年、男女共同参画社会基本法が制定されました。この法律の理念的背景にも、フェミニズムが積み重ねてきた思想的蓄積が色濃く反映されています。2026年現在、性犯罪刑法改正(2023年)、DV防止法改正(2024年)、育児・介護休業法の累次改正など、フェミニズムの主張と呼応する形で法整備が続いています。

本記事では、フェミニズムの定義と各波の特徴、日本の女性運動の歴史、男女共同参画社会基本法との関係、そして2026年時点の現代論点までを体系的に解説します。ジェンダー平等を職場・地域・日常生活で実践したい方、フェミニズムについて正確な知識を身につけたい方に向けた内容です。

目次

フェミニズムの定義と基本概念

フェミニズムとは何か

フェミニズム(feminism)という語は、ラテン語の「femina(女性)」を語源とし、19世紀後半のフランスで政治的概念として用いられ始めました。現在の一般的な定義としては、「性別に基づく社会的・政治的・経済的不平等を批判し、その解消と全ての人の平等な権利の実現を求める運動・思想・学問の総称」とされています。

フェミニズムが問題とするのは、ジェンダーに基づく差別(性差別)の構造です。生物学的性差に起因する問題ではなく、社会・文化・歴史が形成してきた役割期待や偏見が、特定の性別を不利な立場に置いていると分析します。国連の女性差別撤廃条約(CEDAW、1979年採択)においても、性別に基づく差別の撤廃と男女の機会均等は普遍的人権の一部として位置づけられており、フェミニズムの主張は国際的な人権規範と深く結びついています。

ジェンダー平等との違いと関係

「フェミニズム」と「ジェンダー平等」は、しばしば混同されますが、概念の射程が異なります。

ジェンダー平等は、男女共同参画社会基本法第3条にも示されるように、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されること」を指す政策目標・社会目標です。

フェミニズムは、そのようなジェンダー平等を達成するための思想的基盤・社会運動・学術研究の総体です。フェミニズム的な問題提起・分析が政策立案に影響を与え、ジェンダー平等政策として制度化されていくという関係にあります。フェミニズムはジェンダー平等の「理念と方法」を提供し、法制度はその「実装」という位置づけとも言えます。

フェミニズムへのよくある誤解を整理する

フェミニズムに対しては様々な誤解が存在します。主なものを整理します。

第一の誤解は「フェミニズムは男性を敵視する思想だ」というものです。フェミニズムの主流的立場は、特定の性別を優劣で捉えるのではなく、ジェンダーに基づく差別構造そのものを問題とします。男性もまた「男らしくあるべき」というジェンダー規範に縛られており、フェミニズムの問題提起は男性の生きづらさにも深く関わるとする議論も行われています。

第二の誤解は「フェミニズムはひとつの統一された思想だ」というものです。実際のフェミニズムはリベラル・フェミニズム、ラジカル・フェミニズム、社会主義フェミニズム、インターセクショナル・フェミニズムなど多様な潮流を持ち、問題の所在や解決策についても意見の相違があります。一枚岩ではなく、内部で活発な議論が続く動態的な思想運動です。

第三の誤解は「フェミニズムは過去の話だ」というものです。2017年の#MeToo運動以降、職場・オンライン空間でのハラスメント問題、ジェンダー賃金格差、政治参画の不平等など、フェミニズムが提起してきた課題は現代においても未解決のものが多く、社会的議論は継続しています。

第1波・第2波フェミニズムと日本の女性運動(19世紀末~1980年代)

第1波フェミニズム(19世紀末~1920年代):参政権運動

第1波フェミニズムの最大の争点は、参政権(選挙権・被選挙権)の獲得でした。1848年にアメリカのセネカ・フォールズで開催された女性権利大会(Seneca Falls Convention)は、近代フェミニズムの出発点とされています。この大会で採択された「感情の宣言(Declaration of Sentiments)」は、独立宣言の文言を踏まえて「全ての男女は平等に創られている」と宣言し、女性参政権・財産権・教育権を要求しました。

英国では、エメリン・パンクハーストらが率いる女性社会政治同盟(WSPU)が参政権獲得運動(サフラジェット運動)を展開し、1918年に一定条件付きで女性参政権が実現、1928年に完全な参政権が認められました。米国では1920年に憲法修正第19条により女性参政権が認められています。第1波は法的権利の獲得に焦点を当てていましたが、参政権取得後も職場・家庭における不平等は解消されず、新たな運動の波が必要となりました。

