「子育て中なのに、今度は親の介護まで始まってしまった」。そんな状況に直面したとき、多くの人が途方に暮れます。仕事・育児・介護を同時に抱えた状態を「ダブルケア」と呼び、内閣府が2016年に公表した調査では全国に約25万3,000人の当事者が存在すると推計されています。
晩婚化・晩産化が進んだ結果、子育て世代が親の介護時期と重なるケースが急増しています。核家族化や地域コミュニティの希薄化により、家族内でケアを分担できる人が減少し、一人の働き手に複数のケア責任が集中しやすい構造が固定しつつあります。
ダブルケアは特に女性への影響が大きく、当事者の約61%が女性です。男女共同参画社会基本法(最終改正:2015年)が目指す「男女がともに責任を担う社会」の観点から見ると、ダブルケア問題はジェンダー不平等(社会的・文化的に形成された性別役割の格差)の縮図とも言える状況にあります。
本記事では、ダブルケアの定義・実態統計・育児・介護休業法をはじめとする支援制度・2026年時点の政策課題・男女共同参画の視点からの分析を解説します。企業の人事・労務担当者、自治体の男女共同参画推進員、そして当事者・家族の方々が制度全体を俯瞰するための出発点となることを目指しています。
ダブルケアとは|定義・背景・社会的規模
「ダブルケア」の定義と3つの典型パターン
ダブルケア(Double Care)とは、育児と介護を同時期に担っている状態を指します。内閣府が2016年(平成28年)に公表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」が、日本における初めての大規模な実態調査となりました。この調査では18歳未満の子どもの育児と家族の介護を同時に行っている人を「ダブルケアラー」と定義しています。
典型的なパターンは主に3つに分けられます。①0歳~小学校低学年の子どもの育児と、要介護状態の親(または義親)の介護が同時進行するケース。②育児休業中に介護が突然始まり、育休復帰のタイミングが大幅にずれるケース。③子育てが一段落した矢先に親の介護が急に始まり、再び就業が困難になるケースです。これら3つに共通するのは「ケアの出口が見えにくい」という精神的な重さです。
なぜ今、ダブルケアが増加しているのか
ダブルケアが増加した背景には、日本特有の人口構造の変化があります。まず、女性の平均初産年齢が2007年の28.7歳から2023年には31.0歳(厚生労働省「人口動態統計」)へと上昇したことで、子どもが幼い時期に親がすでに70代以上というケースが珍しくなくなりました。
次に、高齢化の進行により要介護認定者数が増加し続けています。厚生労働省「介護保険事業状況報告」によると、2024年度の要介護(要支援)認定者数は700万人を超えると見込まれており、介護が必要な親を持つ現役世代の割合は着実に増えています。
さらに、核家族化や地方から都市部への人口移動により、介護を分担できる親族が近くにいない状況も珍しくありません。「兄弟が遠方にいるため自分一人が担う」というケースが多く報告されており、ケアの個人化・女性集中がダブルケアを深刻化させています。
内閣府調査が示す25万人という規模
内閣府が2016年に公表した調査では、育児と介護のダブルケアを担っている人数を約25万3,000人と推計しています。このうち男性が約9万7,000人、女性が約15万6,000人で、女性の比率が約61.7%にのぼります。
ただし、この数字は2016年時点のものです。その後の晩産化の進行や高齢化の加速を踏まえると、現在の実態はさらに多い可能性があります。また、「潜在的なダブルケア状態(軽度の介護と育児の同時進行)」も含めれば、数十万人を大きく上回るという指摘もあります。
ダブルケア当事者の実態|就業・生活への影響
就業継続の困難さ
内閣府の調査によると、ダブルケアを担っている人のうち就業している割合は、育児のみの場合や介護のみの場合と比べて低い傾向が確認されています。育児だけでも就業継続が難しいとされる現状に介護が加わることで、仕事を断念せざるを得ないケースが生まれやすくなります。
特に問題になるのは「同時多発的な欠勤・早退ニーズ」です。子どもの急病と親の介護施設からの緊急連絡が重なることがあり、どちらを優先するかの判断を繰り返す状況は精神的負担が非常に大きくなります。こうした状態が続くと、有給休暇を使い果たした後に欠勤が続き、やがて離職に至る流れが生まれます。
女性に偏る負担構造
ダブルケア当事者のうち女性が約6割を占める実態は、日本のジェンダー構造を反映しています。育児においては依然として母親が主たる担い手とされやすく、介護においても「娘・嫁が面倒をみる」という社会的期待が根強く残っています。
