「好きになる相手の性別が違う」「なぜ自分は同性に惹かれるのだろう」「男性にも女性にも好意をもつのはおかしいことなのか」——そうした感覚を抱いたことがある人は少なくありません。性的指向(セクシュアル・オリエンテーション、Sexual Orientation)とは、どの性別の人に対して性的・恋愛的な魅力を感じるかを示す個人の属性です。
2023年にLGBT理解増進法が成立し、「性的指向」という言葉が日本の法律の条文に初めて明示されました。しかしその定義・種類・法的保護の実態については、まだ十分に理解されているとはいえません。職場では性的指向を理由にしたハラスメント(SOGIハラ)が問題化し、各自治体のパートナーシップ制度の整備も進んでいます。一方で、雇用・教育・住居などの場面での差別禁止規定は、国レベルでは整備が遅れているのが現状です。
この記事では、性的指向の基本概念からその多様なスペクトラム、国内外の法的保護の現状まで、2026年時点の情報をもとに体系的に解説します。ハラスメント窓口を担当する人事職の方、ジェンダー平等に関心のある社会人、LGBTQ+当事者やアライ(支援者)として職場・学校・地域で活動している方を主な対象としています。
性的指向とはなにか——基本概念と定義
「性的指向」という言葉の意味
性的指向とは、どの性別の人に対して性的・恋愛的な魅力を感じるかを示す個人の属性です。英語では「Sexual Orientation」と表記し、日本の法令では2023年に成立した性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号、最終改正: 2023年6月施行。以下「LGBT理解増進法」)第2条第1項において、「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう」と定義されています。
「指向」という語は、ある方向に向いていることを意味します。異性に惹かれる、同性に惹かれる、どちらの性にも惹かれる、あるいは性別を問わず人そのものに惹かれる——このような多様なあり方が「性的指向」という概念で捉えられます。性的魅力を感じる場面や度合いも人によって異なり、単純な二元論では整理しきれない豊かな多様性があります。
重要なのは、性的指向が本人の意思で選択するものではないという点です。世界保健機関(WHO)や米国心理学会(APA)をはじめとする主要な医学・心理学団体は、性的指向を「変更を試みるべき状態や障害」とは位置づけておらず、人の多様性の一側面とみなしています。
性的指向・性自認・生物学的性別の違い
性的指向を理解するうえで、関連する3つの概念を区別することが重要です。
- 生物学的性別(Sex): 染色体・ホルモン・生殖器官など、生物学的特徴に基づく分類。
- 性自認(ジェンダーアイデンティティ、Gender Identity): 自分が男・女・それ以外のどの性別であると認識しているかという内的感覚。LGBT理解増進法第2条第2項では「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識」と定義されています。
- 性的指向(Sexual Orientation): どの性別の人に惹かれるかという恋愛的・性的な方向性。
これらは互いに独立した軸です。たとえば、女性として自認する人が、女性に惹かれる場合もあれば、男性に惹かれる場合もあります。性的指向は性自認によって決まるものではなく、生物学的性別によっても決まりません。SOGI(ソジ)という略称はこの「Sexual Orientation and Gender Identity」(性的指向と性自認)の頭文字を取ったものであり、国際的に広く使用されています。
性的指向はなぜ多様なのか
性的指向の形成には、遺伝的要因・神経生物学的要因・環境要因などが複合的に関与している可能性が研究されています。ただし、現時点では単一の「原因」が特定されているわけではありません。米国心理学会(APA)は「ほとんどの人は性的指向を選んでいない」と述べており、意図的な変更(いわゆる「転換療法」)は効果がなく有害であると警告しています。
性的指向の多様性は歴史的・文化的に普遍的に存在してきた事実であり、特定の時代や文化の「異常」ではありません。世界保健機関(WHO)は1990年のICD-10で同性愛を疾病分類から除外しており、世界精神保健連合(WFMH)も同様の立場をとっています。こうした国際的な医学的合意は、性的指向の多様性が人の自然なあり方の一部であることを示しています。
性的指向の多様なスペクトラム
ヘテロセクシュアル・ホモセクシュアル・バイセクシュアルの定義
代表的な性的指向として以下が挙げられます。
- ヘテロセクシュアル(異性愛): 自分とは異なる性別の人に恋愛的・性的な魅力を感じる指向。一般に「異性愛」と訳されます。
