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性別役割分担意識の変化|内閣府調査データと国際比較【2026年版】

※本記事には広告(PR)が含まれます

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方に、あなたはどう答えるでしょうか。この問いに対する日本人の回答は、過去30年間で劇的に変化してきました。内閣府が継続的に実施する「男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、2021年の調査では初めて「反対」が「賛成」を上回り、反対派が過半数を占めるという歴史的な転換点が記録されました。しかし、データを年代・性別・地域ごとに分解すると、意識変化の内実はより複雑な様相を呈しています。さらに「意識は変わっても行動は変わらない」という乖離(かいり:見かけと実態のずれ)が統計上明確に表れており、政策立案上の大きな課題となっています。本記事では、国内外の統計データを用いて性別役割分担意識(せいべつやくわりぶんたんいしき:性別によって担うべき役割が異なるという考え方)の現在地を多角的に整理します。ISSP(国際社会調査プログラム)との国際比較も交え、日本が世界のなかでどのような位置にあるかを確認します。人事・ダイバーシティ担当者、男女共同参画推進員、ジェンダー政策を学ぶ学生・研究者など、データに基づく現状理解を深めたい方々を主な対象としています。

目次

性別役割分担意識とはなにか

社会学・政策上の定義

性別役割分担意識とは、「男性は仕事・女性は家庭」「男性は稼ぎ手・女性は養育者」といった、性別ごとに固定化された役割を当然のものとみなす意識の総称です。社会学では「ジェンダー規範(gender norms)」の一部として位置づけられ、個人の行動・選択を制約するとともに、制度設計にも影響を与えると分析されています。

日本の男女共同参画政策においては、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第4条が「社会における制度又は慣行についての配慮」を基本理念の一つとして掲げており、固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度・慣行を見直すことが明文化されています。内閣府男女共同参画局はこの意識を「固定的性別役割分担意識」と呼び、政策目標の基礎指標として継続的に測定しています。

世論調査における測定方法

意識調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という命題への賛否が長年にわたる標準的な測定指標として用いられてきました。選択肢は通常「賛成」「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」「反対」「わからない」の5段階で、分析では「賛成」+「どちらかといえば賛成」を「賛成計」、「反対」+「どちらかといえば反対」を「反対計」として集計します。

ただし、この設問形式には限界もあります。「同意」か「不同意」かの二択で意識を測るため、程度の差や文脈依存性が捉えにくい点、また「社会通念としての規範」への賛否なのか「自分自身の志向」への賛否なのかが混在する点が研究者から指摘されています。近年は「男性が主要な稼ぎ手であるべき」「子育ては母親が担うべき」など複数の下位項目を組み合わせた複合的な測定も試みられています。

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」の概要

調査の目的と実施方法

内閣府は「男女共同参画社会に関する世論調査」を概ね3年おきに実施しており、性別役割分担意識の変化を継続的に把握するための主要な公的統計として機能しています。調査は全国の成人男女(18歳以上)を対象とし、無作為抽出法によるサンプリングを採用しています。直近の2021年調査では3,000名を対象として実施されました(回収率は年によって変動)。

調査結果は内閣府男女共同参画局のウェブサイト(https://www.gender.go.jp/)で公表されており、時系列比較が可能な集計表も合わせて提供されています。同調査は1992年以降継続されており、30年以上にわたる長期データが蓄積されている点が特徴です。

主要設問:「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」への賛否

同調査の中核となる設問が「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだという考え方について、あなたはどのようにお考えですか」です。この設問は1992年調査から変更なく継続されているため、長期トレンドの比較が可能な数少ない指標の一つです。賛否の推移は日本のジェンダー政策の方向性を測るうえで、研究者・行政担当者の間で最も参照頻度の高い統計データとなっています。

なお、同調査では「家庭生活に関する意識」「職場における男女の地位の平等感」「男女共同参画の取組の優先課題」なども調査されており、性別役割分担意識と職場・家庭の実態意識を組み合わせた分析が可能です。

性別役割分担意識の長期推移(1992年~2024年)

