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フリーランス保護法とは|2024年施行のハラスメント規定・業務委託で働く権利【2026年版】

業務委託・フリーランスという働き方を選ぶ人が急増しています。内閣府の「フリーランス実態調査」(2020年)では個人事業主・フリーランスの人口を約462万人と推計しており、副業フリーランスを含めると2023年時点でさらに大きく拡大したとされています。しかし長年にわたり、フリーランスは労働基準法や男女雇用機会均等法(最終改正:2023年4月施行)の保護対象外となるケースが多く、発注先の従業員からセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを受けても「雇用関係にないから」として泣き寝入りを余儀なくされてきました。

2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号、以下フリーランス保護法)が全面施行されました。この法律はフリーランスとの取引公正化だけでなく、第12条でフリーランスへのハラスメント防止措置を企業に義務づけた点が特徴です。フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によれば、フリーランスの約40%が女性であり、そのなかにはセクシュアルハラスメントや妊娠・育児を理由とした不当な扱いを経験したという声が少なくありません。ジェンダー平等の文脈からも、この法律は見逃せない立法です。

この記事では、フリーランス保護法の全体像、第12条のハラスメント規定の具体的な内容、雇用労働者との保護水準の比較、ジェンダー視点からの意義と課題、そして2026年時点の現在地と残された論点を体系的に解説します。フリーランスとして活動する方、業務委託を活用する企業の人事・法務担当者、男女共同参画政策に関心を持つ方に向けた内容です。

目次

フリーランス保護法とは|立法の背景と制度の概要

フリーランス保護法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)です。2023年4月に成立・公布され、2024年11月1日に全面施行されました。通称は「フリーランス・事業者間取引適正化等法」または「フリーランス保護新法」と呼ばれます。

立法の背景|フリーランスが直面してきた問題

フリーランスや個人事業主は、労働基準法(e-Gov)・労働契約法(e-Gov)・男女雇用機会均等法(e-Gov)等の雇用保護法制が原則として適用されません。そのため発注者から一方的に報酬を減額される、契約を理由なく打ち切られる、職場のハラスメント相談窓口を利用できないといった問題が構造的に生じていました。

厚生労働省の「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するための検討会」報告書(2021年)は、フリーランスの約4割以上が取引上のトラブルを経験していると指摘しました。このうちハラスメントに関する相談も報告されており、特に女性フリーランサーが性的な言動や妊娠・育児を理由とした不利益取り扱いを受けやすいという実態が明らかになりました。政府は2022年の「フリーランス政策パッケージ」でこうした課題への法制化を打ち出し、フリーランス保護法の成立に至りました。

法律の適用対象

フリーランス保護法の主な登場人物は以下の3者です。

まず「特定受託事業者」(フリーランス)とは、業務委託の相手方となる事業者であって、従業員を使用しない者です。個人事業主または1人で事業を行う法人代表者が該当します。次に「業務委託事業者」(発注者)とは、フリーランスに業務委託をする事業者全般を指します。さらに、ハラスメント防止の義務が課される「特定業務委託事業者」とは、従業員を1人以上使用する業務委託事業者です。フリーランスへの業務委託を活用しているすべての企業・組織が、このカテゴリに該当する可能性があります。

法律の2つの柱

フリーランス保護法の内容は大きく「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2本柱から成り立っています。第1の柱「取引の適正化」では、業務内容・報酬・納期等の書面交付義務、報酬の支払期日設定と遵守義務、受取拒否・報酬減額・発注内容の一方的変更等の禁止事項が定められています。第2の柱「就業環境の整備」が、本記事の主題となるハラスメント防止措置(第12条)と、育児・介護等との業務両立への配慮(第13条)です。

第12条のハラスメント規定|企業が講じなければならない義務

フリーランス保護法第12条は、「特定業務委託事業者は、その従業員が特定受託事業者に対して行うセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児介護等に関するハラスメントおよびパワーハラスメントを防止するための適切な措置を講じなければならない」と規定しています(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第12条)。

