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「定年後も働き続けたい」と希望するシニア女性が増えています。しかし、60歳以降の継続雇用の場面では、女性は男性と比べて低い職位・低い賃金に据え置かれやすいという実態が、内閣府や厚生労働省の複数の調査で繰り返し報告されています。日本社会の少子高齢化が深刻化するなか、70歳までの就業機会確保が努力義務化された現在、定年後のキャリアにおけるジェンダー格差は「高齢者雇用の問題」であるとともに、「男女共同参画の問題」でもあります。定年前に管理職に就きにくかった女性は、定年後の継続雇用でも低処遇に据え置かれ、それが老齢年金の受給額格差として老後生活に影響します。この連鎖を断ち切るためには、継続雇用制度の設計そのものを見直す必要があります。本記事では、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、高年齢者雇用安定法)の改正経緯を整理しながら、60歳以降の就労における男女格差の実態と法的論点、2026年時点での課題を解説します。人事担当者・管理職・キャリア継続を考えるシニア世代の方を主な読者として想定しています。

定年制とは何か|法的根拠と制度の仕組み
定年制の定義と法的根拠
定年制とは、労働者が一定の年齢(定年年齢)に達したことを理由として、雇用関係を終了させる制度です。日本では、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号、最終改正:令和3年)第8条が、定年を定める場合の下限を60歳と規定しています。60歳未満を定年とすることは同条により禁止されており、企業が60歳未満の定年を就業規則に定めても無効となります。
同法第9条は、定年が65歳未満の場合に、事業主に対して次の3つのいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を義務づけています。①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止です。さらに同法第10条の2は、65歳から70歳までの就業機会を確保するための「高年齢者就業確保措置」として、上記に加えて創業支援等措置(業務委託・社会貢献活動への従事)を含む5つの選択肢を、2021年4月施行で努力義務として追加しました。
継続雇用制度の3つの選択肢
高年齢者雇用安定法第9条が事業主に課す高年齢者雇用確保措置は、以下の3つです。第1に、定年の廃止です。定年年齢の規定そのものをなくし、年齢に関係なく雇用を継続します。第2に、定年年齢の引き上げです。従来60歳だった定年を65歳以上に延長します。第3に、継続雇用制度の導入です。定年年齢(多くは60歳)は維持したまま、希望する労働者を60歳以降も雇用し続ける仕組みを設けます。再雇用契約を結ぶ「再雇用制度」と、定年後もそのまま雇用関係が継続する「勤務延長制度」に大別されます。
2026年時点では、継続雇用制度を選択している企業が最も多く、厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」(令和5年集計分)によれば、常時51人以上の労働者を雇用する企業のうち約80%が継続雇用制度を採用しています。定年廃止は約3%、定年延長は約20%にとどまっています。
60歳以降の就労統計の概要
総務省「労働力調査」(2024年平均)によれば、60~64歳の就業率は男性84%前後、女性63%前後と、20ポイント以上の開きがあります。65~69歳では男性61%前後、女性44%前後と、差は縮まるものの依然として大きい状況です。フルタイムと短時間勤務の比率を見ると、60~64歳男性の約7割が週35時間以上勤務しているのに対し、同年代女性は約4割にとどまり、非正規・短時間労働が大半を占めています。こうした就業形態の差が、継続雇用後の賃金格差や老後の年金格差に直結しています。
高年齢者雇用安定法の改正経緯
法律制定から2012年改正まで
高年齢者雇用安定法は1971年(昭和46年)に制定されました(当初の名称は「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」)。1986年改正で60歳定年の努力義務化、1994年改正で60歳定年の義務化(第8条)、2004年改正で65歳までの雇用確保措置の義務化(第9条)と段階的に強化されてきました。