賛否の変遷データ

内閣府の世論調査データに基づく「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」への賛否の長期推移は、日本社会のジェンダー意識の変化を如実に示しています。1992年の調査時点では賛成計が約72.2%に上り、反対計は約21.7%にとどまっていました。以降、賛成計は緩やかな低下傾向を続け、2012年調査では賛成計51.6%、反対計が45.1%まで接近しました。

2016年調査では賛成計49.4%・反対計47.4%とほぼ拮抗する状況となり、2021年調査で初めて賛成計35.0%・反対計56.0%と逆転が確認されました。約30年間で賛成計が37ポイント以上低下したことは、意識の構造的変化を示しています。ただし、反対計56%という数値は、「半数超が反対」ではあるものの、賛成層が35%と依然として3人に1人以上が役割分担を肯定していることも意味します。

コロナ禍が意識に与えた影響

2020年~2021年に集中したコロナ禍では、リモートワーク導入や学校休校が家庭内の役割分担を可視化し、意識に複合的な影響を与えたとされています。研究者からは二つの方向性が指摘されています。一方では「男性の家事・育児参加が増えた」という肯定的な変化が報告された調査も存在します。他方、「緊急事態宣言下で家事負担が女性に集中した」という調査結果も複数報告されており、コロナ禍が役割分担意識を固定化した側面も否定できません。

内閣府「男女共同参画白書 令和3年版(2021年)」はコロナ禍が女性に不均衡な打撃を与えたことを統計的に示しており、「シー・セッション(She-cession)」とも呼ばれる女性主体の雇用喪失・役割負担増が意識調査の数値にも影響を与えた可能性があります。

年代別・性別にみる意識の差異

年代別傾向

性別役割分担意識は年代によって顕著な差がみられます。2021年調査では、20代・30代では反対計が7割を超えるのに対し、60代以上では賛成計が反対計を上回るか拮抗する傾向がみられました。若年層ほど「賛成しない」割合が高く、高年齢層ほど「賛成する」割合が高いという年齢傾斜は、1990年代から一貫して観察されている構造です。

ただし、若年層の反対が多い理由の解釈には慎重さが必要です。若年層は「選択の自由」を重視するリベラルな価値観から反対を表明している可能性がある一方で、共働き世帯が標準化した経済的現実を反映しているだけで、意識の深部での役割規範が解消されているわけではないという指摘もあります。

男女別傾向の比較

性別による差異も顕著です。同一年代で比較した場合、女性の方が反対する割合が概して高く、男性の方が賛成する割合が高い傾向が続いています。2021年調査では女性の反対計が約62%、男性の反対計が約49%と13ポイント程度の開きがありました。この差は「制度の受け手側が当該規範に対して批判的になりやすい」という社会学上の知見と整合しています。

一方、「男性も意識が変わった」点は重要です。男性の反対計は2000年代前半の30%台から2021年の49%台へと大幅に上昇しており、男性の意識変化も着実に進んでいます。

年代・性別別の賛否分布(2021年調査・概算)

年代・性別 賛成計(%) 反対計(%) 特記事項
20代 女性 約15 約77 全区分中、最も反対が多い
30代 女性 約20 約72 育児期の実感が反映される傾向
20代 男性 約24 約68 若年男性でも反対が大多数
40代 女性 約28 約65 管理職昇進期と重なる
40代 男性 約36 約57 中間管理職世代
60代 男性 約52 約41 賛成計が反対計を上回る数少ない区分
70歳以上 男性 約57 約35 最も賛成割合が高い区分
全体(男女計) 約35 約56 2021年に初めて反対が過半数
出典:内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2021年)より概算値を表示。各セルの数値は四捨五入・概算であり、「わからない」等の非回答が差分を構成する。詳細は内閣府男女共同参画局の公表資料を参照のこと。

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▼ 性別役割分担意識の歴史的変遷と社会的背景を深く学ぶには

竹信三恵子「家事労働ハラスメント——生活の政治から保育・家事・介護を奪わないために」岩波新書(PR)