第2波フェミニズム(1960年代~1980年代):解放運動の拡大

1960年代から1980年代に展開した第2波フェミニズムは、参政権にとどまらず、職場差別、性暴力、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)、家庭内の権力関係など、より広範な問題を俎上に載せました。

ベティ・フリーダンの著書『女性の神秘(The Feminine Mystique)』(1963年)は、専業主婦の生活に潜む「名前のない問題(the problem that has no name)」を描き出し、第2波の火付け役となりました。スローガン「個人的なことは政治的なことだ(The personal is political)」は、私的領域に見える家庭内の権力関係を、政治・社会構造の問題として捉え直す概念的転換を示します。

第2波では、米国公民権法第7条(1964年)による職場での性差別禁止や、国連女性差別撤廃条約(1979年採択)など、国際的・国内的な法的成果も生まれました。日本においては、この流れを受けて男女雇用機会均等法(昭和47年法律第113号、1985年に均等法として全面改正)が制定されています。

日本の第1波・第2波(婦人参政権運動・ウーマンリブ)

日本においても、フェミニズムの各波に対応する運動が独自の形で展開されました。

第1波に対応するのは、20世紀初頭の婦人参政権運動です。平塚らいてう(らいちょう)らによる青鞜社(1911年設立)は、「元始、女性は太陽であった」という宣言で女性の自立と解放を訴えました。市川房枝らが設立した婦選獲得同盟(1925年)は女性参政権の実現を求めて活動を続け、第二次世界大戦後の1945年12月に女性参政権が実現、翌1946年の総選挙で女性議員39名が誕生しました。

第2波に対応するのが、1970年代の「ウーマンリブ(女性解放)運動」です。田中美津らが中心となったウーマンリブは「女の解放は男の解放でもある」と訴え、性別役割分業・産む性としての女性規範への根本的な問い直しを行いました。この運動の社会的素地が、1985年の男女雇用機会均等法制定への道を切り開く一因となったとされています。

第3波・第4波フェミニズムと現代(1990年代~2026年)

第3波フェミニズム(1990年代):インターセクショナリティの台頭

1990年代に台頭した第3波フェミニズムは、第2波が中産階級の白人女性の視点に偏りがちだったという批判から生まれました。法学者のキンバリー・クレンショーが1989年に提唱したインターセクショナリティ(intersectionality:交差性)の概念が中心的な分析枠組みとなりました。インターセクショナリティとは、性別・人種・階級・性的指向・障害・国籍など、複数の差別軸が交差することで、それぞれ単独の差別よりも複合的な不利が生み出されるという考え方です。

第3波では、ポップカルチャー・メディア・消費文化のジェンダー分析も活発化しました。「ガール・パワー」を標榜するポップスやファッションの批判的読み解き、広告における女性の性的対象化への異議申し立てなど、文化的領域へのフェミニズムの射程が広がりました。また、LGBTQ+の権利との連帯も深まり、性的指向・性自認(SOGI:Sexual Orientation and Gender Identity)の概念がフェミニズムの中核的関心として浮上しました。

第4波フェミニズム(2010年代~現在):デジタルと#MeToo

2010年代以降の第4波フェミニズムは、デジタル・ソーシャルメディアを媒体とした運動の急速な拡大が最大の特徴です。

2017年のハリウッドを端緒とする#MeToo運動は、性的ハラスメント・性暴力の被害経験をSNSで共有することで、職場・社会における権力構造と性暴力の蔓延を可視化しました。ハッシュタグ#MeTooは短期間で世界中に広がり、映画・メディア・政界・スポーツ界など多分野で著名人の被害告発が相次ぎました。

第4波の特徴として、オンライン上の組織化と集合行動の迅速性、年齢・地域・職業を超えた連帯、インターセクショナルな視点の主流化が挙げられます。一方で、SNS上でのバックラッシュ(反動・反発)の激化や、誤情報の拡散、当事者への二次被害(オンラインハラスメント)なども深刻な課題となっています。

日本での第3波・第4波の展開

日本では、第3波期にあたる1999年の男女共同参画社会基本法制定が制度的な節目となりました。同法に基づき内閣府男女共同参画局が設置され、基本計画の策定・施行が始まりました。