2012年改正では、継続雇用制度の対象者を「希望者全員」とすることが義務づけられました。それまでは労使協定で対象者を選別できる仕組み(勤務評定基準等)が認められていましたが、2013年4月以降に65歳未満で定年を迎える労働者については、希望する者全員を継続雇用の対象としなければならなくなりました。この経過措置は2025年3月末で完全終了し、2025年4月以降は選別基準を設けることは一切認められません。
2016年・2020年改正と70歳就業機会確保措置
2016年改正では、子会社・関連会社だけでなく、一定の基準を満たすグループ外企業(特殊関係事業主)への継続雇用も認められるよう、継続雇用制度の適用範囲が拡大されました。これにより、グループ会社間の転籍・出向を活用した継続雇用が可能になりました。
2020年改正(令和3年4月1日施行)では、65歳から70歳までの就業機会を確保するための努力義務(高年齢者就業確保措置)が新設されました(第10条の2)。措置の選択肢は、①70歳まで定年延長、②70歳以上まで定年廃止、③70歳までの継続雇用制度導入(特殊関係事業主含む)、④70歳まで継続的に業務委託契約を締結できる制度導入、⑤70歳まで継続的に従事できる社会貢献活動の実施に係る制度導入の5つです。創業支援等措置(④⑤)を選択する場合は、過半数労働組合等との書面による同意が必要です。
2021年4月施行・現行法の要点
現行の高年齢者雇用安定法の主要ポイントは3つです。第1に、65歳未満定年企業への65歳までの雇用確保措置の義務(第9条)です。第2に、65歳以上70歳未満定年企業等への70歳までの就業機会確保の努力義務(第10条の2)です。第3に、高年齢者の希望・能力に応じた職務・勤務形態の提供への努力義務(第11条)です。義務違反への直接罰則は設けられていませんが、厚生労働大臣が指導・勧告を行い、勧告に従わない場合は企業名を公表する仕組みがあります(第10条第3項・第4項)。
定年・継続雇用におけるジェンダー格差の実態
管理職経験の差と継続雇用後の職位
継続雇用後の待遇格差を生む最大の構造的要因の一つは、定年到達時点での職位・役職の男女差です。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、課長相当職以上の管理職に占める女性割合は約12%にとどまっており、男性管理職が圧倒的多数を占めています。定年前に管理職を経験しているかどうかは、継続雇用後の仕事内容・賃金水準に直接影響します。管理職経験のある男性は、定年後も専門職・顧問・管理的な役割で継続雇用されるケースが多い一方、非管理職のまま定年を迎えた女性は、一般事務・補助的業務への職種変更を余儀なくされることが少なくありません。
この構造は、単に「定年後の待遇差」ではなく、若年期から続く管理職登用・昇進機会のジェンダー格差が60歳以降に帰結したものです。出産・育児期に管理職登用が滞り、その後も回復しにくいという「パイプラインの断絶」が高齢期の格差に直結しているとの指摘が、内閣府「男女共同参画白書」(令和6年版)でも繰り返されています。継続雇用後の格差是正は、若年期からのキャリア支援と一体で取り組まなければ根本的な解決には至らないことを示しています。
継続雇用後の賃金格差
連合「高年齢者の雇用・就労に関する調査」(2024年)によれば、定年後に継続雇用された労働者の賃金は定年前の平均50~70%程度に低下するとされています。この賃金低下は男女ともに生じますが、定年前の賃金水準自体に男女差があるため、絶対額での格差はさらに拡大します。
例えば、定年前の月収が男性30万円・女性22万円のケースで、ともに継続雇用後に60%水準となると、男性18万円・女性13.2万円と月4.8万円の差が生じます。年収換算で57.6万円の差となり、継続雇用期間の5年間で280万円以上の累積差になります。こうした賃金格差は、雇用保険の基本手当(失業給付)の算定基礎である賃金日額にも影響し、離職後のセーフティネットにおいても不平等が連鎖します。
