日本では共働き世帯が全体の7割超を占めるようになった現在も、家事・育児・介護といった「無償労働(アンペイドワーク)」の多くを女性が担っている実態が、統計データで繰り返し示されています。この偏りは「見えにくい格差」とも呼ばれ、女性のキャリア継続・賃金・老後の年金額に連鎖する構造問題として認識されています。
この実態を数値で可視化するのが、総務省統計局が5年ごとに実施する社会生活基本調査(生活時間調査)です。さらにOECD(経済協力開発機構)の国際比較データと照合することで、日本の生活時間格差の特徴が浮き彫りになります。
この記事では、2021年の社会生活基本調査をはじめとする公的統計を軸に、日本の家事・育児・介護時間におけるジェンダー格差の実態と、格差が縮まらない構造的要因、そして2026年時点での政策動向・残された課題を解説します。
人事・DE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)推進の根拠データを探している方、ジェンダー政策を体系的に学びたい学生・研究者の方、あるいは「家事の不公平」を言語化したい当事者の方に向けて、公的統計に基づく情報を提供します。
生活時間調査とは|家事・育児時間を「見える化」する統計の枠組み
社会生活基本調査の目的と調査方法
総務省統計局が5年ごとに実施する社会生活基本調査は、国民の生活行動(生活時間の配分)と余暇活動を把握することを目的とした基幹統計調査です。直近の調査は2021年10月に実施されました。通常実施では約10万世帯・約20万人規模を対象としており、日本最大規模の時間利用調査の一つです。
調査では1日24時間の行動を「睡眠」「食事」「仕事」「家事」「育児」「介護・看護」「学習・研究」「趣味・娯楽」など約90の行動分類に記録し、平日・休日別に集計します。この詳細な記録により、男女別・世帯構成別・就業状態別の生活時間配分を比較・分析することが可能です。
法的根拠としては、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号、最終改正2023年)第13条が国に対して男女共同参画に関する統計の整備を求めており、社会生活基本調査はその中核的データ源の一つに位置づけられています。
「有償労働」と「無償労働」の定義
生活時間の分析で欠かせない概念が、有償労働(ペイドワーク)と無償労働(アンペイドワーク)の区分です。
有償労働とは、報酬を受けて行う仕事・通勤・副業などを指します。これに対し無償労働は、市場で売買されないものの社会・家庭にとって不可欠な家事・育児・介護・地域活動などを指し、国内総生産(GDP)には計上されません。
国連女性機関(UN Women)や国際労働機関(ILO)は、無償労働を「見えない経済」と位置づけ、ジェンダー不平等の根本的な要因として捉えています。日本の社会生活基本調査では「家事」「育児」「介護・看護」「買い物」の合計を「家事関連時間」として集計しており、これが無償労働の代理指標として活用されています。
国際比較に用いるOECDデータとは
OECD(経済協力開発機構)は加盟国・一部非加盟国の時間利用調査データを「OECD Time Use」として統合・公開しています。日本の社会生活基本調査データもここに提供されており、38カ国以上の男女別無償労働時間を横断比較できます。
OECDデータでは無償労働を「ルーティン家事(調理・掃除・洗濯等)」「育児」「買い物・サービス」「家族・コミュニティへのケア」などに分類しています。調査年や調査手法が国によって異なるため、絶対値の比較よりも傾向の読み取りが重要です。
日本のデータで読む男女の生活時間格差
家事・育児時間の男女比較(2021年社会生活基本調査)
2021年の社会生活基本調査によると、有業者(就労している人)の家事関連時間(家事+育児+介護・看護+買い物の合計)の1日平均は以下の通りです。
有業の妻(配偶者がいる就労女性)の家事関連時間は1日平均約4時間24分であるのに対し、有業の夫(配偶者がいる就労男性)は約1時間23分にとどまります。差にして3時間超、妻は夫の約3.2倍の無償労働を担っている計算となります。