第12条が対象とする4類型のハラスメント

第1に、セクシュアルハラスメント(セクハラ)です。性的な言動によってフリーランスの業務遂行を妨げる行為、または業務環境を著しく害する行為が該当します。発注者側の担当者がフリーランスに対して性的な発言をする、身体に不必要に接触する、性的な画像・動画をメッセージで送るといった行為が想定されます。

第2に、妊娠・出産等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)です。フリーランスが妊娠・出産したことを理由とした不利益な取り扱いや、妊娠・出産に関して侮辱的・侵害的な言動を受ける行為が対象です。「妊娠したなら仕事を続けられない」と一方的に契約を打ち切る行為もこれに含まれる可能性があります。

第3に、育児介護等に関するハラスメント(パタニティハラスメント・ケアハラスメント)です。育児や介護を理由に業務上の不利益取り扱いをする行為や、取引条件を一方的に不利に変更する行為が含まれます。「子どもの病気で納期が遅れたから来月から発注しない」といった不当な扱いも念頭に置かれています。

第4に、パワーハラスメントです。発注者と受注者という取引上の優越的な立場を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によってフリーランスの業務環境を著しく害する行為が対象となります。過大な作業量の押しつけ、過度な叱責、人格を否定する言動などが想定されます。

特定業務委託事業者が講じるべき具体的措置

厚生労働省が公表した指針(告示)によれば、特定業務委託事業者が第12条に基づいて講じるべき具体的な措置は以下の内容を含みます。

まず、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化・周知・啓発が求められます。就業規則や社内規程に「業務委託先のフリーランスに対するハラスメントも禁止する」旨を明記し、従業員への研修や通知によって周知することが必要です。次に、フリーランスが相談できる窓口(社内相談窓口または外部機関への委託)を設置し、フリーランスにその存在を知らせる義務があります。また、相談者・行為者のプライバシー保護、相談したことを理由とした不利益取り扱いの禁止も義務の範囲に含まれています。さらに事案発生後の事実確認、被害者への対応(謝罪・業務環境の改善等)、行為者への厳正な懲戒処分等の措置も求められます。

違反時の制裁と法的効果

フリーランス保護法第17条では、主務大臣(公正取引委員会・中小企業庁長官・厚生労働大臣)が特定業務委託事業者に対して助言・指導・勧告を行う権限を定めています。第18条では、勧告に従わない場合は企業名が公表されることがあります(同法第17条・第18条参照)。

ただし、直接の罰則規定は設けられておらず、是正指導・勧告・企業名公表が主たる執行手段となっています。この点は雇用労働者保護法令(男女雇用機会均等法等)と比較して実効性が弱いという指摘があります。

ジェンダー視点から見るフリーランス保護法

フリーランス保護法がジェンダー平等の観点から重要な意義を持つ理由は、フリーランスという働き方に占める女性の比率と、そこで生じるハラスメント被害の実態にあります。

女性フリーランサーの現状と被害実態

フリーランス協会の「フリーランス白書2023」等の複数の調査では、フリーランス全体に占める女性の割合は40%前後とされています。業種別ではライター・編集・翻訳・グラフィックデザイン・ウェブデザイン・教育分野での女性フリーランサーの比率が特に高い傾向があります。また、コロナ禍以降は育児・介護との両立を目的として正規雇用からフリーランスに転向した女性も増加しました。

同白書によると、フリーランスとしてハラスメント被害を経験した人のうち多くが「雇用関係がないため相談窓口が存在しなかった」「被害を申し出ると仕事を失う恐れがあった」と回答しています。取引関係を盾にした「泣き寝入り」構造が長年問題とされてきました。フリーランス保護法第12条は、こうした構造に初めて法的介入を試みる制度として位置づけられます。

なぜ取引関係でハラスメントが起きやすいのか

業務委託契約では、発注者が報酬額・業務量・契約継続の有無を相当程度一方的に決定できます。フリーランス側は「契約を打ち切られるかもしれない」という恐れから、ハラスメント行為に対して声を上げにくい状況に置かれます。この力関係の非対称性(アシンメトリー)は、女性が性的な言動の標的になりやすいセクシュアルハラスメントや、妊娠・育児を「業務継続の障害」とみなすマタニティハラスメントが発生しやすい土壌をつくります。

アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の影響も指摘されています。「女性フリーランサーは単価を下げても続けてくれる」「妊娠したら急に納期対応が難しくなる」という思い込みが、不当な取引条件の変更やハラスメント的な言動につながるケースが報告されています。

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現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

フリーランス保護法の制定に至るまで、ハラスメント規制は雇用労働者保護を中心に積み上げられてきました。主な流れを整理します。

2007年以降の第一の転機は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働施策総合推進法、e-Gov)の2019年改正(通称パワハラ防止法)です。パワーハラスメントの防止措置が大企業に義務化され、2022年4月からは中小企業にも拡大されました。第二の転機は、2022年の育児・介護休業法(e-Gov)改正による産後パパ育休(出生時育児休業)の創設です。育児ハラスメント(パタニティハラスメント)への社会的関心が高まりました。

2023年4月には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)が成立し、同年5月に公布されました。そして2024年11月1日の全面施行により、フリーランスへのハラスメント防止措置が初めて法的義務として明定されました。2024年10月には、カスタマーハラスメントへの事業者の対応義務を定めた労働施策総合推進法の改正指針も整備され、多様な就業形態への配慮が進んでいます。

議論の現在地|賛否両論を踏まえた評価

フリーランス保護法施行後の2026年時点において、支持する立場と課題を指摘する立場の双方から様々な評価が出ています。

支持する立場は、「フリーランスという就業形態が急拡大するなか、法的保護の空白を埋める重要な立法だ」と評価します。特に女性フリーランサーが安心して働ける法的基盤が初めて整ったとして、女性活躍推進の文脈から歓迎する声があります。実際、施行後に発注企業の就業規則改定や社内ハラスメント研修の対象をフリーランスにも拡大する動きが広がったことが報告されています。

一方で課題を指摘する立場からは次のような声があります。「直接罰則がないため違反企業への実効的な抑止力にならない」「相談窓口を設置しても、フリーランス側が相談すれば発注打ち切りのリスクを恐れて利用できない」「一人親方など、個人が個人から発注を受けるケースでは法律の恩恵が届かない」といった指摘です。また、デジタルプラットフォームを介したギグワークにおけるハラスメントへの対応が不明確という点も指摘されています。

残された課題

2026年時点においても、以下の課題が未解決のまま残っています。

第1に、実効性の問題です。ハラスメント防止措置違反に対する直接罰則はなく、行政指導・勧告・企業名公表にとどまります。被害を受けたフリーランスが損害賠償を求めるには民事訴訟を提起する必要があり、費用・時間・精神的負担が大きいことが懸念されています。雇用労働者保護法令と同等レベルの罰則設定を求める声もあります。

第2に、適用範囲の問題です。従業員のいない個人事業主からの発注には第12条の義務が課されないため、規制の網の目から漏れる取引が存在します。個人デザイナーが個人クライアントから受ける発注、農業分野での個人間業務委託などが典型例です。

第3に、デジタルプラットフォーム対応の遅れです。クラウドソーシングサービスやギグエコノミープラットフォームを介した業務委託では、実際の発注者(個人・中小企業)とプラットフォーム事業者のどちらにハラスメント防止義務があるかが不明確になりやすい構造があります。厚生労働省・公正取引委員会の検討は続いていますが、明確なガイドラインは2026年現在も整備の途上にあります。

第4に、フリーランス保護法と雇用労働法の保護格差を縮小するための包括的なアプローチが求められています。労働政策審議会では、フリーランスへの社会保険適用拡大や労働基準法の保護対象範囲の見直しを含めた「雇用類似の働き方」全体への対応策が引き続き議論されています。