また、継続雇用では有期雇用契約(1年更新等)が一般的であり、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法、平成5年法律第76号)の均衡待遇・均等待遇規定が適用されます。同法第8条は基本給・賞与等の各待遇について正規社員との不合理な差異を禁じており、第9条は職務内容・配置変更の範囲が同一の場合の差別的取り扱いを禁じています。継続雇用社員への適用においても、業務の範囲と責任が正規社員と実質的に変わらない場合は不合理な待遇差が問われます。
女性の就労継続率と離職パターン
60歳以降の女性は、「定年退職後そのまま引退」「パート・アルバイトに切り替え」「自営・フリーランスに移行」という3パターンで就業形態を変えるケースが目立ちます。厚生労働省「雇用動向調査」(2024年)では、60~64歳女性の離職理由として「定年・契約期間満了」が最も多く、次いで「家族の介護・看護のため」が男性に比べて高い割合を占めています。
つまり、女性は定年のタイミングに重なる形で高齢の親の介護負担を引き受け、就労継続を断念するというパターンが構造的に存在します。育児と介護を同時に担う「ダブルケア(double care)」を経験したあとに、再び単身でシニア期の介護を担うという二重の負担が女性に集中しやすい状況があります。こうした就労中断・離職は厚生年金の加入期間の短縮に直結し、老齢年金の受給額格差をさらに拡大させます。厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)によれば、厚生年金(報酬比例部分)の男女別平均月額は男性約16万6千円、女性約10万9千円と、約5万7千円の差があります。定年・継続雇用段階でのキャリア断絶が、引退後の経済格差として固定されていく構図です。
現代的論点|2026年時点の到達点
2007年以降の主な法改正・新法
定年・継続雇用制度とジェンダー格差に関わる主な法改正は以下のとおりです。
- 2012年:高年齢者雇用安定法改正。継続雇用制度の対象を「希望者全員」に拡大(第9条)。選別基準を設ける経過措置は2025年3月末で完全終了。
- 2013年:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(均等法)改正。間接差別(第7条)の省令指定類型を整備し、転勤要件・コース別雇用管理等が指定類型として明確化。
- 2016年:高年齢者雇用安定法改正。継続雇用先をグループ外企業へ拡大(第9条第2項)。
- 2018年:働き方改革関連法成立。同一労働同一賃金ルールを定めたパートタイム・有期雇用労働法が大企業2020年・中小企業2021年に施行。継続雇用社員への適用と女性処遇是正が課題に。
- 2020年(令和2年):高年齢者雇用安定法改正。70歳までの就業機会確保が努力義務化(第10条の2)。2021年4月施行。
- 2020年:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)改正。一般事業主行動計画の策定・公表義務対象が101人以上に拡大(2022年4月施行)。情報公表項目に「男女の平均継続勤務年数の差異」が追加。
- 2022年:育児・介護休業法改正。出生時育児休業(産後パパ育休)の創設・男性育休取得率の公表義務化(1000人超企業)。シニア期の就労と育児・介護の接続は今後の政策課題。
- 2025年:育児・介護休業法改正(4月・10月の二段階施行)。子の看護等休暇の拡充・時短勤務・テレワーク等の柔軟な働き方確保措置の義務化。シニア女性の介護と就労両立支援にも間接的な影響。
議論の現在地
2026年現在、定年・継続雇用とジェンダー格差を巡る議論は主に3つの軸で展開されています。
第1の軸:定年制の廃止論と存続論。年齢に関わらない能力主義的雇用を推進する立場は、定年制そのものをジェンダー中立的に廃止または大幅延長すべきと主張します。一方、定年制は「若者の雇用機会を守る」機能があると評価する意見もあり、特に一部の労働組合や中小企業からの慎重論が存在します。政府は「70歳就業機会確保措置の義務化」について審議会で繰り返し俎上に載せており、今後の法改正動向が注目されています。