第4波期に対応する動きとして、#MeToo運動の日本的展開と並行して、石川優実氏の#KuToo運動(2019年、ヒール靴の強制に異議)、「WeToo Japan」などの草の根運動が展開されました。立法面でも、政治分野男女共同参画推進法(2018年)、女性活躍推進法改正(2019年・2022年)、性犯罪刑法改正(2023年、不同意性交等罪への改称)などが相次ぎました。2020年代には生理の貧困・デジタル性暴力・ジェンダーギャップ指数での低迷(2024年118位)が社会的注目を集め、市民・NGO・企業・行政が多方向から取り組む構造が形成されています。

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男女共同参画社会基本法とフェミニズムの関係

1999年制定の社会的背景

1999年6月に成立した男女共同参画社会基本法(最終改正: 2015年9月施行)は、フェミニズムが積み重ねてきた思想的・運動的蓄積を制度的に具現化した法律の一つと位置づけられます。

制定の直接的背景としては、1995年の北京世界女性会議で採択された「北京行動綱領」が国際的な影響を与えました。日本政府は同綱領の実施計画として「男女共同参画2000年プラン」を策定し、その法的基盤として同法の制定を推進しました。国内では、ウーマンリブ以来の女性運動・研究者・NGOによる継続的な政策提言が地盤を形成し、与野党を超えた議員立法として成立しました。

同法第2条は「男女共同参画社会」を「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」と定義しています。この定義は、第2波フェミニズムが提起した「公私領域における機会の平等」と第3波が強調した「多様な参画形態の保障」の双方を取り込んでいます。

基本理念とフェミニズム的視座

男女共同参画社会基本法の5つの基本理念(第3条~第7条)は、フェミニズムの主要な主張と深く対応しています。

第3条の「男女の人権の尊重」は、フェミニズムが普遍的人権として女性の権利を主張してきた流れと一致します。第4条の「社会における制度又は慣行についての配慮」は、形式的平等だけでなく実質的平等を求めた第2波・第3波の問題提起を受け止めるものです。第5条の「政策等の立案及び決定への共同参画」は、「個人的なことは政治的なことだ」というスローガンに象徴される、意思決定過程への参加を制度化したものといえます。

一方、フェミニズムの研究者・活動家の間では、同法の限界についての議論も続いています。「理念法」にとどまり実効性に課題があること、ジェンダー二元論的な枠組みが基本となっていること、格差是正のための数値目標が努力義務にとどまることなどが指摘されています。具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

フェミニズムの問題提起と呼応する形で、2007年以降も多くの法改正・新法が成立しました。主なものを以下に示します。

  • 2007年男女雇用機会均等法改正(間接差別の禁止規定追加・第7条、性差別の定義拡大)
  • 2015年女性活躍推進法成立(常時雇用301人以上の事業主に行動計画策定・届出義務)
  • 2018年:政治分野における男女共同参画の推進に関する法律成立(候補者男女均等を努力義務化)
  • 2019年:女性活躍推進法改正(301人→101人以上へ義務対象拡大)
  • 2020年:パワーハラスメント防止法(労働施策総合推進法改正)大企業施行、2022年中小企業にも義務化
  • 2021年育児・介護休業法改正(産後パパ育休創設・企業の育休取得率公表義務、2022年施行)
  • 2022年:AV出演被害防止・救済法成立、女性活躍推進法改正(101人以上への情報公表義務強化)
  • 2023年刑法改正(不同意性交等罪への改称・第177条、公訴時効の延長)
  • 2023年:LGBT理解増進法成立
  • 2024年配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律改正(精神的暴力を保護命令対象に追加・第10条第1項)
  • 2025年:育児・介護休業法改正施行(子の看護休暇拡充・柔軟な働き方確保措置の義務化)

議論の現在地

2026年時点において、フェミニズムをめぐる議論は複数の方向に展開しています。賛否両論を整理します。

進展面として評価される点では、性犯罪被害者支援の充実、企業における女性活躍推進の数値目標設定義務化、男性育休取得率の上昇(2023年度:30.1%、厚生労働省「雇用均等基本調査」)、地方議会の女性議員比率の緩やかな改善が挙げられます。

課題・批判面では、世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数(GGI)における日本の順位が2024年に146カ国中118位と低迷を続けており、特に政治分野(113位)・経済分野(120位)での遅れが国際的に指摘されています。また、フェミニズムへの反発(バックラッシュ)として「行き過ぎた平等主義」「逆差別」を主張する議論もSNS上で展開されており、対立的な言説が社会的摩擦を生んでいます。