雇用労働者とフリーランスの保護水準比較

フリーランス保護法施行後の保護水準の変化を、雇用労働者と対比してまとめます。

比較項目 雇用労働者 フリーランス(2024年11月以降)
セクハラ防止措置義務 あり(男女雇用機会均等法第11条) あり(フリーランス保護法第12条)
マタハラ・パタハラ防止義務 あり(均等法第11条の3・育介法第25条) あり(フリーランス保護法第12条)
パワハラ防止措置義務 あり(労働施策総合推進法第30条の2) あり(フリーランス保護法第12条)
相談窓口設置義務 あり(全事業主) あり(特定業務委託事業者のみ)
違反時の直接罰則 あり(均等法では20万円以下の過料等) なし(行政指導・勧告・企業名公表)
最低賃金の保障 あり(最低賃金法) なし
解雇・雇止め保護 あり(労働契約法第16条・第19条) なし(一定の契約解除制限はあり)
育児休業取得権 あり(育介法) なし(業務両立への配慮義務のみ)
労働組合による集団交渉 あり(労働組合法) なし(原則)

ハラスメント防止措置の種別は雇用労働者に近い水準に整備されましたが、違反時の罰則強度や労働保護全般の厚みには依然として大きな差があります。フリーランス保護法はハラスメント保護の「入口」を整えた段階といえます。

ハラスメント被害を受けたとき|フリーランスが取れる対処の考え方

フリーランスとして発注先の従業員からハラスメントを受けた場合に考えられる対処法を整理します。具体的な事案への対応は個別の事情によって異なりますので、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

証拠の記録・保全

被害を受けたと感じた時点で、できる限り早く証拠を記録・保全することが一般的に重要とされています。メール・チャット・SNSのメッセージは削除前にスクリーンショットで保存し、口頭でのやり取りは日時・場所・内容・同席者を速やかにメモしておくことが推奨されています。自分自身が当事者として行う録音については違法にはならないとされていますが、その後の手続きにおける取り扱いは事案ごとに異なりますので、専門家への確認が望まれます。

発注者の相談窓口への申告

フリーランス保護法第12条により、従業員のいる発注企業(特定業務委託事業者)にはフリーランスが利用できる相談窓口の設置が義務づけられています。相談したことを理由とした不利益取り扱い(契約解除・報酬減額・発注量の削減等)は同法で禁止されており、相談窓口の利用は法的に保護されています。ただし発注者との関係継続への不安があるケースでは、並行して以下の行政機関への相談も検討する価値があります。

行政機関への申告

フリーランス保護法の違反に関しては、公正取引委員会・中小企業庁・都道府県労働局(雇用環境・均等部・室)に申告することができます。行政機関は申告を受け付け、特定業務委託事業者への指導・勧告を行う権限を持ちます(同法第17条)。セクシュアルハラスメントに関しては、都道府県労働局雇用環境・均等部がフリーランスからの相談にも対応しています。

民事上の責任追及

ハラスメントが不法行為(民法第709条)に該当するケースでは、加害者個人および発注企業に対して損害賠償請求をすることが考えられます。使用者責任(民法第715条)が認められるには、加害者と発注企業の使用関係および職務との関連性が必要とされます。過去の判例では、取引先のフリーランスに対する不法行為についても使用者責任を認めた事例があるとされていますが、事案ごとの判断が必要です。訴訟や示談交渉には弁護士への依頼を検討することが現実的です。

公的相談窓口

フリーランスとしてハラスメント被害に遭った場合、または企業として対応に悩む場合に活用できる公的な相談窓口を紹介します。

都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
セクシュアルハラスメント・マタニティハラスメント等に関する相談窓口で、フリーランスからの相談も受け付けています。フリーランス保護法に関する相談も対応可能です。所在地は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)から「都道府県労働局」で検索できます。

法テラス(日本司法支援センター)
電話: 0570-078374(コールセンター、平日9時~21時・土曜9時~17時)
収入・資産が一定基準以下の方は、無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できます。フリーランスのハラスメント・契約トラブルに関する法律相談に対応しています。

