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生理の貧困(Period Poverty)とは|学校・職場・自治体の支援と2026年の現状

生理用品を買うお金がない、学校のトイレに生理用品が置かれていない、恥ずかしくて誰にも相談できない——。こうした状況に置かれることを「生理の貧困(Period Poverty)」と呼び、2021年頃から日本でも広く認識されるようになりました。コロナ禍による経済困窮が多くの人の実態を浮かび上がらせ、NPOや研究者の調査が「5人に1人が生理用品の入手に苦労した経験を持つ」という数字を示したことで、社会的な関心が急速に高まりました。生理の貧困は、単なる「生理用品が買えない問題」ではありません。経済的困窮・物理的アクセスの欠如・スティグマ(羞恥・汚名)・情報不足が複合的に絡み合い、教育の機会・就労・健康・尊厳に影響を与える、ジェンダー平等の根幹に関わる課題です。本記事では、生理の貧困の定義・日本の実態・法的位置づけ・国際比較・自治体や市民の取り組みを体系的に整理し、2026年時点での現状と残された課題を解説します。ハラスメント・生活支援に関わる企業人事担当者、学校教育関係者、自治体職員、そして市民活動に関心をお持ちのすべての方を主な読者として想定しています。

目次

生理の貧困(Period Poverty)とは何か

定義と国際的な認識

生理の貧困(Period Poverty)とは、経済的理由・物理的アクセスの欠如・情報不足・スティグマ(羞恥・汚名)などの要因により、月経中に適切な衛生用品・情報・施設・支援を得られない状態を指します。国際連合機関(UN WomenやUNICEF)は、生理の貧困を女性・少女の人権問題として位置づけており、教育機会の喪失・健康被害・尊厳の侵害に直結するとしています。

英語では “Period Poverty” または “Menstrual Poverty” とも表記されます。ユネスコは生理の貧困が世界で推定5億人以上に影響を与えていると報告しており、開発途上国だけでなく先進国においても深刻な問題として認識されています。日本でも2021年以降、NPOや公的機関の調査によって実態が可視化され、政策的対応が始まっています。

経済的貧困だけではない多面的な問題

生理の貧困は、単に「生理用品が買えない」という経済的問題にとどまりません。以下のような多面的な障壁が複合的に絡み合っています。

  • 経済的障壁: 生活保護受給世帯や母子家庭など、低所得層において生理用品の購入が家計を圧迫する場合があります。日本では生理用品に消費税10%が課税されており、毎月の出費として積み重なります。
  • 物理的アクセスの障壁: 学校・職場・避難所などの公共施設のトイレに生理用品が設置されていない状況です。急な月経開始時に対応できず、外出や登校を控えるケースも報告されています。
  • 情報・教育の障壁: 月経に関する正確な情報を得られず、衛生管理の方法がわからない場合があります。特に保護者からの情報提供が乏しい家庭環境では、学校教育が唯一の情報源となることも少なくありません。
  • スティグマの障壁: 月経を「恥ずかしいこと」「隠すべきこと」とする社会的規範が、当事者の相談や支援要請を妨げます。
  • ジェンダー規範の障壁: 月経経験のある人(トランスジェンダー男性・ノンバイナリーを含む)が「女性向け」として設計されたサービスや支援にアクセスしにくい状況が生じることもあります。

これらの障壁は単独ではなく、貧困・教育・文化・制度の複合要因として絡み合っており、総合的なアプローチが求められます。

生理用品とジェンダー平等の関係

生理の貧困は、ジェンダー平等と切り離せないテーマです。月経は多くの場合、女性・少女が経験する身体的プロセスであり、それに関連する社会的・経済的な不利益は、構造的なジェンダー不平等の一側面とみなされています。たとえば、生理用品に対する消費税が食料品より高く設定されていることは、実質的に月経経験者にとって重い税負担になるという「タンポン税(Tampon Tax)」論争にもつながっています。