内訳でみると、家事(調理・掃除・洗濯等の狭義の家事)では有業の妻が1日平均約3時間5分に対し、有業の夫は約41分です。育児では6歳未満の子どもを持つ有業の妻が約3時間2分、有業の夫が約1時間5分と、約2.8倍の格差があります。有業の妻が仕事・通勤時間に家事関連時間を合計すると、1日あたり13時間を超えるケースも生じるとされており、「女性の二重負担(ダブルバーデン)」という問題の統計的裏づけとなっています。
有業者(共働き)世帯の実態
共働き世帯(夫婦ともに就業)に限定したデータは、この問題の深刻さをより鮮明に示します。夫が長時間労働をしている場合でも、妻の家事関連時間は大きく減少しないことが複数の研究で指摘されています。
この背景には、配偶者の就労状況にかかわらず「家事は妻がするもの」という性別役割分担意識の残存が考えられます。内閣府の「男女共同参画に関する世論調査(2022年)」では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成・どちらかといえば賛成と回答した人の割合が約35%に上っており、意識変革には時間がかかる現状が示されています。
介護・看護時間のジェンダー分布
少子高齢化が急速に進む日本では、介護・看護が無償労働の大きな部分を占めるようになっています。2021年の社会生活基本調査では、介護・看護を行っている人の割合は女性のほうが男性より高く、1日あたりの介護時間も女性が男性を上回る傾向がみられます。
育児・介護休業法(平成3年法律第76号、最終改正2024年)では男女ともに介護休業を取得できますが、実際の取得者は依然として女性が大多数を占めています。「介護離職」(仕事を辞めて家族の介護に専念すること)は男女ともに発生しますが、特に女性に多いことが統計で示されており、女性の経済的自立やキャリア継続を阻む大きな要因となっています。
国際比較|OECD加盟国から見た日本の位置づけ
無償労働時間の国際比較
OECDの時間利用データをもとにした各国の無償労働時間を比較すると、日本は女性の無償労働時間がOECD平均より低い水準にある一方、男性の無償労働時間はOECD加盟国の中でも最も少ない水準に位置するとされています。結果として、男女格差の比率は国際的にみて大きい部類に入ります。
下表は、主要国における無償労働時間の概算比較です。各国の時間利用調査に基づくOECDの推計値であり、調査年は国によって異なります(概ね2010年代後半~2020年代前半)。参照・研究目的の概算値として参照してください。
| 国・地域 | 女性の無償労働時間(分/日) | 男性の無償労働時間(分/日) | 男女比(女性÷男性) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 約224 | 約100 | 約2.2倍 |
| 韓国 | 約215 | 約49 | 約4.4倍 |
| フランス | 約259 | 約174 | 約1.5倍 |
| スウェーデン | 約216 | 約185 | 約1.2倍 |
| デンマーク | 約245 | 約186 | 約1.3倍 |
| ノルウェー | 約221 | 約180 | 約1.2倍 |
| OECD平均 | 約268 | 約141 | 約1.9倍 |
出典: OECDデータ(Time Use)各国時間利用調査に基づく推計値。
男性の家事参加率が高い国の共通点
ノルウェー・スウェーデン・デンマークなど北欧諸国では、男女の無償労働時間の格差が相対的に小さい傾向があります。これらの国に共通する制度的背景として、①父親専用の「パパクォータ」(育休の一定割合を父親にのみ付与し、使わなければ消失する仕組み)、②高水準の育休給付率(給与の80%以上)、③短時間勤務・フレックス制度の法的整備、④公的保育・介護サービスの充実が挙げられます。
一方で、制度の整備だけでは男女格差の縮小に直結しないとも指摘されています。職場風土・文化的規範・個人の意識変革が制度と連動して初めて機能するというのが、国際比較研究の共通した見立てです。
日本の現在地と課題
日本における男性の無償労働時間が特に短い要因として、①世界的にみても上位の長時間労働文化、②男性の育休取得率の低さ(取得しても短期間が多い実態)、③「男性は稼ぎ手、女性はケア担当」という性別役割分担規範の残存が複合的に絡み合っていると分析されています。
OECDは日本政府への政策提言でも、男性の育休取得促進・保育サービスの拡充・長時間労働の是正を繰り返し求めており、第5次・第6次男女共同参画基本計画でもこれらが重点施策として位置づけられています。
