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DE&Iとは|ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの概念と日本の現状【2026年版】

「ダイバーシティ(多様性)を推進しましょう」という言葉は、企業の人事施策や行政の方針文書で広く見かけるようになりました。しかし近年は、多様性の「存在」を認めるだけでなく、公平な処遇と帰属意識を一体的に追求するDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)という統合的な概念が注目を集めています。なぜ「ダイバーシティ」単独では不十分なのか、エクイティ(公平性)とインクルージョン(包括性)が加わることで何が変わるのか――この問いは、職場環境の改善から国際競争力の維持まで、多くの場面に直結します。

日本では、男女共同参画社会基本法(1999年施行)を軸に性別平等が法的に位置づけられてきました。しかしDE&Iはその枠を超え、性的指向・性自認・障害・国籍・年齢など多様な属性を包摂する概念です。本記事では、DE&Iの3つの構成要素の違いを丁寧に整理したうえで、日本の法的枠組みとの接点、2026年時点での企業・組織の実践状況、市民一人ひとりがDE&Iに関わる具体的な方法を解説します。人事・労務担当者、男女共同参画推進員、多様性社会の実現に関心を持つすべての方に向けた内容です。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断については弁護士など専門家への相談をご検討ください。

目次

DE&Iとは何か|ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの3概念

ダイバーシティ(Diversity/多様性)の意味

ダイバーシティとは、組織や社会を構成するメンバーが、性別・年齢・国籍・民族・障害の有無・性的指向・性自認・宗教・育成背景など多様な属性を持つ状態を指します。単に「さまざまな人がいる」という現状の描写であり、それ自体は組織が意図的につくり出す施策とは区別されます。

企業においては1990年代以降、「多様な人材を活用する」という経営上の視点からダイバーシティ推進が広まりました。当初は主に性別・障害・外国籍に焦点が当たっていましたが、現在はSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity/性的指向と性自認)や、育児・介護と仕事の両立といった「ライフスタイルの多様性」まで対象が拡張されています。

ダイバーシティは「推進する」ことで積極的に追求できますが、多様な人材が組織に集まったとしても、公平に扱われ、実際に貢献できる環境がなければ意味をなしません。この課題意識が次の「エクイティ」と「インクルージョン」の概念を呼び込みました。

エクイティ(Equity/公平性)とイクオリティ(Equality/平等)の違い

DE&Iが旧来の「ダイバーシティ推進」から一歩進んだ重要な点の一つが、エクイティ(Equity)という概念の導入です。エクイティとよく混同されるのがイクオリティ(Equality/平等)です。

イクオリティは「全員に同じ機会・条件を与える」ことを意味します。一方、エクイティは「各人が置かれた状況の違いを認識し、公平な結果が得られるよう必要なサポートを調整する」ことを指します。たとえば、身長の異なる3人に同じ高さの踏み台を渡す(イクオリティ)のに対し、それぞれに必要な高さの踏み台を渡してフェンス越しに同じ景色を見せる(エクイティ)という比喩が広く使われます。

職場に置き換えると、管理職登用において「全員に同じ機会がある」と言いながら、ケア責任を担う人々(統計的に女性が多い傾向にある)が不利になる評価基準のままでは、形式的平等(イクオリティ)に留まります。エクイティは、こうした構造的な不公平を可視化し、補正しようとする考え方です。

インクルージョン(Inclusion/包括性)とは

インクルージョンとは、多様なバックグラウンドを持つすべての人が「排除されず、尊重され、本来の力を発揮できる」環境の実現を指します。組織にさまざまな属性の人材がいても(ダイバーシティ)、声が届かない・発言しにくい・正当に評価されにくいという状況であれば、インクルージョンは達成されていません。

研究者らは、インクルージョンを「帰属感(Belonging)」と「個としての独自性(Uniqueness)」の両立として定義することがあります。自分が集団に受け入れられていると感じながら、個人の特性や視点が尊重される状態が「インクルーシブ(包括的)な環境」です。多様な人材が「採用されてはいるが、参加しているとは感じられない」という状態の解消こそが、インクルージョン施策の本質的な目的とされます。