- ホモセクシュアル(同性愛): 自分と同じ性別の人に恋愛的・性的な魅力を感じる指向。男性の同性愛者はゲイ(Gay)、女性の同性愛者はレズビアン(Lesbian)と呼ばれることが多いです。
- バイセクシュアル(両性愛): 複数の性別の人に恋愛的・性的な魅力を感じる指向。「二つの性別のみが対象」ではなく、多様な性別の人への魅力を含む概念として現代では捉え直されています(詳細はバイセクシュアルとは参照)。
LGBTという略称の「L」「G」「B」はそれぞれレズビアン・ゲイ・バイセクシュアルを指します。これらは歴史的に当事者コミュニティが主体的に用いてきた言葉であり、自称として使うかどうかは当事者本人の判断に委ねられています。
パンセクシュアル・デミセクシュアル・その他の多様な指向
近年、より細かく多様な性的指向を示す概念が広まっています。
- パンセクシュアル(全性愛): 性別に関わらず人そのものに惹かれる指向。バイセクシュアルと重なる部分もありますが、「性別の多様性を前提に、すべての性別の人に惹かれうる」点を強調する言葉です。
- デミセクシュアル: 強い情緒的絆が築かれた相手に限り、性的な魅力を感じる指向。アセクシュアルのスペクトラム上に位置づけられることもあります。
- アセクシュアル(無性愛): 他者に対して性的な魅力をほとんどまたは全く感じない指向。恋愛的な魅力は感じる場合(アロセクシュアルのアセクシュアル)もあります(詳細はアセクシュアルとは参照)。
- アロマンティック: 他者に対して恋愛的な魅力をほとんど感じない指向。性的魅力の有無とは独立した軸です。
性的指向はこれらのカテゴリに完全に収まりきるものではなく、個人の経験はさらに多様です。一般社会での認知度が低い概念も多く、当事者が自身の経験に合致する言葉を見つけられないまま孤立感を抱えるケースがあります。
クエスチョニングと性的指向の流動性
クエスチョニング(Questioning)とは、自分の性的指向や性自認についてまだ模索中・問い続けている状態を示す言葉です。LGBTQ+の「Q」に含まれる概念の一つです。
性的指向は固定されたものとは限らず、人生の過程で変化したり、流動性を感じる人もいます。こうした流動性は「実は本当の性的指向が別にある」という意味ではなく、多様な経験のあり方の一つとして捉えられています。クエスチョニングの状態にある人を含め、どのような性的指向であっても、その人の尊厳や権利は等しく尊重されるべきだというのが、現代の人権基準の考え方です。
日本の法令における性的指向の位置づけ
LGBT理解増進法(2023年)での扱い
2023年6月、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)が成立しました。同法は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない」という現状認識から出発し、理解増進のための施策を国・地方公共団体・事業者に求めるものです。
ただし、同法には差別の禁止規定が含まれていない点が注目されます。第3条では「全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり」という基本理念が定められていますが、差別を明示的に禁止し罰則を設ける規定は設けられていません。詳細についてはLGBT理解増進法とはもあわせてご参照ください。
雇用分野の保護規定の現状
雇用分野では、現行の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法、最終改正: 令和7年法律第63号・2025年6月11日施行)は女性・男性という性別に基づく差別を禁止するものであり、性的指向に基づく差別を直接の規制対象としていません。
ただし、厚生労働省が2022年に改訂した「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」は、SOGIハラ(性的指向・性自認に関するハラスメント)を「業務上必要性のない言動」の例示として挙げています。具体的には、当事者の性的指向・性自認に関する個人情報を本人の同意なく第三者に暴露するアウティングや、同性愛者であることを揶揄する発言などが該当しうるとされています。SOGIハラの詳細についてはSOGIハラとはをご参照ください。
採用・昇進・解雇の場面での性的指向に基づく差別については、現行法上の明確な禁止規定が存在しないため、個別事案の裁判例や企業の就業規則・コンプライアンス方針に依存しているのが実態です。
自治体条例による禁止規定の広がり
国レベルの法整備が遅れる一方、自治体レベルでは性的指向を含む差別禁止規定を設ける動きが広がっています。2015年に東京都渋谷区・世田谷区がパートナーシップ宣誓制度を先行導入して以降、制度整備は急速に進み、2026年時点で300を超える自治体がパートナーシップ制度を導入しています。