また、学校での月経教育の充実は、ジェンダー平等教育の根幹に関わる課題でもあります。内閣府の男女共同参画基本計画においても、女性の健康支援は基本政策の一部として位置づけられており、生理の貧困対策はその具体的な実践課題のひとつです。

日本での実態|コロナ禍が顕在化させた問題

2021年の調査が示す実態

日本で生理の貧困が広く知られるようになったきっかけは、2021年3月に公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンが実施したオンライン調査です。この調査では、過去1年間に「金銭的な理由から生理用品の入手に苦労したことがある」と回答した20代以下の女性・少女が、回答者の約5人に1人(20.1%)に上るという結果が明らかになりました(調査回答数4,566名)。さらに「生理用品の代わりにティッシュやトイレットペーパー、布を使ったことがある」という回答も多数報告されています。

NPO法人「#みんなの生理」も同年に独自調査を実施し、経済的理由に加えて心理的な「言い出せなさ」が問題を深刻化させていると報告しました。こうした実態は、それまでタブー視されて「見えなかった問題」が、コロナ禍による経済的困窮とSNSでの当事者発信によって急速に可視化されたものといえます。

誰が影響を受けているか

生理の貧困は、特定の属性を持つ人々に集中して現れる傾向があります。主な影響を受けやすい層としては、以下が挙げられます。

  • 生活保護受給世帯の子ども・若者
  • ひとり親(母子)家庭
  • 奨学金に依存する学生
  • 外国籍の方・日本語でのコミュニケーションが困難な方
  • ホームレス状態にある女性
  • 配偶者からのDV(ドメスティック・バイオレンス)によって経済的支配を受けている方
  • 災害時・避難所生活中の方

特にDVによる経済的虐待と生理の貧困は深く結びついており、加害者が生活費や日用品の購入を管理・制限することで、被害者が生理用品を入手できない状況が生じる場合があります。生理の貧困は、DV被害の一形態として捉えることも重要です。

スティグマが解決を阻む構造

生理の貧困の解決を難しくする要因のひとつが、月経に対する社会的スティグマです。「月経は恥ずかしいこと」「人前で話すものではない」という規範が根強い社会では、当事者が困窮を周囲に打ち明けたり、支援を求めたりすることを躊躇する傾向があります。学校や職場でも「生理の話題を出しにくい雰囲気」が報告されており、支援の受け取りやすい環境づくりが重要な課題となっています。

国際的にも、月経に関するスティグマが少女の学習機会を損なう一因であると指摘されており(UNESCO、2014年報告書)、教育・啓発活動による意識変革が不可欠とされています。スティグマを解消しない限り、制度的支援があっても活用されにくい状況が続くことになります。

男女共同参画・ジェンダー平等との接続

男女共同参画社会基本法との関係

男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)は、その基本理念において「男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現」を掲げています(第2条)。生理の貧困は、月経経験者の尊厳と社会参加(教育・就労)を直接的に損なう問題であるため、同法の基本理念と密接に関わります。

第5次男女共同参画基本計画(2020年12月閣議決定)では「女性の健康の包括的支援」が重点事項に位置づけられ、生理用品へのアクセスも間接的に政策射程に入っています。ただし、生理の貧困を直接対象とする単独の法律は2026年時点では存在しておらず、子どもの貧困対策・生活保護制度・地方自治体の独自施策が主な対応手段となっています。

生理休暇(労働基準法第68条)の現状

日本の労働基準法(昭和22年法律第49号)第68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定め、生理休暇の取得権を保障しています。

しかし、厚生労働省の就労条件総合調査によれば、生理休暇の実際の取得率は非常に低く、2020年代においても1%未満にとどまるとされています。背景には「職場に申し出にくい」「周囲に迷惑をかける」という心理的障壁や、非正規労働者・個人事業主への適用の不明確さが指摘されています。法的権利が存在していても実効性を担保するためには、職場文化の変革が不可欠です。