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育児期・共働き世帯における時間分担の実態と変化
未就学児をもつ共働き世帯のデータ
育児期は生活時間のジェンダー格差が最も拡大する時期とされています。2021年の社会生活基本調査では、6歳未満の子どもを持つ有業の妻と夫を比較すると、妻の育児時間が夫の約2.8倍に達しています。
育休から復帰した後も、時短勤務を選択するのは依然として女性が多く、短時間勤務の間に家事・育児の大部分を担う構造が固定化しやすいと指摘されています。これが「マミートラック(出産・育児を機にキャリアの本流から外れる現象)」の温床の一つとも考えられています。
経年変化:2006年→2021年の推移
2006年・2011年・2016年・2021年の社会生活基本調査を比較すると、有業の夫の家事関連時間は長期的にわずかに増加傾向を示しており、男女格差は緩やかに縮小しています。しかし依然として女性の家事関連時間は男性の3倍前後であり、改善のペースは緩慢です。
2020年のコロナ禍では、テレワーク普及により夫の家事・育児参加が増加したという調査結果が複数報告されました。一方で、保育所・学校の臨時休業により育児負担が急増したことで女性の家事関連時間が著しく伸びたという分析も存在し、影響は一律ではありませんでした。
テレワーク普及後の変化
2021年の社会生活基本調査では、テレワークを実施している有業者の家事関連時間が在宅勤務なしの有業者に比べて長い傾向がみられます。通勤時間の節約分が家事や育児に充てられているとも解釈できます。
ただし、「自宅にいる女性がより多くの家事を担わされる」という事象も報告されており、テレワークが自動的に家事分担の平等化をもたらすとは限りません。テレワーク環境下での家事分担については、夫婦間での明示的な話し合いと合意が重要とされています。
現代的論点|2026年時点の到達点
2007年以降の主な法改正・新法
生活時間のジェンダー格差に関連する主な法改正・政策の動向は以下の通りです。
- 育児・介護休業法の累次改正(2009年・2017年・2021年・2024年)
2021年改正では産後パパ育休(出生時育児休業)が新設され、子の出生後8週間以内に最大4週間の育休を男性も取得できるようになりました(2022年10月施行)。2024年改正では、子が3歳になるまでの間に事業主が「柔軟な働き方確保措置」(テレワーク・短時間勤務・フレックス等のいずれか)を提供することが義務化されました(2025年4月施行)。 - 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の2022年改正
常時雇用する労働者が101人以上の事業主に対し、女性管理職比率・男性育休取得率等の情報公表が義務化されました。データの可視化により企業間比較・求職者による企業評価が可能になっています。 - 第5次男女共同参画基本計画(2020年)および第6次計画(2025年策定予定)
第5次計画ではコロナ禍の女性への影響と男性の家事・育児参加促進が重点項目に盛り込まれました。第6次計画でも無償労働の統計整備強化と男性参加促進が引き続き重点課題として議論されています。 - 男性育休取得率30%目標の達成
政府は2025年までに男性育休取得率30%を目標に掲げ、2023年度には約30.1%(厚生労働省「雇用均等基本調査」)と初めて目標値に到達しました。ただし取得期間が2週間未満の短期取得が多いことが課題として浮上しています。
議論の現在地(賛否両論)
生活時間のジェンダー格差をどのように是正するかをめぐっては、複数の立場から議論が展開されています。
政策的介入を推進する立場からは、①データが示す通り現状の格差は大きく女性のキャリアや健康・経済的自立を損なっている、②北欧型のパパクォータや高水準の育休給付率は格差縮小に有効という国際的な実証研究がある、③男性が家事・育児に参加することで子どもの発達・男性自身の生活満足度・家族関係の質も向上するという研究がある、という主張がなされています。