男女共同参画とDE&Iの法的関係|既存の法令枠組みとの接点

男女共同参画社会基本法との接点

男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号、1999年施行)は、日本のジェンダー平等の根幹をなす法律です。同法第3条から第7条にかけて、「男女の人権の尊重」「社会における制度または慣行についての配慮」「政策等の立案及び決定への共同参画」「家庭生活における活動と他の活動の両立」「国際的協調」という5つの基本理念が定められています。

DE&Iの考え方は、この基本理念の延長線上に位置づけられます。特に「男女の人権の尊重」は、性別に限らない多様な個人の尊厳という観点でDE&Iと共鳴します。一方、同法はその名が示すとおり主として性別(男女)を対象としており、性的指向・性自認・障害・国籍などDE&Iが包摂する多様な軸は、後年制定された個別法(LGBT理解増進法・障害者差別解消法等)が補完する形になっています。

女性活躍推進法・男女雇用機会均等法との連動

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法、平成27年法律第64号)は、2016年から施行され、2022年の改正で常時雇用者101人以上の企業にまで行動計画策定・情報公表の義務が拡大されました。これはDE&Iの「エクイティ」概念に近い考え方、すなわち「女性が活躍できる構造的条件の整備」を法的義務として課した制度です。同改正では、男女間賃金格差の情報公表も義務化されています。

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称:男女雇用機会均等法、昭和60年法律第45号)は、採用・昇進・教育訓練等における性別を理由とした差別的取り扱いを禁止します(第5条・第6条)。DE&Iの「ダイバーシティ(多様性)確保」のうち性別に関する部分を法的に担保するものとして機能しています。

DE&Iと関連法令・概念の整理

概念・制度 主な根拠法令(施行年) 主な対象軸 目的・焦点
男女共同参画 男女共同参画社会基本法(1999年) 性別(男女) 男女が対等に参画できる社会の形成
女性活躍推進 女性活躍推進法(2016年・改正2022年) 女性 職場における女性の登用・活躍環境の整備
雇用均等 男女雇用機会均等法(1986年・改正複数回) 性別 採用・昇進等における性差別の禁止
ハラスメント防止 労働施策総合推進法(改正2020年全面施行) 労働者全員 パワハラを含むハラスメントの防止義務
LGBTQ+・SOGI LGBT理解増進法(2023年成立) 性的指向・性自認 理解増進の努力義務(差別禁止・権利付与ではない)
障害者雇用 障害者雇用促進法/障害者差別解消法(改正2024年) 障害のある人 雇用率の確保・合理的配慮の提供義務
DE&I(統合概念) 特定の単一根拠法なし(各法令の横断的適用) あらゆる属性 多様性・公平性・包括性の統合的実現

この表が示すように、DE&Iは単一の法律を根拠とするものではなく、複数の法令が重なる形で法的基盤が形成されています。それだけに「法律を守れば自動的にDE&Iが実現する」わけではなく、組織文化・慣行の変革まで含めた積極的な取り組みが求められます。

日本企業のDE&I推進の現状|2026年の実態と課題

大企業を中心とした推進組織・施策の広がり

東証プライム上場企業を中心に、2010年代以降に「ダイバーシティ推進室」や「DE&I推進部」を設置する企業が増加しました。内閣府男女共同参画局が示す「女性版骨太の方針(2023年)」では、東証プライム上場企業に対して2025年3月期までに女性役員比率30%以上という目標が掲げられましたが、2025年時点での達成状況は目標に対して相当の差がある状況です。

DE&I推進の具体的な施策として多くの企業が取り組んでいるものには、以下のようなものがあります。

  • 女性管理職比率の目標設定と進捗の定期開示
  • 育児・介護休業の男女取得促進(特に男性育休の取得率向上)
  • アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修の全社実施
  • LGBTQ+当事者向けの社内相談窓口設置・同性パートナーシップ制度の整備
  • 障害者雇用における合理的配慮体制の強化
  • 外国籍人材向けの多言語対応と文化的包摂プログラムの実施

DE&I指標と認定・開示制度

DE&I推進の進捗を可視化するために、公的な認定・開示制度が整備されています。女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」(3段階)と最上位の「プラチナえるぼし認定」は、職場における女性活躍の取り組みを評価する制度です。子育て支援の観点からは「くるみん認定」と「プラチナくるみん認定」があります。これらの認定取得は企業ブランドの向上にも寄与するため、採用競争力の観点から積極的に取り組む企業が増えています。

ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大に伴い、機関投資家が女性役員比率・男女賃金格差・育休取得率などをスコアリングして投資判断に組み込む動きも広まっています。こうした外部からの要請がDE&I推進の後押しとなっている側面があります。

中小企業・地方組織における課題

DE&I推進の取り組みは大企業に偏在しており、中小企業や地方の組織では専任担当者の設置が難しく、施策が形式的に留まるケースも少なくありません。2022年の改正女性活躍推進法で行動計画の義務対象が101人以上に拡大されたことは、中規模企業への波及を促す一歩ですが、実効性の確保が引き続き課題です。また、地方では「ロールモデルが少ない」「地域の慣習が変化しにくい」といった文化的・社会的障壁も指摘されています。

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現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

DE&Iに直接・間接に関わる法令の整備は、2007年以降に大きく進展しました。主な動向は以下のとおりです。

  • 育児・介護休業法の累次改正(2009年・2017年・2021年・2022年): 男性の育児休業取得促進を中心に段階的に強化。2022年改正(令和4年)で「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、子の出生後8週間以内に最大4週間取得可能となりました。企業による育休取得率の公表義務も順次拡大されています。
  • 女性活躍推進法改正(2019年・2022年): 情報公表義務の対象が2022年改正で101人以上に拡大。男女間賃金格差の情報公表が義務化されました。
  • パワーハラスメント防止法(労働施策総合推進法改正、大企業2020年・中小企業2022年全面施行): 中小企業を含む全事業主にハラスメント防止措置が義務化されました。
  • LGBT理解増進法(2023年成立): 「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」として成立。理解増進の努力義務にとどまり、差別禁止規定や権利付与規定は含まれていません。
  • 障害者差別解消法改正(2021年成立・2024年4月施行): 民間事業者に対して合理的配慮の提供が努力義務から法的義務に格上げされました。DE&Iのインクルージョン実践に直接関わる改正です。
  • 性犯罪刑法改正(2023年): 「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」へと改称・要件再整理がなされ、性暴力被害の法的保護の枠組みが拡充されました。

議論の現在地

DE&Iをめぐっては、推進派と慎重・懐疑的な立場からさまざまな議論が続いています。

推進側の主な論点としては、DE&Iは経営上のリスク管理と機会獲得の両面で有効とする研究が蓄積されています。ジェンダー多様性の高い経営チームは財務パフォーマンスで優れる傾向があるとする研究報告(マッキンゼー社「Diversity Wins」2020年等)も多く引用されます。また、少子化・労働力不足が深刻化する日本において、これまで十分に活用されてこなかった女性・障害者・外国籍人材の能力を最大化することが国際競争力の維持に不可欠とする見方も有力です。

慎重・懐疑的な立場の論点としては、形式的な数値目標(クオータ的発想)が、能力評価よりも属性優先の採用・登用を招くリスクがあるとする指摘があります。また、DE&I推進の成果指標が明確でないため施策が自己目的化しやすいという批判や、文化的多様性への対応が欧米基準の一律的な押しつけになるという懸念も示されています。これらの評価は立場・価値観によって異なり、現在も社会的な議論の途上にあります。

残された課題

2026年時点でのDE&Iに関する主な残された課題は以下の3点です。

エクイティの実装困難: 公平性(エクイティ)の実現は、各人の状況を個別に把握・調整する必要があり、組織の運用コストが高くなりがちです。「どこまで差異に応じた対応を行うか」の基準策定が、多くの組織で未整備な状況です。

インターセクショナリティへの対応の遅れ: 「女性かつ障害者」「外国籍かつ育児中」のように複数の属性が交差する当事者への配慮は、単一軸の施策では不十分な場合があります。交差性(インターセクショナリティ)に基づく多層的なDE&I施策は、日本では取り組みが始まったばかりです。

中小企業・非正規労働者への普及: DE&I推進は大企業のブランド施策として機能しやすい一方、全労働者の多数を占める中小企業従業員や非正規労働者への恩恵が届きにくい構造的な課題が残っています。

DE&Iの多軸的アプローチ|ジェンダー以外の多様性視点

SOGI(性的指向・性自認)とDE&I

DE&Iの文脈では、ジェンダー平等(男女共同参画)の枠を超えて、SOGI(ソジ)(Sexual Orientation and Gender Identity/性的指向と性自認)への対応が重視されます。SOGI(ソジ)とは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クィア等、多様な性的指向と性自認を包括的に指す概念です。