第2の軸:同一労働同一賃金の実効性。最高裁は2020年の長澤運輸事件判決・大阪医科薬科大学事件判決・メトロコマース事件判決等で、継続雇用社員と正規社員の待遇差の合理性判断基準を示しました。しかし、「職務内容・責任の実質的同一性」の判断が個別事案ごとに異なり、特に女性継続雇用社員の処遇是正事例は少ない状況にあります。均等法・均等待遇ルールとの組み合わせで是正を求める動きが、2025年以降に労働局への申告事例として増加しています。
第3の軸:介護と就労の両立支援。継続雇用世代(60~70代)は高齢の親の介護を担うピーク世代でもあります。介護を理由とした就労継続断念は女性に偏っており、介護休業給付金の拡充(2025年改正育介法)や柔軟勤務措置の義務化がシニア女性の就労継続にどう寄与するか、実証データの蓄積が求められています。
残された課題
いくつかの構造的課題が残されています。
第1に、継続雇用後の評価・登用基準のジェンダー中立性です。継続雇用の仕事内容・賃金を決定する際、定年前の職位を出発点とする企業が多く、管理職比率の低い女性が低い処遇に据え置かれる「スタート地点の格差」が温存されています。
第2に、中小企業での取り組み格差です。女性活躍推進法の一般事業主行動計画の策定・公表義務が101人以上に拡大したとはいえ、100人以下の中小企業はなお努力義務にとどまっています。シニア女性の多くは中小企業に就労しており、政策の死角となっています。
第3に、統計の細分化不足です。継続雇用者の賃金・処遇を性別・職位別・業種別に把握した公的統計は限られており、EBPM(証拠に基づく政策立案)に必要なデータが不足しています。この課題は内閣府男女共同参画白書(令和6年版)でも指摘されており、統計整備の強化が求められています。
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同一労働同一賃金と継続雇用制度|待遇差の適法・違法チェックポイント
パートタイム・有期雇用労働法の継続雇用社員への適用
継続雇用後の契約は多くの場合「有期雇用契約」(1年更新等)です。したがって、パートタイム・有期雇用労働法の均等待遇・均衡待遇規定が適用されます。同法第8条(均衡待遇)は、基本給・賞与・各種手当について、正規社員と有期雇用社員の間に不合理な差異を設けることを禁じています。第9条(均等待遇)は、職務内容・配置変更の範囲が正規社員と同一の場合の差別的取り扱いを禁じています。
最高裁は2020年の一連の判決で「定年後の継続雇用という事情は、それ自体として不合理な差異を正当化する絶対的な理由にはならない」という方向性を示しており、個別の待遇ごとに不合理性を検討することを求めています。
主要な待遇項目別の合理性チェックポイント
| 待遇項目 | 正規社員(定年前) | 継続雇用社員(有期) | 合理性の判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 基本給 | 年功・能力給 | 大幅減が多い(定年前の50~70%) | 職務内容・責任の変化の有無。変化がなければ大幅減は不合理とされる可能性があります |
| 賞与 | 業績連動で支給 | 不支給・大幅減が多い | 賞与が「正社員の地位に対する対価」として設計されているかが判断軸となります |
| 各種手当(通勤・住宅等) | 支給あり | 不支給・減額が多い | 手当の趣旨・目的が継続雇用社員にも妥当するかを待遇ごとに個別判断 |
| 退職金 | 就業規則に基づき支給 | 不支給が多い | 退職金の性格(功労報償・生活保障等)によって判断が分かれます |
| 教育訓練・研修 | 定期的に提供 | 対象外が多い | 業務上必要な訓練は有期雇用社員にも提供義務あり(第11条) |
| 福利厚生施設の利用 | 利用可 | 利用不可の場合あり | 生活保障に関わる施設は不合理な差異とされる可能性があります |
ジェンダー中立的な継続雇用制度の設計指針
厚生労働省が公表する「同一労働同一賃金ガイドライン」(平成30年厚生労働省告示第430号)は、基本給・手当・賞与について「通常の労働者との相違の内容および程度に応じた範囲内で決定」することを原則としています。ジェンダー中立的な制度設計の観点からは、次の点が重要です。①仕事内容・責任に基づく賃金設定を職種・性別に関わらず適用する、②継続雇用の仕事内容を定年前と同等に維持する場合は賃金水準も合理的な範囲に保つ、③研修・キャリア形成機会を継続雇用社員にも開放する。特に、女性継続雇用社員が「補助的業務に限定される」実態があれば、それ自体がジェンダー格差の温存につながり、女性活躍推進の観点からも見直しが求められます。