フェミニズム内部の議論としては、トランスジェンダー女性の包摂についての論点が、国際的なフェミニズム運動においても継続的に議論されている未解決の課題です(英国・米国での「TERF論争」と呼ばれる論争)。「女性の権利保護とトランスジェンダーの権利保護をどのように両立させるか」という問いは、現時点で結論が出ておらず、さまざまな立場から議論が続いています。本記事は特定の立場に結論を与えるものではありません。

残された課題

2026年時点においても、以下のような課題が指摘されています。

第一に、政治分野の女性参画比率の低迷です。衆議院議員に占める女性比率は2024年10月総選挙後で約16%にとどまり、OECD諸国平均(約33%)を大きく下回っています。「202030」目標(2030年までに指導的地位の女性比率30%)の達成は、現状では困難な見通しです。

第二に、ジェンダー賃金格差(ジェンダーペイギャップ)の解消です。フルタイム労働者ベースで女性の賃金は男性の約75.7%(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年)にとどまっており、同一労働同一賃金原則の実効性確保が課題です。

第三に、ケア労働(家事・育児・介護などの無償労働)の偏在です。生活時間調査において、日本では家事・育児・介護にかける時間の男女差が先進国の中でも特に大きく、構造的な問題として残っています。

第四に、法的枠組みの実効性確保です。男女共同参画社会基本法は理念法であり、具体的な差別是正・数値目標達成のための実効的手段が引き続き問われています。

フェミニズムの主要潮流と各波の比較

フェミニズムの主な理論的類型

フェミニズムには複数の理論的潮流が存在します。主な類型を整理します。

リベラル・フェミニズムは、自由主義的な個人の権利・機会の平等を重視します。法制度の改革と機会の均等によって性差別を解消できると考えます。男女雇用機会均等法・女性活躍推進法など日本の法政策はこの立場の影響を強く受けています。

ラジカル・フェミニズムは、社会の根底にある「家父長制(patriarchy:男性による支配構造)」そのものを問題とします。法的平等だけでは不十分であり、性別役割分業・性的支配の構造を根本から変革する必要があると主張します。

社会主義フェミニズムは、資本主義と家父長制の複合的な支配を問題視します。ケア労働(育児・介護・家事)の無償化・社会化を求める主張は、この立場から多く提起されています。

インターセクショナル・フェミニズムは、性別・人種・階級・性的指向・障害・国籍など複数の差別軸の交差(インターセクショナリティ)を重視します。現代フェミニズムの主流的視点の一つとなっており、日本でも2010年代以降に急速に普及しました。

エコフェミニズムは、環境問題と女性差別の問題を結びつけ、自然環境への支配と女性への支配を同根の問題として捉えます。

第1波から第4波の特徴比較

時期 主な争点 代表的成果 日本での対応
第1波 19世紀末~1920年代 参政権・法的権利の獲得 女性参政権実現(米国1920年、日本1945年) 青鞜社、婦人参政権運動、市川房枝らの活動
第2波 1960年代~1980年代 職場差別・性暴力・リプロダクティブライツ 男女雇用機会均等法(日本1985年)、CEDAW採択(1979年) ウーマンリブ運動(1970年代)、均等法制定
第3波 1990年代~2000年代 インターセクショナリティ・文化・LGBTQ+ 男女共同参画社会基本法(日本1999年)、CEDAW選択議定書 男女共同参画センター設置、基本計画策定
第4波 2010年代~現在 デジタル空間での暴力・ハラスメント・性暴力 #MeToo運動、性犯罪刑法改正(日本2023年) #KuToo、WeToo Japan、DV防止法改正(2024年)

市民がフェミニズムを学び・実践するための窓口と手がかり

公的学習リソース

フェミニズムとジェンダー平等について学ぶための公的リソースとして、以下が活用できます。

内閣府男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/)では、男女共同参画白書・基本計画・統計データが無料で公開されています。各都道府県・市区町村の男女共同参画センター(女性センター)では、無料または低廉な受講料で講座・相談・図書資料の提供が行われています。

国立女性教育会館(NWEC)は、女性教育・ジェンダー平等の研究・研修・情報センターとして機能しており、オンライン学習資材も公開しています。また、大学の公開講座や市民向けシンポジウムでジェンダー論・フェミニズム入門が提供されることも多くなっています。