家事・育児・介護を「労働」として位置づけ直す視点から、性別役割分担の構造的問題を論じた一冊。岩波新書らしい読みやすさで、データの背景にある社会構造を理解するのに適しています。

国際比較|ISSPデータで見る日本の位置

ISSP「家族・ジェンダー役割」調査の概要

ISSP(International Social Survey Programme:国際社会調査プログラム)は、40か国以上が参加する国際的な比較調査プログラムです。「Family and Changing Gender Roles(家族とジェンダー役割の変化)」モジュールはおよそ10年おきに実施され、「夫は外で稼ぎ、妻は家庭を守るべき(The man should earn the money and the woman should look after the home and children)」という命題への賛否を各国共通の設問で測定しています。これにより、異なる文化・制度背景を持つ国々の意識を横断的に比較することが可能です。

直近の第4波調査(2012年実施)の分析では、日本は「夫が稼ぎ手・妻が養育者」という伝統的役割分担への同意率が、OECD加盟国の中でも比較的高い水準にあることが示されました。北欧諸国(スウェーデン・ノルウェー・フィンランド)では同意率が10%台にとどまる一方、日本は30%台後半の同意率を示しており、G7諸国の中でも同意率が高い国の一つに位置づけられています。

G7・OECDの国際比較における日本の位置

OECD(経済協力開発機構)の「Dare to Share(2017年)」報告書や「Society at a Glance」シリーズでは、加盟国間の家庭内役割分担意識と実態の国際比較データが提供されています。日本は「ジェンダーギャップ指数」(世界経済フォーラム発表)において2024年に118位を記録しており、G7中最低水準が続いています。

一方で、意識の変化速度という観点では、日本は1990年代から2020年代にかけての変化幅がG7諸国の中でも大きい方に属するという指摘もあります。「遅れているが変化の速度は出てきた」という評価と、「それでも現状はまだ先進国最低水準」という評価は矛盾しない点に留意が必要です。詳細はジェンダーギャップ指数とは|日本の順位・4分野スコアと国際比較【2026年版】も参照してください。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

性別役割分担意識に関連する法制度は、2007年以降も継続的に整備されてきました。

  • 育児・介護休業法の累次改正(2009年・2017年・2021年・2022年・2025年):男性の育児休業取得促進策が段階的に強化されました。特に2022年施行の「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度は、子の誕生後8週間以内に最大4週間取得できる新たな枠組みで、男性育休の取得率向上を目的としています。2025年改正では300人超の企業に男性育休取得率の公表義務が課されました(詳細は育児・介護休業法 2025年改正|4月・10月の2段階施行をわかりやすく解説を参照)。
  • 女性活躍推進法(2015年成立・2019年改正・2022年情報公表強化):事業主行動計画の策定・公表義務が段階的に拡大し、2022年改正で300人超企業に男女の賃金格差の公表が義務化されました(女性活躍推進法 2026年改正の解説記事も参照)。
  • 第5次男女共同参画基本計画(2020年閣議決定):「固定的な性別役割分担意識の解消」を重点課題の一つに明記し、広報・啓発施策の強化方針が示されました。
  • こども基本法・こども家庭庁設置(2023年施行):子育て支援を縦割りなく一元的に推進する体制が整備され、育児の性別役割分担見直しを促す制度環境が整備されました。

議論の現在地

「意識の変化が政策によってもたらされたのか、社会・経済の変化が意識を変えたのか」という問いは、研究者の間でも論点になっています。

啓発効果を重視する立場は、男女共同参画推進法制と広報・教育の継続が、特に若年層の意識変化を促したとみます。学習指導要領の改訂や企業のダイバーシティ研修の拡大が、知識・態度レベルでの変化をもたらしたという見方です。

経済合理性を重視する立場は、共働き世帯の増加(1990年代後半に専業主婦世帯を逆転)や非正規雇用の拡大が「妻も働かなければ生活できない」という現実をもたらし、意識変化は「必要性の認識」に過ぎないと指摘します。この立場からは、意識変化が価値観の深部まで及んでいるか疑問視されます。