男女共同参画白書(2023年版)によると、無償労働時間(育児・介護・家事を含む)は女性が男性の約3.4倍にのぼります。ダブルケアはこの不均衡をさらに押し広げる要因として機能します。正規雇用の女性がダブルケアを機に非正規化・離職化するという傾向は、「L字カーブ」問題の一因ともなっています。
精神的・経済的負荷
育児と介護の同時進行は、当事者の精神的消耗を加速します。「育児は明るい未来への投資」と感じられる一方、「介護は終わりが見えにくい消耗」と感じることが多く、この感情のギャップが当事者を追い詰めます。
経済的な負荷も深刻です。保育所の利用料・育児用品費と、介護保険の自己負担・介護用品費が同時にかかる状態は、世帯収入が増えにくいダブルケア世帯にとって大きな重荷です。就業を続けている場合でも、ケアのために残業を断り続ければ昇進機会が失われ、中長期的な収入格差につながります。
育児・介護休業法|ダブルケアで活用できる主な制度
育児休業と介護休業の組み合わせ活用
育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、最終改正:2023年4月施行、e-Gov法令検索)は、育児休業と介護休業の両方を定めています。ダブルケア当事者は原則として両制度を組み合わせて取得できます。
育児休業は子が原則1歳(最長2歳)まで取得可能です(第5条・第9条の2)。介護休業は通算93日・3回まで分割取得できます(第11条・第12条)。育児休業と介護休業を同時期に取得することを法令上禁止する条文はありませんが、給付金の計算や会社規程との関係で複雑になる場合があります。まずは会社の担当部署に確認することが重要です。
短時間勤務・残業免除制度の活用
育児・介護休業法は、休業以外にも複数の制度を設けています。子が3歳に達するまで、事業主は所定労働時間を6時間とする短時間勤務制度を設けなければなりません(第23条第1項)。介護の場合も、利用開始から3年以上の期間において短時間勤務などの措置を講じる義務があります(第23条第3項、2025年改正)。
また、3歳未満の子を育てる労働者が請求した場合、所定外労働(残業)は免除されます(第16条の8)。介護においても、介護終了まで残業免除が認められます(第16条の9)。育児と介護の双方が重なるダブルケアラーには、これらを複合的に申請することで就業継続の幅が広がります。
子の看護休暇と介護休暇
年次有給休暇とは別に、小学校就学前の子どもの看護のために年5日(子が2人以上なら年10日)の「子の看護休暇」(第16条の2)を取得できます。また介護のために年5日(対象家族が2人以上なら年10日)の「介護休暇」(第16条の5)も認められています。2021年1月施行の改正で、これらは1時間単位での取得が可能になりました。
ダブルケア当事者にとって、時間単位の休暇を組み合わせることは非常に重要です。「午前中に介護のための通院付き添い」「午後から出社して子の発熱連絡で早退」といった変則的な1日に対応するとき、時間単位の休暇取得が就業継続の鍵になります。
育児支援と介護支援の違い|制度の壁と縦割り問題
育児支援制度と介護支援制度の比較
| 比較軸 | 育児支援 | 介護支援 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 育児・介護休業法、児童福祉法 | 育児・介護休業法、介護保険法 |
| 主な行政窓口 | こども家庭センター(2024年度~) | 地域包括支援センター |
| 休業制度 | 育児休業(最長2年) | 介護休業(通算93日・3回分割) |
| 短時間勤務 | 子が3歳に達するまで(義務) | 利用開始から3年以上(措置義務) |
| 休暇 | 子の看護休暇(年5日~10日、1時間単位) | 介護休暇(年5日~10日、1時間単位) |
| 現物サービス | 保育所、認定こども園、一時保育等 | 訪問介護、通所介護(デイサービス)等 |
| 費用負担 | 保育料(所得応能)※3歳以上は原則無償 | 介護保険1割(所得により2~3割) |
| 主管省庁 | こども家庭庁 | 厚生労働省(老健局) |
縦割り行政の壁
育児と介護は行政上の担当部局が異なります。育児はこども家庭庁(2023年4月発足)、介護は厚生労働省老健局が所管しており、市区町村レベルでも窓口が分かれています。ダブルケア当事者は「育児の相談はこども家庭センターへ」「介護の相談は地域包括支援センターへ」と、別々の窓口に足を運ぶ必要があります。