また、東京都(男女平等参画推進条例の改正)や大阪府など一部の自治体では、性的指向・性自認を理由とした差別の禁止を条例に明記しています。こうした条例は法的強制力の範囲が限られている場合もありますが、社会的規範の形成という観点では重要な役割を果たしています。
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性的指向に基づく差別の実態データ
職場での経験——差別・ハラスメント統計
厚生労働省委託調査(2020年実施「職場におけるハラスメントに関する実態調査」)では、LGBTQ+当事者の一定割合が職場でのハラスメントや差別的扱いを経験していると報告されています。内閣府「性的指向・性自認(SOGI)に関する基礎調査」(2023年)においても、LGBTQ+当事者の約4割が職場で何らかの困難を経験していることが示されています。
具体的な経験として報告されているものには以下があります。
- 性的指向を揶揄する発言を聞いた、または直接受けた
- 本人の同意なく性的指向を第三者に暴露された(アウティング)
- 採用選考・昇進の場面で不利な扱いを受けたと感じた
- 福利厚生(結婚祝い金・慶弔休暇等)において同等の処遇を受けられなかった
こうした差別・ハラスメントが報告されにくい背景には、被害を訴えることで性的指向が職場に知られるリスク(アウティングへの恐れ)があることが指摘されています。アウティングの法的問題についてはアウティングとはをご参照ください。
学校・教育現場での状況
認定NPO法人ReBitが継続実施する「LGBTQ+の学校生活に関する調査」では、LGBTQ+当事者の学生の多くが、性的指向や性自認に関連するいじめや言葉による暴力を経験していることが示されています。同調査によれば、LGBTQ+の子どもの自己肯定感の低さや不登校・中退率の高さには、教育現場でのサポート不足が関係している可能性があると指摘されています。
文部科学省は2015年に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を通知し、2022年改訂の生徒指導提要でもSOGIへの配慮を明記しました。しかし、教職員向けのSOGI研修は自治体や学校によって差があり、体系的な対応が全国で整っているとはいえない状況です。
差別が心身に与える影響
性的指向に基づく差別・偏見にさらされることは、当事者の心身の健康に深刻な影響をもたらす可能性があることが、国内外の研究で指摘されています。「マイノリティ・ストレス理論」(Meyer, 2003)によれば、社会的スティグマ(烙印)や差別に慢性的にさらされることで、うつ・不安・自尊感情の低下といった心理的問題が生じやすくなるとされています。
重要なのは、こうした問題は性的指向そのものが「原因」なのではなく、差別や排除という社会的文脈が問題を引き起こす要因とされている点です。心身の不調を感じる場合は、医療機関・精神保健福祉センター・専門相談窓口へご相談ください。
現代的論点|2026年時点の到達点
| 比較項目 | 2007年時点 | 2026年時点 |
|---|---|---|
| 法令での「性的指向」定義 | 法令上の定義不在 | LGBT理解増進法(2023年)第2条第1項で定義 |
| 差別禁止規定(国レベル) | なし | なし(理解増進のみ・差別禁止規定は未整備) |
| 職場ハラスメント対策 | 根拠なし | パワハラ防止法指針でSOGIハラに言及(2022年指針改訂) |
| パートナーシップ制度 | 全国でなし | 300超の自治体が導入(2026年時点) |
| 生徒指導指針でのSOGI配慮 | 記載なし | 生徒指導提要(2022年改訂)で明記 |
| 国際比較(差別禁止法) | 日本では未整備 | EU・英国・米国連邦では性的指向の法的保護あり、日本は後進 |
2007年以降の主な法改正・新法
- パワハラ防止法施行(2020年大企業・2022年中小企業): 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(令和元年改正、第30条の2、2026年10月1日以降は第31条)に基づき、職場ハラスメントへの対策義務が規定されました。厚生労働省が策定した指針でSOGIハラが例示されています。
- LGBT理解増進法成立(2023年6月): 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)が成立。「性的指向」の法的定義が初めて整備されました。
- 生徒指導提要改訂(2022年): 文部科学省が約12年ぶりに改訂。性的指向・性自認(SOGI)に関する基本的な配慮事項が明記されました。
- 国家公務員の処遇整備(2023年): 人事院が同性パートナーを配偶者と同等に扱う規則改正を実施し、休暇・福利厚生での配慮が制度的に進みました。
議論の現在地
性的指向に関する法的保護については、国内で大きく二つの立場から議論が続いています。