世代交代効果を重視する立場は、役割分担意識が強い高年齢層が調査サンプル全体に占める割合が変化することで、集計値が変化しているにすぎないという解釈を提示します。これは「意識が変わった」のではなく「意識の違う世代が入れ替わった」という見方です。

いずれの立場も一定の根拠を持っており、どれが主因かは今後の実証研究の積み重ねを必要とします。

残された課題

調査データから浮かび上がる未解決の課題として、以下が挙げられます。

  • 意識と行動の乖離:世論調査で「反対」と答えつつも、実際の家事分担では従来型パターンを維持している家庭が多いことが、総務省「社会生活基本調査」等で示されています。この乖離がなぜ生じるかの構造的解明が求められています。
  • 男性意識のさらなる変化:全体の反対計が56%に達したものの、男性の反対計は49%と半数を下回っています。特に40代以上の男性の意識変化が政策的課題として残っています。
  • ISSP第5波データの反映:ISSPの「Family and Changing Gender Roles」モジュール第5波(2020年代実施予定)の分析結果が今後公表されることで、コロナ禍以降の意識変化を国際比較できるようになると期待されています。
  • 調査手法の現代化:「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という設問は、同性カップルや多様な家族形態を想定しておらず、設問自体の見直しを求める声もあります。

意識と実態のギャップ

家事・育児時間格差(社会生活基本調査データ)

総務省が5年おきに実施する「社会生活基本調査」は、1日の生活時間の配分を性別・就業状況別に把握する統計です。2021年調査によれば、6歳未満の子を持つ夫の家事・育児時間(1日平均)は1時間54分であるのに対し、妻の家事・育児時間は7時間28分と、約4倍の開きがあります。日本の男性の家事・育児時間は、OECD加盟国の中でも最低水準に位置することが複数の国際比較で示されています。

この数値は「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という設問への反対が増加している期間においても、家事・育児時間の男女格差が縮小するペースが極めて緩やかであることを意味します。「意識上は役割分担に反対」でも「行動は役割分担通り」という状態が継続しており、意識変化と行動変化の間には構造的な遅延があると解釈されます。詳細なデータは無償ケア労働(アンペイドワーク)とは|家事・育児・介護のジェンダー格差と法制度【2026年版】もあわせてご参照ください。

管理職・政治分野の女性比率との関係

意識調査のデータは、他の「アウトカム指標」との関係でも読み解けます。内閣府「男女共同参画白書 令和6年版(2024年)」によれば、民間企業の管理職(係長以上)に占める女性割合は約12.7%(2023年)と、政府目標の30%を大きく下回っています。国会議員(衆議院)に占める女性割合も約10%台にとどまっており、G7諸国の中で最低水準が続いています。

これらのアウトカム指標の低さは、世論調査で「反対」が増加している意識変化の進展と必ずしも連動していません。「意識が変わっても構造が変わらない」「構造が変わらないから意識変化も行動変化につながらない」という循環の存在が、政策立案の難しさの核心といえます。管理職比率の詳細は女性管理職比率とは|業種・企業規模別データと国際比較【2026年版】を参照してください。

まとめ:データが示す「変化の途上」という実相

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」が示す最も重要なメッセージは、「意識は確実に変化しているが、変化は途上にある」という点です。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という意見への反対が初めて過半数を超えた2021年のデータは、確かに歴史的転換点を示しています。しかし、35%が依然として賛成し、男性の反対計は約49%と半数を下回り、年代差・性差も大きく残っています。

さらに、意識の変化が行動・制度・アウトカム(管理職比率・政治参画率・家事時間格差)の変化に直結していないという「意識と実態の乖離」は、政策的に最も対応が難しい課題の一つです。国際比較でも日本の意識水準はOECDの中で下位に位置しており、意識変化のスピードを加速するには、制度的介入(育休取得義務化・数値目標・アンコンシャスバイアス研修等)と文化・啓発の双方からのアプローチが必要とされています。

データを正確に読み解くには、一時点のスナップショットではなく、長期推移・年代別・性別・国際比較の複数レンズを組み合わせた多角的な分析が不可欠です。本記事が示したデータの読み方は、企業・自治体でのダイバーシティ推進施策を立案する際の基礎情報としても活用できます。