女性の人権ホットライン
電話: 0570-070-810(平日8時30分~17時15分)
法務省が運営する人権相談窓口です。職場や取引先からのセクシュアルハラスメント・人権侵害について相談できます。

まとめ|フリーランス保護法の意義と今後の展望

2024年11月に全面施行されたフリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、業務委託で働くフリーランスへのハラスメント防止措置を初めて法的義務として定めた法律です。第12条では、セクシュアルハラスメント・妊娠・出産等に関するハラスメント・育児介護等に関するハラスメント・パワーハラスメントの4類型について、従業員のいる発注企業に相談体制の整備などの防止措置を義務づけています。

ジェンダー平等の視点からは、フリーランサーの約40%を占める女性が発注者との力の非対称な関係のなかでハラスメント被害を受けやすいという構造的問題に、初めて法的介入が実現した点で大きな意義があります。一方で、直接罰則の欠如、従業員のいない発注者への適用除外、デジタルプラットフォームへの対応の遅れなど、残された課題は少なくありません。

男女共同参画基本計画が目指す「職場環境の整備」は、雇用労働者だけでなく多様な就業形態すべての人を包摂する方向へ発展しています。フリーランス保護法はその重要な一歩ですが、フリーランスへの包括的な法的保護の確立に向けた議論は2026年以降も続いていきます。具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

よくある質問(FAQ)

Q. フリーランス保護法のハラスメント規定は、従業員のいない個人事業主からの発注でも適用されますか?
A. 適用されません。フリーランス保護法第12条の義務を負うのは「特定業務委託事業者」、すなわち従業員を1人以上使用する発注者に限られます。従業員のいない個人事業主が発注者の場合、第12条の防止措置義務は生じません。ただし民事上の不法行為責任は別途問われる可能性があります。
Q. 発注者の従業員ではなく、発注者本人(代表者個人)からハラスメントを受けた場合も保護されますか?
A. フリーランス保護法第12条は「従業員が特定受託事業者に対して行う」ハラスメントを防止措置の対象としており、発注者本人による行為は条文上の射程が異なります。ただし発注者本人による行為であっても、取引上の優越的地位を背景にした言動は民事上の不法行為(民法第709条)に該当する可能性があります。具体的な対応は専門家にご相談ください。
Q. フリーランスが相談窓口に申告した後、契約を打ち切られた場合はどうなりますか?
A. フリーランス保護法は、ハラスメント相談を理由とした不利益取り扱い(契約解除・報酬減額・発注量の削減等)を禁止しています。相談を理由とした契約打ち切りは同法違反となる可能性があり、都道府県労働局への申告や民事上の損害賠償請求の対象となる場合があります。具体的な対応は弁護士など専門家に相談することをお勧めします。
Q. フリーランス保護法に違反した企業への罰則はありますか?
A. 直接の罰則規定はありません。違反が認められた場合、主務大臣(公正取引委員会・中小企業庁長官・厚生労働大臣)による助言・指導・勧告が行われ、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります(第17条・第18条)。被害者が損害賠償を求めるには民事訴訟によることになります。
Q. フリーランスとして働く女性が特にハラスメント被害に遭いやすい理由は何ですか?
A. 複数の構造的要因が指摘されています。発注者が報酬・業務量・契約継続を相当程度一方的に決定できる力の非対称性、「断ると次の仕事がなくなる」という心理的圧力、職場の同僚や上司に相談しにくい孤立した業務環境などが組み合わさって、被害を受けやすく声を上げにくい状況をつくり出していると分析されています。フリーランス保護法はこの構造に法的介入を試みましたが、意識・文化の変化も並行して必要です。
Q. 業務委託先のフリーランスに対するハラスメントの防止研修は義務化されていますか?
A. フリーランス保護法第12条は防止措置として「方針の明確化・周知・啓発」を求めており、その一環として社内研修の実施が推奨されています。ただし研修の実施そのものを直接義務化する条文ではなく、指針(告示)に基づく推奨事項として位置づけられています。厚生労働省は既存のハラスメント防止研修にフリーランスへの対応を組み込む形を推奨しています。

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