一度のケースワークで育児・介護の双方に対応できる「ダブルケア対応窓口」を設置した自治体は一部にとどまっており、2026年時点では全国的な普及には至っていません。複数の窓口を掛け持ちする手間そのものが、すでに余裕のないダブルケア当事者にとって大きな障壁になっています。
サービス資源の地域格差
育児・介護いずれのサービスも、都市部と農村部で利用可能な資源に大きな差があります。認可保育所の定員は都市部で不足しがちな一方、農村部では施設数そのものが少ないという別の問題があります。介護保険のデイサービスも地方では送迎対応が限られる場合があります。
こうした地域格差は、地方在住のダブルケア当事者に特に深刻な影響をもたらします。「近くに頼れる施設がない」という状況は、家族内のケア集中(特に女性の無償労働)をさらに強化します。
現代的論点|2026年時点の到達点
2007年以降の主な法改正・新法
ダブルケアに関連する法制度は2007年以降に大きく変化しました。主な改正を時系列で整理します。
- 育児・介護休業法 2009年改正(2010年施行):子の看護休暇・介護休暇を法定化。父親の育休取得促進策「パパ・ママ育休プラス」を導入し、父親が産後8週間以内に育休を取得した場合に再度取得可能とした。
- 育児・介護休業法 2016年改正(2017年施行):育休取得可能期間を最長2年に延長。介護休業の分割取得(3回・通算93日)を可能にし、育児・介護双方の半日単位休暇を認可。
- 育児・介護休業法 2021年改正(2022年施行):産後パパ育休(出生時育児休業)を創設し、子が生後8週間以内に最大4週間取得可能に。休暇の時間単位取得を認可。1,000人超企業の育休取得状況公表義務(2023年4月施行)。
- こども家庭庁設置法(2023年4月施行):内閣府子ども・子育て担当と厚労省の子ども家庭局を統合し、こども家庭庁を設置。育児支援の一元化が進んだが、介護部門との連携は課題のまま。
- 育児・介護休業法 2025年改正(2025年4月・10月施行):子が3歳以降小学校就学前の柔軟な働き方の選択肢(テレワーク・フレックス・短時間勤務等)を義務化。介護の短時間勤務等の措置期間を「利用開始から3年以上」に延長。介護離職防止のための個別周知・意向確認義務を事業主に課した。
議論の現在地
ダブルケアをめぐる議論の中心は「育児政策と介護政策の縦割りを解消できるか」という点にあります。推進側からは、ダブルケアラー専用の相談窓口一元化や育児・介護の複合給付制度の創設を求める声が上がっています。当事者・支援団体による政策提言も各地で行われており、一部自治体では複合相談体制の試験的な導入も始まっています。
一方、「既存の育児・介護制度を充実させることで対応可能」という立場からは、縦割り解消のために新たな組織を作る必要はないとする意見もあります。また、ケアを外部に委ねることへの罪悪感という文化的な課題についても、制度整備だけでは解決できないという指摘があります。
財政的な観点からは、育児・介護の両方に公費を投入できる余地が限られるという現実もあります。2024年施行のこども・子育て支援法改正(異次元の少子化対策)が児童手当・保育拡充の財源確保を優先する中で、ダブルケア固有の支援予算が独立して確保されているわけではなく、施策化が遅れているとの批判もあります。
残された課題
2026年時点のダブルケアをめぐる未解決の課題は複数あります。
第一に、制度間の「すき間」問題です。育児休業と介護休業を同時に取得する際の雇用保険給付の計算(給付率・算定基礎の扱い)が複雑になりやすく、当事者が不利益を受けるリスクがあります。この点を整理した公的ガイドラインは、2026年時点では限定的です。
第二に、男性ダブルケアラーの支援の欠如です。育児・介護の双方を担う男性は確実に存在しますが、相談窓口の情報やサービス設計が女性当事者を前提としたままになっているケースがあります。男性が相談しにくい環境は、女性への負担集中をさらに強化します。
第三に、フリーランス・自営業者への非適用です。育児・介護休業法は雇用労働者を対象としており、フリーランスや自営業者には制度のほとんどが適用されません。個人事業主として働く子育て世代が介護を担った場合、公的なセーフティネットは極めて薄い状態です。
第四に、介護の長期化とダブルケアの長期化です。認知症を含む介護が10年以上続くケースもあり、子育て終了後も介護が続くという「長期ダブルケア」は当事者の就業継続や老後の年金・貯蓄にまで深刻な影響を及ぼします。
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男女共同参画の視点|ジェンダーとケアの偏り