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▼ 国際比較の視点も含め、ジェンダーと社会の関係を体系的に学ぶには

木村涼子・伊田久美子・熊安貴美江編著「よくわかるジェンダー・スタディーズ」ミネルヴァ書房(PR)

社会学・政治学・法学など複数の学問領域からジェンダーを体系的に解説した入門テキストです。性別役割分担意識の背景にある社会構造を学術的視点から整理したい方に適しています。

公的相談窓口

職場・家庭における性別役割分担に起因する問題(ハラスメント・離職・ワンオペ育児・介護負担等)について支援を求める場合は、以下の公的窓口をご利用ください。

  • 男女共同参画に関する相談窓口(各都道府県):都道府県・政令市に設置された男女共同参画センター・女性センターでは、ジェンダーに関する悩みの相談を受け付けています。
  • 女性の人権ホットライン(法務省):0570-070-810(全国共通・平日9時~17時15分)。職場・家庭でのハラスメントや人権侵害の相談を受け付けています。
  • 法テラス(日本司法支援センター):0570-078374。法的問題の相談案内・弁護士費用の立替制度。ジェンダーに起因する法的問題の相談先を案内します。

具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えへの反対が多数になったのはいつからですか?
A. 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2021年実施)において、反対計(「反対」+「どちらかといえば反対」)が初めて56.0%と過半数を超え、賛成計(35.0%)を上回りました。1992年調査では賛成計が約72%であったため、約30年間で意識の逆転が生じたことになります。
Q. 若い世代の方が性別役割分担意識が低いのは本当ですか?
A. 内閣府の世論調査データによれば、概ねその傾向があります。20代・30代の反対計は70%を超えるのに対し、60歳以上では賛成計が反対計を上回る場合もあります。ただし、若年層でも「意識上は反対」「行動は分担通り」という乖離が指摘されており、意識と実態を区別した分析が必要です。
Q. 日本の性別役割分担意識は国際的に見てどの水準にありますか?
A. ISSP(国際社会調査プログラム)の国際比較データでは、日本は「夫が稼ぎ手・妻が養育者」という伝統的役割分担への同意率がOECD加盟国の中で比較的高い水準にあることが示されています。特に北欧諸国(スウェーデン・ノルウェー・フィンランド)との差は大きく、G7諸国内でも同意率が高い国の一つとされています。
Q. 意識調査の数値が改善しても、家事分担の実態が変わらないのはなぜですか?
A. 意識と行動の乖離が生じる要因としては、①職場の長時間労働文化(男性が家事に使える時間的制約)、②育休取得への職場のプレッシャー、③保育・家事サービスのコスト、④本人のジェンダー・アイデンティティと実際の役割期待の相互作用など、複合的な構造的要因が指摘されています。総務省「社会生活基本調査(2021年)」では、6歳未満の子を持つ夫の家事・育児時間は1日平均1時間54分と、妻(7時間28分)の約4分の1にとどまっており、意識調査の数値変化に比べて行動変化のペースが著しく遅い状況が続いています。
Q. 男女共同参画社会基本法は性別役割分担意識の解消についてどう定めていますか?
A. 男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第4条は「社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない場合には、必要な限り、その中立性が確保されるように配慮されなければならない」と規定しており、固定的性別役割分担意識に基づく慣行の見直しを基本理念として掲げています。具体的な施策方針は各次の男女共同参画基本計画(最新は第6次)に落とし込まれています。
Q. 世論調査の設問「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」は古くなっていますか?
A. 設問形式の限界については研究者からの指摘があります。同性カップルや事実婚・ひとり親家庭など多様な家族形態を想定していない点、「社会規範」への賛否と「個人の志向」への賛否が混在する点、また「どちらかといえば」という曖昧な段階への回答が意味するものが多様である点などが課題とされています。内閣府は複数の設問を組み合わせた多面的な測定も試みており、今後の調査設計の改善が期待されています。

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