差別禁止法の制定を求める立場: LGBTQ+当事者団体や人権団体、一部の研究者は、性的指向・性自認を理由とした雇用・住居・教育などの場での差別を明示的に禁止する法律(「差別禁止法」)が必要だと主張しています。EU基本権憲章(第21条)や英国の2010年平等法(Equality Act 2010)のように、性的指向を差別禁止事由として明記した法的保護が国際標準になりつつあるという観点も根拠の一つとして挙げられています。
段階的対応・慎重論の立場: 一方、差別禁止法における「差別」の定義の曖昧さや既存の価値観との調整、法的規制よりも教育・理解促進を優先すべきという意見もあります。LGBT理解増進法の立法過程では、こうした見解の相違が最終的な条文の内容に影響を与えたとされています。
こうした賛否については、国内外の法制度の動向を踏まえながら、引き続き議論が行われています。
残された課題
- 国レベルの差別禁止規定の不在: 雇用・住居・教育等の分野で性的指向に基づく差別を明示的に禁止する法律が存在せず、国際人権基準との乖離が指摘されています。
- SOGIハラの実態把握: 性的指向を理由とするハラスメントや差別の統計・実態調査が体系的に整備されておらず、政策立案の根拠となるデータが不足しています。
- 自治体間の格差: パートナーシップ制度や条例保護の有無が自治体によって大きく異なり、居住地によって当事者が受けられる保護に差があります。
- 教育現場での取り組み格差: 学校でのSOGI配慮体制が整っているかどうかは、学校・自治体によって差があり、全国均一の対応が実現していません。
国際的な保護水準と日本の現状比較
欧米での性的指向保護法制
国際的には、性的指向に基づく差別を明示的に禁止する法令の整備が進んでいます。
- EU(欧州連合): EU雇用平等指令(2000/78/EC)は、性的指向を含む差別を雇用分野で禁止しています。EU基本権憲章第21条も性的指向による差別禁止を明記しており、EU加盟国はこれに対応した国内法の整備を求められています。
- 英国: 2010年平等法(Equality Act 2010)は、性的指向を「保護属性(Protected Characteristic)」の一つとして、雇用・サービス・教育等の場での差別を禁止しています。
- 米国: 連邦最高裁判所は2020年のBostock v. Clayton County判決において、性的指向・性自認に基づく雇用差別は公民権法第7編(Title VII)に違反すると判示しました。多くの州がさらに州法での保護を設けています。
国連・ILOでの位置づけ
国連人権理事会は2011年以降、「性的指向と性自認」に関する決議を継続的に採択し、各国に差別禁止・保護措置を求めています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も、性的指向に基づく差別を国際人権法が禁止する差別の一形態として解釈しています。
国際労働機関(ILO)のILO条約190号(2019年採択、仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)は、ハラスメントの被害を受けやすいグループとして「性自認」を明示しており、性的指向を含む多様な属性が保護の対象として念頭に置かれています。日本はILO190号を未批准(2026年時点)であり、批准に向けた議論が続いています。
女性差別撤廃委員会(CEDAW)は日本への定期審査勧告において、LGBTQ+の人々の権利保護に関する法的整備の遅れを繰り返し指摘しています。
アジア各国との比較
アジア地域でも、性的指向の法的保護をめぐる状況は多様です。台湾は2019年にアジア初の同性婚法制化を実現し、性的指向に基づく雇用差別禁止規定も整備されています。タイは2024年に家族法の平等化を進めました。一方で、日本は国レベルでの差別禁止規定が未整備のまま、アジア域内でも後進的な位置にあるとの指摘が研究者・NGOからなされています。
ただし、各国の文化的・宗教的背景や立法プロセスは異なるため、単純な比較には慎重な観点が必要です。日本における今後の法制度整備の方向性については、国際人権基準との整合を図りながら、国内の多様な意見を踏まえた議論が求められています。
相談窓口・支援機関
LGBTQ+専門・当事者向け相談窓口
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 0120-279-338(24時間対応、無料)。LGBTQ+に関連する悩みを含む、さまざまな困難に対応しています。
- LGBT法連合会 相談窓口: LGBTQ+に関する法律問題・人権問題の一次相談を行っています(詳細はLGBT法連合会公式サイトでご確認ください)。
- 認定NPO法人ReBit・にじいろかぞく 等の地域NPO: 各地のLGBTQ+支援NPOが電話・メール・対面での相談窓口を設けています。
職場での差別・ハラスメントに関する相談機関