なぜケア負担は女性に集中するのか
ダブルケアにおける女性への集中は偶然ではありません。日本社会では、ケア労働(育児・介護・家事)を女性が担うことを「自然なこと」とみなすジェンダー規範(社会的・文化的に形成された性別役割期待)が根強く残っています。
男女共同参画社会基本法(最終改正:2015年)第3条は「社会における制度又は慣行についての配慮」として、性別に基づく固定的な役割分担が男女の社会参画機会に影響を及ぼしてはならないと定めています。しかし、育児・介護の場面ではこの精神が十分に実現されているとは言えない状況が続いています。
「良い嫁・良い母」規範がもたらす社会的プレッシャー
ダブルケアを抱える女性の多くが「施設に預けるのは親不孝」「保育所に長時間預けるのは可哀想」といった言葉に傷ついた経験を持つと、複数の当事者調査で示されています。こうした規範は、女性が外部サービスを積極的に利用することへの罪悪感を生み出します。
罪悪感は、セルフネグレクト(自身の健康・休養を後回しにすること)につながりやすく、当事者の心身の消耗を加速させます。規範の問題は、男性のダブルケア参加を妨げる側面もあります。「男性が育児・介護のために早退する」ことへの職場の目線が厳しい場合、男性が制度を活用しにくくなり、女性が引き受ける構造が再生産されます。
男性ダブルケアラーの見えにくさ
男性のダブルケアラーは「見えにくい存在」とされてきました。育児・介護の双方を担う男性は確実に存在しますが、相談窓口や支援グループの多くが女性を主な対象として設計されており、男性が「自分のためのサービスだ」と感じにくい状況があります。
男女共同参画の観点からは、男性もケアの当事者として可視化し、支援制度・相談先を性別問わず利用できるよう設計することが重要です。「ダブルケアは女性の問題」という認識そのものが、男性の参加を阻み、女性への負担集中を助長します。男性が「ケアをしている自分」を肯定しやすい社会づくりは、ジェンダー平等の重要な柱のひとつです。
企業・事業主に求められる対応
ダブルケアは「稀なケース」ではない
企業の人事担当者にとって、ダブルケアは「よくある話ではない」と感じられるかもしれません。しかし、従業員の年齢構成を考えると、30代後半~40代の中堅・ベテラン社員がダブルケア状態に入るリスクは決して低くありません。育休明けの女性社員が復帰直後に親の介護問題を抱えるケースは、すでに多くの企業で発生しています。
育児・介護休業法第21条は、育休・介護休業に関する制度の周知義務を事業主に課しています。2025年改正(2025年4月施行)では、介護についても個別の意向確認義務が追加されました。ダブルケアの可能性がある従業員に対して、制度の全体像を早期に案内することが求められます。
柔軟な働き方の整備
ダブルケアラーにとって最も必要な職場環境は「予測不能な事態に対応できる柔軟性」です。テレワーク・フレックスタイム制・半日休暇・時間単位有休など、勤務形態の選択肢が広いほど就業継続しやすくなります。
2025年改正育児・介護休業法では、3歳以降小学校就学前の子どもを育てる労働者に対し、企業が柔軟な働き方のメニュー(テレワーク・時差出勤・所定外労働免除・保育施設利用支援・その他の措置から選択)を複数提示して選択させる義務が設けられました(2025年4月施行)。介護と育児の双方が重なるダブルケアラーには、これらの選択肢を組み合わせた対応が有効です。
相談しやすい職場文化の醸成
制度が整っていても、相談しにくい職場文化があれば活用されません。育児・介護のいずれかを抱える従業員が上司や人事に相談しやすい雰囲気を作ることが根本的な対策です。具体的には管理職向けのダイバーシティ研修、ケアラー(介護担当者)をテーマとした社内勉強会の開催、育休・介護休業取得者のロールモデル発信などが効果的とされています。
また、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)として「ケアは女性がするもの」という前提が残っていないかを点検することも重要です。男性社員がダブルケアを理由に勤務変更を申し出た場合も、女性と同様に制度を利用できるよう均等な運用が求められます。
公的相談窓口・支援リソース
育児関連の主な相談先
育児に関する相談は、市区町村が設置するこども家庭センター(2024年度から「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」が一体化)が窓口です。保育所の利用申込み、育児不安の相談、子育て支援サービスの紹介などを担っています。