子どもの貧困対策法との重なり

子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年法律第64号、最終改正: 令和元年)は、「教育の支援」「生活の支援」「保護者への就労の支援」「経済的支援」の4分野を柱に掲げています。生理用品へのアクセスは「生活の支援」に含まれるとみなすことができ、スクールソーシャルワーカーが子どもの生理の貧困を把握して支援につなぐ役割を担う場合もあります。

2023年に発足したこども家庭庁は、こうした複合的な子どもの貧困課題を一元的に所管する組織として設置されており、生理の貧困対策との連携強化が期待されています。こども基本法(令和5年法律第77号)が掲げる「子どもの最善の利益」の観点からも、生理用品へのアクセスを保障することは重要な政策課題です。

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現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

生理の貧困は2021年以降に急速に社会的認識が広まったテーマであり、2007年時点では政策的に論じられていませんでした。以下に、関連する主な政策・制度的展開を整理します。

  • 2012年: 生活保護法改正 —— 生活扶助基準の見直しにより衛生日用品費の算定方法が変更されました。生理用品は日常生活費の中に含まれますが、個別品目としての明示はなく、支給額の妥当性が問われる場合があります。
  • 2019年: 子どもの貧困対策法改正 —— 「市町村計画」策定の努力義務化などが盛り込まれ、地域レベルでの子どもの生活支援が強化されました。
  • 2021年: 自治体・学校での生理用品無料配布の広がり —— コロナ禍を契機に、東京都・大阪府・千葉県など多くの自治体が独自に生理用品の配布・設置を開始しました。国(内閣府)は同年、生理の貧困問題を正式に認識し、地方交付税を活用した自治体支援の枠組みを設けました。
  • 2022年: 女性活躍推進法改正施行 —— 101人以上の企業に女性の活躍に関する情報公表義務が拡大されました。女性の健康支援(生理休暇取得しやすい環境整備等)も職場環境整備の観点から注目されています。
  • 2023年: こども基本法施行・こども家庭庁発足 —— 子どもの生活の質向上が政策目標として明確化され、生理の貧困を含む複合的支援の一元的推進が期待されます。
  • 2025年以降: 第6次男女共同参画基本計画 —— 2025年度をめどに策定が進む第6次計画では、生理の貧困を含む「女性の健康」領域が引き続き重点分野となる見通しです。

議論の現在地

2026年現在、生理の貧困をめぐる議論はいくつかの軸で展開されています。

推進側の主な論点

  • 生理用品は食料や医薬品と同様の生活必需品であり、公的支援の対象とすべきである。
  • 学校トイレへの生理用品設置は、経済的事情にかかわらず子どもの学習権・出席権を守る合理的配慮である。
  • スコットランドの「生理用品無料アクセス法」(2021年施行)に倣い、日本でも国レベルの法制化が必要との声がある。
  • 生理用品の消費税を軽減税率(8%)の対象とすることで月経経験者の経済的負担を軽減すべきである。

慎重・反対側の主な論点

  • 生理用品の無料配布は財政負担を伴い、優先順位を含む政策判断が必要である。
  • 支援対象の定義や運用設計に複雑さが生じるため、段階的・試験的な導入から始めるべきとの意見もある。
  • 消費税軽減税率の対象拡大は税制全体のバランスや財源論の観点から慎重な検討が必要という主張もある。

いずれの立場においても、月経経験者の尊厳と社会参加を守ることの重要性は共通認識となりつつあります。政策的手段(法制化・補助金・自治体裁量)の選択については、現在も議論が続いています。