慎重・自由主義的な立場からは、①家事分担は夫婦が自由に決める私的な事柄であり国家が過剰に介入すべきではない、②統計の平均値だけでは個々の事情を反映しきれず「格差=不当」と一律に断定できない、③育休給付率の引き上げや保育サービスの拡充には財政負担の問題がある、という見方もあります。
学術的には、無償労働の偏在が女性の有償労働参加・賃金・老後の年金額に構造的な影響を与えることは広く認められています。政策的介入の範囲・手法については多様な議論が続いており、国際比較研究を参照しながら日本に適した施策を模索する段階にあります。
残された課題
男性育休取得率30%という政府目標は2023年度に達成されましたが、取得期間の短期化という新たな課題が顕在化しています。2週間未満の短期取得が多く、その間に実質的な家事・育児の担い手が変わっていないケースも報告されており、「取得率」の数字だけでは生活時間格差の縮小を判断しきれません。
統計の整備という観点でも課題があります。社会生活基本調査は5年周期のため、コロナ禍や法改正後の変化をリアルタイムに捉えることが難しい構造です。EBPM(証拠に基づく政策立案)の観点から、より高頻度の時間利用調査体制の構築が求められています。
属性別データの不足も指摘されています。非正規雇用者・ひとり親家庭・外国にルーツを持つ家族・性的マイノリティのパートナーシップなど、多様な属性ごとの生活時間データが不足しており、政策立案の精度向上のために細分化されたデータ整備が求められています。
さらに、無償労働の経済的評価をGDP統計に取り込む「衛星勘定(サテライト・アカウント)」の整備が国際的に提唱されており、日本でも内閣府が無償労働の金銭的評価の試算を公表していますが、政策意思決定への本格的な反映は発展途上です。
格差が縮まらない構造的要因
長時間労働文化と「稼ぎ手」規範
日本の男性は国際比較でも有数の長時間労働者です。厚生労働省の毎月勤労統計では、フルタイム男性の所定外労働時間は女性を大幅に上回っています。長時間の有償労働をしている男性が、帰宅後に家事・育児を担う時間的・精神的余裕を持ちにくい構造があります。
この背景には「男性は家族のために稼ぐべき」「女性はケアを担うべき」という性別役割分担規範と、日本型雇用慣行(メンバーシップ型雇用・転勤・残業前提の評価制度)が相互に強化し合う構造があると分析されています。働き方改革関連法(2019年施行)による時間外労働の上限規制は一定の効果をもたらしていますが、長時間労働文化の変容には時間を要しています。
税制・社会保障制度の影響
所得税の配偶者控除や、社会保険の「第3号被保険者」制度(年収130万円未満の被扶養配偶者が保険料を自己負担しなくてよい制度)は、一定の収入を超えると経済的メリットが失われる仕組みです。これが女性のパートタイム就労・収入抑制の誘因となり、家事・育児を女性が担う構造を制度的に下支えしているとの指摘があります。
なお、配偶者控除の見直しや第3号被保険者制度の改革については、財政・年金制度・家族の多様性など多面的な論点があり、賛否両論のある複雑な政策課題です。個別の税務・年金に関する事案については、税理士・社会保険労務士など専門家への相談をご検討ください。
保育・介護インフラの整備状況
保育所・学童保育・介護サービスの整備状況は、家庭内で誰がケアを担うかに直結します。待機児童はピーク時(2017年:約2.6万人)から減少傾向にあるものの、2025年時点でも都市部を中心に需要に対して供給が追いつかない地域があります。
介護保険サービスも地域差が大きく、在宅介護を家族(特に女性)が担わざるを得ない地域が存在します。公的ケアインフラの拡充は、無償労働を「個人・家族の問題」から「社会全体で担う課題」へと転換する上での重要な前提条件とされています。
公的相談窓口・参考統計
主要統計・公的資料へのアクセス
生活時間に関する統計・資料は以下の公的機関から無料で参照できます。総務省統計局ウェブサイト(https://www.stat.go.jp/)では社会生活基本調査の結果を公表しており、男女別・世帯構成別の生活時間データをダウンロードできます。内閣府男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/)では男女共同参画白書をはじめ、男女の生活時間に関する統計・分析レポートを掲載しています。OECDiLibrary(https://www.oecd-ilibrary.org/)では各国の時間利用調査データを英語で参照できます。