仕事との両立に関しては、都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)に「育児・介護休業制度に関する相談」として問い合わせることができます。事業主が制度適用を拒否しているような場合の相談先にもなります。
介護関連の主な相談先
介護に関する相談は、市区町村が設置する地域包括支援センターが窓口です。要介護認定の申請サポート、ケアマネジャーの紹介、介護保険サービスの利用案内を担っています。「まず何から始めればよいか」という段階から相談できます。
総合的な困難への相談窓口
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間・無料。生活上の複合的な困難を抱えるすべての人が対象です。
- 法テラス(0570-078374):法律問題を抱える場合の無料相談。育児・介護に関連する法的トラブル(職場での不当扱い、相続、財産管理等)についても対応しています。
- DV相談ナビ(#8008):ダブルケアと家庭内の暴力が複合している場合は、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。
まとめ|ダブルケアは制度でカバーできる課題
ダブルケアは育児と介護が同時進行する状態であり、全国に25万人超の当事者がいると推計されています。晩婚化・高齢化が続く日本では今後もダブルケアラーは増加する見込みです。
育児・介護休業法は育児と介護の両方に対応した休業・休暇・短時間勤務制度を設けています。2025年改正では柔軟な働き方の選択肢の提示義務・介護の個別意向確認義務が加わり、法的な保護の枠組みはさらに充実しました。一方で、制度間の縦割り・フリーランスへの非適用・男性当事者の見えにくさ・自治体格差など、残された課題も多くあります。
育児と介護を同時に抱えている場合は、まず職場の育児・介護休業規程を確認し、市区町村のこども家庭センター・地域包括支援センターに相談することが出発点になります。一人で抱え込まず、公的制度と専門窓口を積極的に活用することが重要です。
具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ダブルケアとは何ですか?
A. 育児と介護を同時期に担っている状態を指します。内閣府の調査(2016年)では全国に約25万3,000人の当事者がいると推計されており、晩婚化・高齢化により今後も増加が見込まれます。当事者の約61%が女性であることも特徴です。
Q2. 育児休業中に親の介護が始まった場合、介護休業も取得できますか?
A. 育児・介護休業法は育児休業と介護休業の同時取得を明文では禁止していません。ただし、雇用保険給付の計算や会社規程との関係で複雑になる場合があります。まずは会社の人事担当者や都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に確認することをお勧めします。
Q3. フリーランス・自営業者はダブルケアの支援制度を利用できますか?
A. 育児・介護休業法は雇用労働者を対象としており、フリーランスや自営業者には適用されません。ただし、自治体の保育所・一時保育・介護保険サービスは就業形態に関わらず利用できます。国民健康保険には傷病手当に相当する給付がなく、セーフティネットの薄さが課題として指摘されています。
Q4. ダブルケアを理由に退職を求められた場合はどうすればよいですか?
A. 育児・介護を理由とした不利益取扱い(解雇・退職勧奨・降格等)は、男女雇用機会均等法・育児・介護休業法で禁じられています(一定の要件あり)。違法とされる可能性がある場合は、都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)または法テラス(0570-078374)への相談をご検討ください。
Q5. 男性もダブルケアの当事者になりますか?
A. はい、男性もダブルケアラーになり得ます。内閣府調査では男性の当事者が約9万7,000人(2016年推計)いるとされています。育児・介護休業法の各制度は性別を問わず利用できます。男性当事者が相談しやすい環境整備は今後の課題です。
Q6. ダブルケアの相談はどこにすればよいですか?
A. 育児については市区町村のこども家庭センター、介護については地域包括支援センターが窓口です。生活全般の困難はよりそいホットライン(0120-279-338)、法的な問題は法テラス(0570-078374)に相談できます。