2023年に成立したLGBT理解増進法は、性的指向・ジェンダーアイデンティティの多様性についての理解増進を目的としていますが、差別禁止規定は含まれていません。英国・カナダ・EU諸国などでは性的指向と性自認による差別を雇用差別禁止法で明示的に保護していることと比較すると、日本の法的保護には差があるという指摘があります。

職場での具体的な取り組みとしては、同性パートナーを法的配偶者に準じて扱う社内規程の整備、ジェンダーニュートラルなトイレの設置、性別欄を設けない書式の採用などが広まっています。

障害・年齢・国籍の多様性とインクルージョン

障害のある人のインクルージョンについては、2024年4月施行の改正障害者差別解消法により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。テレワーク・フレックスタイム・補助技術(AT)の活用など、合理的配慮の実施方法は多様化しており、DE&Iの一環として積極的に位置づける組織が増えています。

年齢の多様性については、高齢化社会の進展に伴い、60代・70代の就労継続とシニア層のインクルージョンが新たな課題として浮上しています。外国籍・外国にルーツを持つ方については、在留資格制度の変化と人手不足の深刻化を背景に就労者が増加しており、多言語・多文化対応が組織のインクルージョン実践の重要な要素となっています。

インターセクショナリティ(交差性)の視点

インターセクショナリティ(交差性)とは、法学者キンバリー・クレンショーが1989年に提唱した概念で、人種・性別・階級・障害・性的指向など複数の属性が交差することで、複合的な差別や不利益が生じることを示す分析的枠組みです。

たとえば「女性」という属性と「障害のある人」という属性が交差する場合、それぞれ単独の差別とは異なる複合的な困難が生じることがあります。単一軸(たとえば性別だけ)に基づくDE&I施策では、こうした複合的な不利を見逃す可能性があります。2026年時点の日本においても、交差性に基づく多層的なアプローチはDE&I推進の重要な発展課題として認識されつつあります。

市民・個人としてDE&Iに参画する方法

職場でのアライシップ(allyship)実践

アライシップ(allyship)とは、マイノリティや周縁化された立場の人々を積極的に支持・支援する姿勢と行動のことです。特定の属性を持つ人だけが関わるものではなく、マジョリティの立場にある人がDE&Iに能動的に関与することを指します。職場でのアライシップの具体例には、以下のようなものがあります。

  • 不当な発言や排除行為を目撃した際に、安全な形で声をあげる「積極的な傍観者(active bystander)」になること
  • 会議での発言機会が特定の人に偏っていないか注意を払い、声が届いていない人に発言の機会を促すこと
  • 採用・昇進の議論においてアンコンシャスバイアスが混入していないか問い直すこと
  • 相手が望まない限り、プライベートな属性(SOGI・障害・宗教等)を第三者に開示(アウティング)しないこと

アライシップの出発点は「知ること」です。自分自身のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を自覚するための研修や書籍への積極的な関与が推奨されています。

地域・コミュニティでの参画

DE&Iは職場だけの問題ではありません。自治体の男女共同参画審議会・市民委員会への参加、PTA・自治会などの地域活動における役員選出の多様化、ハラスメント相談員ボランティアへの参加など、市民としての関与の場は多岐にわたります。各自治体が開催するDE&Iや男女共同参画に関する講座・ワークショップへの参加も、理解を深める有効な手段です。

また、地域における防災・避難所運営にDE&Iの視点を持ち込むことも重要です。多様な属性を持つ人々が安心して避難・生活できる環境の整備には、平時からの参画と声のあげやすい場づくりが欠かせません。

心理的安全性のある環境をつくる

DE&Iが機能するためには、問題が起きたときに「声をあげることができる」心理的安全性(psychological safety)のある環境が不可欠です。個人としてできることの一つは、誰かが声をあげたときにその発言を傾聴し、批判ではなく受け止める姿勢を持つことです。小さな不公平や違和感への「あれ、おかしいな」という感覚を言語化することが、組織・地域の文化を少しずつ変えていく力になります。

ハラスメントを受けた場合や差別的扱いに気づいた場合は、日時・状況・発言内容などを記録として残しておくことが、後の対応を円滑にします。具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