- 都道府県労働局 雇用環境・均等室: 職場でのハラスメント(SOGIハラを含む)に関する相談を受け付けています。労働局の調停・指導手続きを利用できる場合があります。
- 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374(平日9:00-21:00、土曜9:00-17:00)。弁護士費用の立替制度の案内など、法的サポートに関する情報提供を行っています。法テラスは情報提供機関であり、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター: 短縮ダイヤル #8891(24時間対応)。性的指向にかかわらず性暴力被害の相談に応じています。
具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。
まとめ——性的指向への理解が社会を変える
性的指向とは、どの性別の人に恋愛的・性的な魅力を感じるかを示す個人の属性であり、異性愛・同性愛・両性愛・パンセクシュアルなど多様なあり方が存在します。2023年のLGBT理解増進法成立により「性的指向」の法的定義が初めて設けられましたが、差別禁止規定は含まれておらず、雇用・教育・住居などの場での法的保護は2026年時点で国レベルでは未整備のままです。
職場でのSOGIハラ対策はパワハラ防止法の指針で一定の前進がみられ、自治体レベルではパートナーシップ制度や条例整備が進んでいます。しかし、居住地域によって受けられる保護に大きな差があり、全国一律の取り組みには至っていません。
国際的には、欧米を中心に性的指向に基づく差別禁止法制が整備されており、国連・ILOも各国に対して保護措置を求めています。今後の日本における法整備の動向、自治体条例の拡充、職場・学校での取り組みの充実が重要な課題です。
性的指向を含む多様な性のあり方を正確に理解し、差別のない職場・地域・社会を実現するために、継続的な学習と実践が求められています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 性的指向とは何ですか?
A. 性的指向とは、どの性別の人に対して恋愛的・性的な魅力を感じるかを示す個人の属性です。2023年成立のLGBT理解増進法第2条第1項では「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう」と定義されています。異性愛(ヘテロセクシュアル)・同性愛(ホモセクシュアル)・両性愛(バイセクシュアル)・パンセクシュアル・アセクシュアルなど多様なあり方があります。
Q. 性的指向と性自認はどう違いますか?
A. 性的指向は「誰に惹かれるか」という恋愛的・性的な方向性を、性自認(ジェンダーアイデンティティ)は「自分がどの性別であるか」という内的な自己認識を指します。二つは互いに独立した概念であり、性的指向が性自認によって決まるわけではありません。
Q. 日本では性的指向に基づく差別は法律で禁止されていますか?
A. 2026年時点で、雇用・住居・教育等の分野での性的指向に基づく差別を明示的に禁止する国レベルの法律は存在しません。LGBT理解増進法(2023年)は理解増進を目的とした法律であり、差別禁止規定は含まれていません。一方、職場のSOGIハラはパワハラ防止法の指針に基づき対応が求められており、一部の自治体条例で禁止規定が設けられています。
Q. 職場で性的指向を理由に差別を受けた場合、どこに相談できますか?
A. 都道府県労働局の雇用環境・均等室への相談が一つの選択肢です。また、法テラス(0570-078374)では弁護士費用の立替制度の案内など法的サポートに関する情報を提供しています。よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)でもLGBTQ+に関連する悩みに対応しています。具体的な法的判断については弁護士等の専門家への相談をご検討ください。
Q. 性的指向は自分の意思で変えられますか?
A. 世界保健機関(WHO)や米国心理学会(APA)をはじめとする主要な医学・心理学団体は、性的指向は本人の意思によって選択・変更できるものではないとしています。また、性的指向を変えようとする「転換療法(コンバージョン・セラピー)」は効果がなく、心理的な害をもたらす可能性があると警告されています。
Q. LGBT理解増進法は性的指向に基づく差別を禁止していますか?
A. 禁止していません。LGBT理解増進法(2023年)は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を深めること」を目的とした法律であり、差別を禁止する規定は含まれていません。第3条の基本理念では「全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」と明記されていますが、具体的な禁止行為や罰則の規定は設けられていません。