職場・地域での実践

フェミニズムの理念を日常生活・職場・地域で実践するための手がかりとしては、以下が参考になります。

アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修は、多くの企業・自治体で導入されており、ジェンダー規範に基づく固定観念を可視化・軽減する取り組みとして広がっています。パブリックコメント制度を活用して、男女共同参画基本計画の改定やハラスメント対策ガイドラインの整備過程に市民の意見を届けることも可能です。地方議会の傍聴・陳情・請願を通じて、自治体の男女共同参画条例やパートナーシップ制度の制定・改定に意見を表明する手続きも整備されています。

企業においては、女性活躍推進法に基づく行動計画・えるぼし認定の活用、ハラスメント相談窓口の整備、育児・介護休業取得の推進などが具体的な実践として位置づけられています。

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相談窓口

性差別・ハラスメント・DV等の問題に関わる主な公的相談窓口を示します。

  • DV相談ナビ:#8008(短縮ダイヤル)。配偶者暴力相談支援センター等への案内(無料)
  • 性犯罪被害相談電話:#8103(ハートさん)。都道府県警察の性犯罪相談窓口へつながります
  • 法テラス(日本司法支援センター):0570-078374。弁護士費用の立替制度・法律相談の紹介
  • よりそいホットライン(社会的包摂サポートセンター):0120-279-338(24時間365日)。性的マイノリティ専用回線あり

心身の不調を感じる場合は、医療機関・精神保健福祉センター・専門相談窓口へご相談ください。具体的な法的事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. フェミニズムは「男性を差別する思想」ですか?
フェミニズムの主流的立場は、特定の性別を優劣で捉えるのではなく、ジェンダーに基づく差別構造そのものを問題とします。男性もジェンダー規範の影響を受けており、フェミニズムの問題提起は男性の生きづらさにも関わると議論されています。「男性を差別する思想」という見方は、フェミニズムの多様な潮流の一部に対する批判に基づくことが多く、全体像を正確に表していません。
Q2. 第1波・第2波・第3波・第4波の最大の違いは何ですか?
第1波は参政権などの法的権利の獲得、第2波は職場差別・性暴力・家庭内権力関係など生活全般の平等、第3波はインターセクショナリティ(複数の差別軸の交差)と文化的問題、第4波はデジタル・ソーシャルメディアを媒体とした運動(#MeTooなど)が中心的な争点です。各波は断絶ではなく積み重なりであり、前の波の課題が後の波にも引き継がれています。
Q3. 日本のフェミニズム運動の出発点はいつですか?
近代日本のフェミニズム運動の出発点としては、1911年の青鞜社設立(平塚らいてう)が広く挙げられます。「元始、女性は太陽であった」という宣言は、日本の女性解放思想の象徴的な言葉となっています。政治的運動としては、1920年代の婦人参政権運動(市川房枝ら)が本格化しました。
Q4. 男女共同参画社会基本法とフェミニズムはどのような関係ですか?
男女共同参画社会基本法(1999年)は、フェミニズム運動・研究が積み重ねてきた問題提起を、政策・制度として具現化した法律の一つと位置づけられます。1995年の北京世界女性会議・北京行動綱領が直接の契機となり、ウーマンリブ以来の国内女性運動の蓄積が地盤を形成しました。
Q5. インターセクショナリティとはどういう意味ですか?
インターセクショナリティ(交差性)とは、性別・人種・階級・性的指向・障害・国籍など複数の差別軸が交差することで、それぞれ単独の差別よりも複合的な不利が生み出されるという概念です。法学者のキンバリー・クレンショーが1989年に提唱しました。例えば「女性であること」と「外国にルーツを持つこと」が重なることで、どちらか単独よりも就労・生活上の困難が複合化する現象などを分析する枠組みです。
Q6. フェミニズムを学ぶにはどこから始めればよいですか?
入門としては、内閣府男女共同参画局が公開している男女共同参画白書(無料)や、各地の男女共同参画センター・女性センターで提供している無料講座が取っつきやすい出発点です。書籍では、bell hooks著『フェミニズムはみんなのもの』(新水社)や、江原由美子・山田昌弘編著『ジェンダーの社会学入門』(岩波テキストブックス)などが入門書として広く読まれています。

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