公的相談窓口
育休取得トラブル・職場でのハラスメントについては、各都道府県労働局の雇用均等室へ相談できます(雇用均等相談: 0120-794-713、平日9時~17時)。女性の人権問題全般については法務省 女性の人権ホットライン(0570-070-810、平日8:30~17:15)が相談を受け付けています。法的費用の援助については法テラス(0570-078374)の審査制度を利用できます。
具体的な法律問題や個別の事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。
まとめ|データが示す課題と変化の方向性
2021年の社会生活基本調査が示す通り、日本では共働き世帯においても家事・育児・介護の無償労働を女性が男性の約3倍以上担っており、OECDの国際比較でも男女格差は大きい水準にあります。
この格差は単なる「慣習」にとどまらず、女性のキャリア中断・賃金格差・老後の年金額の低さ・健康への影響など、有形の不利益に連鎖する構造問題として捉える必要があります。
2022年の産後パパ育休新設・2024年の柔軟な働き方確保措置義務化など、法制度の整備は着実に進んでいます。一方で、男性育休の取得期間の短期化、依然として大きい家事時間の男女差、保育・介護インフラの地域格差など、解決すべき課題は多く残っています。
統計データを読み解くことは、政策立案者・企業担当者・市民それぞれが現状を正確に把握し、変化を促す出発点となります。生活時間のジェンダー平等という視点は、男女共同参画社会の実現に向けた核心的な論点の一つです。
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よくある質問(FAQ)
- Q1: 社会生活基本調査と国勢調査の違いは何ですか?
- 国勢調査は人口・世帯構成・就業状態等を把握する基幹統計で5年ごとに実施されます。社会生活基本調査は生活時間の配分と余暇活動を詳細に把握するために別途実施される統計調査です。「誰が何時間何をしているか」をより詳細に捉えることを目的としており、ジェンダー別の家事分担分析に特に有効です。
- Q2: 日本の有業の夫の家事関連時間はどれくらいですか?
- 2021年の社会生活基本調査によると、有業の夫(配偶者がいる就労男性)の家事関連時間(家事・育児・介護・看護・買い物の合計)は1日平均約1時間23分とされています。有業の妻の約4時間24分と比較すると、約3.2倍の格差があります。
- Q3: 共働きでも家事は女性が多く担うのはなぜですか?
- 研究者の間では、①長時間労働文化により男性の帰宅が遅くなりがちな構造、②「家事は女性の仕事」という性別役割分担意識の根強さ、③育休取得率・取得期間の男女差、④配偶者控除等の制度的誘因が複合的に影響していると分析されています。単一の要因ではなく、文化・制度・個人の意識が相互に絡み合っていると考えるのが通説的見解です。
- Q4: 男性育休の取得率は上がっていますか?
- 厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は2023年度に約30.1%と過去最高を更新し、政府目標の30%に初めて到達しました。ただし取得期間が2週間未満の短期取得が多いことが課題として指摘されており、実質的な家事・育児分担の変化につながっているかどうかは引き続き検証が必要とされています。
- Q5: 無償労働をGDPに反映することはできますか?
- 国際連合や国際労働機関(ILO)は、無償労働を「衛星勘定(サテライト・アカウント)」として国民勘定に追加することを提唱しています。日本でも内閣府が無償労働の帰属計算(金銭的評価の試算)を公表しており、その金額はGDPの数十%に相当するとも試算されています。ただし正式なGDPへの反映は国際的な議論の途上であり、標準的な国民経済計算には現時点では含まれていません。
- Q6: 生活時間のジェンダー格差は改善されていますか?
- 社会生活基本調査の経年比較では、有業の夫の家事関連時間が2006年から2021年にかけてわずかに増加しており、長期的にはわずかな改善傾向がみられます。ただし改善のペースは緩慢で、2021年時点でも有業の妻は有業の夫の約3倍の家事関連時間を担っている状況です。継続的なモニタリングが重要です。