残された課題

2026年時点において、生理の貧困対策には以下のような未解決の課題が残されています。

  • 法制化の不在: スコットランドのような「生理用品無料アクセス法」は日本では未制定であり、自治体ごとの対応に依存する状態が続いています。全国一律のアクセス保障は実現していません。
  • 自治体間格差: 都市部(東京・大阪・名古屋等)では施策が先行している一方、地方や小規模自治体での取り組みは遅れている傾向があります。住む場所によって受けられる支援に差が生じています。
  • 災害時・緊急時の対応: 地震・台風等の災害時の避難所における生理用品の備蓄・配布体制は、自治体によって整備状況に大きな差があります。能登半島地震(2024年)でも避難所での衛生用品不足が報告されました。
  • トランスジェンダー・ノンバイナリーへの配慮: 月経経験のある男性(トランスジェンダー男性)やノンバイナリーの方が「女性向け」として設計されたサービスにアクセスしにくい場合があります。インクルーシブな制度設計が求められています。
  • スティグマの解消: 支援を受けること自体への羞恥心・抵抗感を取り除くための社会的意識変革は、制度整備と並行して長期的に取り組む必要があります。
  • 消費税の問題: 生理用品は2026年時点でも消費税10%の課税対象です。欧州諸国での軽減税率・ゼロ税率化(ドイツ2020年・イギリス2021年等)との乖離が指摘されています。

国際比較|各国の政策と日本の現在地

スコットランドの先進的立法

生理の貧困対策において世界的に注目される先例が、スコットランドの「生理用品無料アクセス法(Period Products (Free Provision) (Scotland) Act 2021)」です。2021年1月にスコットランド議会で全会一致で可決されたこの法律は、あらゆる人が無償で生理用品を入手できる権利を法的に保障した世界初の立法として知られています。自治体・学校・図書館・保健センター等の公共施設に生理用品を常備することを義務化しており、実施費用は公的財源で賄われています。

同法は「月経は自然な身体プロセスであり、それに伴うコストが個人の社会参加を妨げてはならない」という基本的人権の観点から設計されており、日本の政策議論においても参照されることが増えています。

各国の生理の貧困対策比較

国・地域 主な施策 法的根拠・実施主体 対象
スコットランド 全公共施設での無料提供(法制化) Period Products Act 2021 / 自治体 全住民
イングランド 小中学校・高校での無料提供 政府補助プログラム(2019年~) / 学校 学齢期の児童・生徒
ニュージーランド 学校での無料提供 政府プログラム(2021年~) / 学校 学齢期の児童・生徒
フランス 26歳以下への補助・低価格提供 社会保障制度 / 薬局など 26歳以下
ドイツ 生理用品の消費税を19%→7%に引き下げ 2020年税制改正 / 中央政府 全消費者
インド 生理用品へのGST(消費税)免除 2018年税制改正 / 中央政府 全消費者
日本 自治体による任意の無料配布・設置 法制化なし / 自治体・学校の独自判断 自治体が個別に設定

(出典: 各国政府公式発表・UN Women報告書等を基に作成。2026年時点の情報に基づく概略。)

日本との差異と示唆

上記の比較から、日本の最大の特徴は「法制化なし・自治体任意」という点です。自治体が独自に取り組む余地はあるものの、財政規模・首長の施策優先度・地域の意識によって対応に差が生じています。スコットランド型の「すべての人が無償でアクセスできる権利」を国が保障する枠組みを構築するかどうかは、日本においても今後の政策課題として議論されていくことが予想されます。

また消費税については、ドイツ(2020年に軽減)・イギリス(2021年にゼロ税率化)などが軽減措置を実施しています。日本では生理用品の消費税は10%のまま維持されており、軽減税率適用への議論は継続中です。欧州の動向が日本国内の政策議論に与える影響は、今後も注目されます。

自治体・学校・企業の取り組み事例

自治体の無料配布・設置の広がり

2021年以降、多くの自治体が生理の貧困対策として独自の取り組みを始めました。東京都では女性相談センターや区市町村の窓口で生理用品の配布を実施したほか、千葉県・大阪府・京都府なども同様の取り組みを開始しました。内閣府男女共同参画局の調査によれば、2023年時点で全国の半数以上の都道府県が何らかの生理用品の無料提供施策を実施していると報告されています。