公的相談窓口・サポートリソース

職場・地域のトラブルに関する主な相談先

職場や地域でのハラスメント・差別・DE&Iに関するトラブルについては、以下の公的窓口を利用できます。

  • 総合労働相談コーナー(厚生労働省設置・全国の労働局・ハローワーク内): 職場のハラスメント・差別・労働問題に関する相談を無料で受け付けています。
  • 配偶者暴力相談支援センター(DVに関する相談): 「DV相談ナビ(#8008)」に電話すると最寄りの相談窓口に接続されます。
  • 性犯罪被害相談電話(#8103): 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへ24時間つながります。
  • 法テラス(日本司法支援センター)(電話:0570-078374): 収入が一定額以下の方を対象に法律相談・弁護士費用の立替制度を提供しています。
  • よりそいホットライン(電話:0120-279-338): LGBTQ+当事者向けの専用ダイヤル(4番)も設けられています。

心身の不調を感じる場合は、医療機関・精神保健福祉センター・専門相談窓口へご相談ください。

まとめ|DE&Iと男女共同参画の交差点

DE&Iは、「多様な人材がいる(ダイバーシティ)」という状態の実現にとどまらず、公平な機会と処遇(エクイティ)の保障と、すべての人が排除されず本来の力を発揮できる環境(インクルージョン)の両立を目指す統合的な概念です。

日本の男女共同参画社会基本法や女性活躍推進法といった法的枠組みは、性別平等を中心に段階的に整備されてきましたが、DE&Iはその取り組みを性別以外の多様な軸(SOGI・障害・国籍・年齢等)に広げ、かつ「形式的な機会の平等」から「実質的な公平性と帰属感の実現」へと深化させる視点を加えます。

法改正・認定制度・ESG投資の後押しはあるものの、中小企業への普及・エクイティの実装・インターセクショナリティへの対応など、2026年時点でも課題は山積しています。市民一人ひとりが職場や地域でアライシップを実践し、声をあげやすい文化をつくっていくことが、DE&Iと男女共同参画の理念を現実に近づける力となります。

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よくある質問(FAQ)

Q. DE&Iと「ダイバーシティ推進」は同じですか?

厳密には異なります。ダイバーシティ推進は多様な属性の人材を在籍させることを主眼としますが、DE&Iはそこに「公平な処遇(Equity)」と「すべての人が排除されない環境(Inclusion)」を加えた3要素の統合を目指す概念です。多様な人材が揃っていても、昇進機会に不公平があったり発言しにくい組織文化があったりする場合、真のDE&Iが実現しているとはいえないとされています。

Q. DE&IとCSR・ESGはどう違いますか?

CSR(企業の社会的責任)とESG(環境・社会・ガバナンス)は企業の社会的持続可能性全般を問う概念です。DE&Iはその「社会(S)」の一要素として位置づけられることが多く、特に組織の内側における多様性・公平性・包括性の整備に焦点を当てます。近年はESG投資家が女性役員比率・男女賃金格差・育休取得率などをスコアリングして投資判断に組み込む動きが広まっており、DE&IとESGは密接に連動しています。

Q. 中小企業でもDE&Iへの取り組みは必要ですか?

法律がDE&Iを直接義務づけているわけではありませんが、女性活躍推進法(2022年改正)は101人以上の事業主に行動計画の策定・情報公表を義務化しています。また、ハラスメント防止措置は従業員規模にかかわらず全事業主の義務です(労働施策総合推進法)。規模にかかわらず、働く人全員が尊重される環境の整備は採用・定着・生産性の観点からも重要です。

Q. アライシップ(allyship)とは何ですか?

アライシップとは、マイノリティや周縁化された立場の人々を積極的に支持・支援する姿勢と行動を指します。職場においては、不当な扱いを目撃した際に安全な形で声をあげる「積極的な傍観者(active bystander)」としての行動がその一例です。マジョリティの立場にある人が自らの特権を意識しつつ、差別・偏見をなくすための具体的行動をとることがアライシップの核心とされています。

Q. DE&Iは男性にも関係しますか?

DE&Iは特定の性別だけを対象とするものではありません。男性育休の取得促進・ケア労働の分担・「男らしさ」というジェンダー規範による生きづらさへの支援なども、DE&Iの一環として取り組まれています。ジェンダー規範(社会的性別役割期待)が男女ともに制約をもたらすという観点から、DE&Iはすべての人の働きやすさ・生きやすさの実現を目指す概念とされています。

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