自治体の取り組みには、(1)女性相談窓口での配布、(2)学校・公民館・図書館のトイレへの設置、(3)フードバンク・子ども食堂との連携、(4)防災備蓄への生理用品追加など、複数のアプローチがあります。地方交付税の活用や国庫補助の枠組みが整備されたことで、小規模自治体でも取り組みやすくなっています。

学校トイレへの生理用品設置

学校のトイレに生理用品を設置することは、経済的背景に関わらず子どもの出席・学習を支える合理的配慮として注目されています。日本では2021年以降、東京都渋谷区・横浜市・神戸市などが公立小中学校のトイレへの設置を開始しました。文部科学省も2022年度以降、スクールソーシャルワーカーを通じた子どもの生理の貧困把握・支援を推奨するよう自治体へ通知を出しています。

設置形態は、(A)女子トイレ個室への常備、(B)養護教諭室での配布、(C)複数の性別対応トイレへの設置(インクルーシブ型)など様々です。どの設置形態が最も利用しやすいかは、当事者の意見を取り入れながら各校・各自治体が検討を続けており、「申請なしで取れる」仕組みの重要性が強調されています。

市民活動・NPOと企業の貢献

制度的な対応が追いつかない中、市民・NPOの活動が大きな役割を果たしています。NPO法人「#みんなの生理」(2021年設立)は、生理の貧困の実態調査・啓発・政策提言・学校や自治体との連携を積極的に行っています。フードバンクや子ども食堂を運営する団体が生理用品の寄付受け入れ・配布を組み合わせる形も広がっています。

企業の側でも、生理用品の職場トイレへの設置を福利厚生として導入する動きが増え、「健康経営」の観点から注目されています。経済産業省が2023年度より健康経営優良法人認定制度において女性の健康支援を評価項目に加えたことで、企業の取り組みを促進する仕組みが整いつつあります。

市民・個人にできること

NPO・支援団体への参加・寄付

生理の貧困対策は、個人の関与によって実質的に前進します。NPO法人「#みんなの生理」や地域のフードバンクでは、生理用品の現物寄付・金銭寄付・ボランティア参加を受け入れているところがあります。活動に参加することで、当事者の声を政策に届けるアドボカシー(権利擁護活動)にも貢献できます。寄付の際には、各団体の受け入れ基準(未使用・期限内等)を確認することが大切です。

また、「生理の貧困」をテーマとした啓発イベント・学習会への参加も、地域の理解を広めるための一歩となります。SNSでの正確な情報の拡散も、スティグマ解消に役立てることができます。

職場・地域での意識啓発

職場や地域コミュニティにおける意識変革も重要です。生理休暇(労働基準法第68条)が取得しやすい職場環境を整えることや、月経に関する話題を「隠すべきこと」ではなく健康管理の一環として自然に扱える雰囲気づくりが求められます。管理職・人事担当者が月経に関する知識を持ち、合理的配慮を検討することは、女性活躍推進法(平成27年法律第64号)が求める職場環境整備の一部とも関連します。

地域では、子ども食堂や地域のサロンで生理用品の提供を組み合わせることや、自治体の男女共同参画担当課への施策要望を届けることも、市民参画の具体的な形のひとつです。

政策への参加(パブリックコメント・陳情)

国や自治体の政策形成プロセスへの参加も有効な手段です。内閣府が実施する男女共同参画基本計画のパブリックコメント(意見募集)や、地方議会への請願・陳情を通じて、生理の貧困対策の充実を求める意見を届けることができます。過去には、地域住民の要望をきっかけに学校トイレへの生理用品設置が実現した事例も報告されています。

パブリックコメントの提出方法や請願の書き方は、各自治体の公式サイトや男女共同参画センターで案内されています。市民ひとりひとりの意見表明が、政策を動かす力になり得ます。

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相談窓口・支援先リスト

生理の貧困を含む生活困窮・ジェンダーに関連した問題について、以下の公的窓口に相談することができます。

  • 女性相談センター(各都道府県設置): DV・生活困窮・生理の貧困など、女性が抱えるさまざまな問題について相談できます。都道府県の配偶者暴力相談支援センターが窓口を担っている場合が多く、秘密は厳守されます。
  • DV相談ナビ(♯8008): 電話番号♯8008に発信すると、最寄りの配偶者暴力相談支援センター等に接続されます。DVによる経済的支配の結果として生理用品にアクセスできない場合も含めて相談できます。(通話料がかかる場合があります)
  • 法テラス・サポートダイヤル(0570-078374): 経済的に困窮している方が法的な問題を抱えている場合、弁護士・司法書士費用の立替制度(審査あり)を利用できます。生活保護申請のサポートなど、生理の貧困の背景にある経済問題に関する法律相談にもつながることができます。
  • 生活困窮者自立支援相談窓口(各市区町村): 生活困窮状態にある方の自立を支援する総合的な相談窓口です。生理用品購入費を含む生活費の支援(一時生活支援事業等)につながる場合があります。

具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。心身の不調を感じる場合は、医療機関・精神保健福祉センター・専門相談窓口へご相談ください。

まとめ

生理の貧困(Period Poverty)は、経済的困窮・物理的アクセス・スティグマが複合した多層的な問題であり、ジェンダー平等・子どもの権利・社会的包摂と深く結びついています。日本では2021年以降、自治体・学校・NPO・企業による対応が広がりましたが、スコットランドのような法的保障はなく、自治体間格差や制度の空白が残されています。

2026年現在、生理の貧困は「女性だけの問題」ではなく、月経経験のあるすべての人——トランスジェンダー男性・ノンバイナリーを含む——が安心して社会参加できる環境を整えるための、社会全体で取り組むべき課題として認識されるようになっています。制度・法律・意識の三方向からの変革が、この問題の解決に欠かせません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 生理の貧困は日本でどのくらいの人が影響を受けていますか?

2021年のプラン・インターナショナル・ジャパンの調査では、20代以下の女性・少女の約5人に1人(20.1%)が「過去1年間に経済的な理由で生理用品の入手に苦労した」と回答しています。スティグマにより申告しにくいという点を踏まえると、実際の影響人数はさらに多い可能性があります。

Q2. 日本には「生理の貧困」に関する法律はありますか?

2026年時点では、生理の貧困を直接対象とした単独の法律は存在しません。男女共同参画社会基本法・子どもの貧困対策法・生活保護法などの関連法が間接的に適用される場合はありますが、スコットランドのような「生理用品無料アクセス法」に相当する法制化は実現していません。自治体の独自施策が主な対応手段となっています。

Q3. 生理休暇は誰でも取れますか?

労働基準法第68条により、生理日の就業が著しく困難な女性労働者は雇用主に生理休暇を申請できます。有給か無給かは会社の規定によって異なり、法律上は無給でも可とされています。取得率は1%未満程度(2020年代)にとどまっており、職場文化の変革が課題です。月経経験のあるトランスジェンダー男性等への適用については個別判断が必要となる場合があります。

Q4. 生理用品の消費税は軽減税率の対象になりますか?

2026年時点では、生理用品は消費税10%の課税対象であり、食料品(8%軽減税率)とは異なる扱いです。軽減税率適用を求める議論はあり、ヨーロッパ各国での軽減・ゼロ税率化の動向も参照されていますが、日本では政策的な意思決定は2026年現在未実施です。

Q5. 個人として生理の貧困対策に参加するにはどうすればよいですか?

NPO法人「#みんなの生理」等への寄付・ボランティア参加、地域のフードバンクや子ども食堂への生理用品の現物寄付、自治体の男女共同参画計画へのパブリックコメント提出などが挙げられます。職場での生理休暇取得を支援しやすい環境づくりや、月経に関するスティグマを減らす日常的な意識変革も、個人レベルで取り組めることです。

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