企業が取るべき対応|ジェンダー平等な継続雇用制度の設計
制度設計の3原則
継続雇用制度をジェンダー中立に設計するための基本原則は3つです。
第1の原則は仕事基準の賃金設計です。「定年前の賃金の○%」という一律割合方式ではなく、継続雇用後の業務内容・責任・成果に応じた賃金体系を別途設計します。これにより、定年前の賃金格差(管理職経験の有無に由来するもの)を継続雇用後に引き継ぐ構造を断ち切ることが可能になります。職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成し、職位・役割ごとに賃金帯を定める方式が有効です。
第2の原則は全員希望制度の徹底運用です。高年齢者雇用安定法第9条が求める「希望者全員」の継続雇用を形式的ではなく実質的に保障するため、更新基準・対象外となる場合の理由を就業規則に明文化し、性別・育児・介護の有無で不利に扱わないことを明示します。継続雇用を拒否した場合の理由を書面で示す運用を採用することで、透明性と公平性を担保できます。
第3の原則はキャリア継続支援の仕組みです。希望するシニア労働者(男女問わず)に対し、資格取得支援・スキルアップ研修・専門職への登用機会を、継続雇用後も提供します。女性活躍推進法第8条に基づく一般事業主行動計画には、シニア女性の活躍に関する数値目標を設定することが推奨されます。
女性シニア人材の活躍を促す施策例
企業の実践事例として、次のような取り組みが報告されています。
(1)シニア専門職コースの設置:継続雇用社員のうち高い専門性を持つ者を「シニアスペシャリスト」「シニアアドバイザー」等の職位に任用し、マネジメント経験の有無に関わらず職務と賃金を設定する仕組みです。専門知識を持つ女性が活躍しやすい枠組みとして注目されています。
(2)フレックス・テレワークの恒常的提供:2025年施行の育児・介護休業法改正で義務化された柔軟勤務確保措置(フレックスタイム・テレワーク・時短勤務等)は、育児世代だけでなくシニア世代の通院・介護対応にも活用できます。就労継続の障壁を下げる効果が期待されます。
(3)ジョブ型人事制度との組み合わせ:年功に依存しない職務記述書に基づく職務評価が普及すれば、定年前のキャリアパスに関わらず公平な処遇を実現しやすくなります。ジョブ型雇用(job-based employment)への移行を進める企業では、継続雇用社員の待遇を同一職務の正規社員水準に近づけやすくなる効果が確認されています。
一方で、こうした取り組みを実施している企業はまだ少数にとどまります。内閣府「男女共同参画白書」(令和6年版)は「シニア女性の就労支援策を整備している企業は全体の3割未満」と指摘しており、制度と実態のギャップが今後の政策課題として残っています。
相談窓口・参考リンク
定年・継続雇用を巡る職場での不当な取り扱いや、ジェンダーに関わる相談は、以下の公的窓口をご利用ください。
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):都道府県労働局・各ハローワーク内に設置。労働問題全般について電話・来所で無料相談できます。詳細は厚生労働省ウェブサイトで確認できます。
- 男女雇用機会均等相談窓口(都道府県労働局雇用環境・均等部(室)):均等法・育介法に関する相談を受け付けます。企業への指導・勧告も行います。最寄りの窓口一覧から確認できます。
- 法テラス(日本司法支援センター):電話 0120-078374(無料)。弁護士費用の立替制度あり。待遇差や雇用問題の法律相談を希望する場合、専門家につないでもらえます。
具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。
まとめ
定年・継続雇用制度とジェンダー格差の問題は、若年期から続く管理職登用格差・賃金格差が、60歳以降の就労条件の差として帰結する構造的な課題です。高年齢者雇用安定法が70歳までの就業機会確保を努力義務化し、企業に長期就労支援の整備を促す一方で、女性シニア労働者を対象とした具体的施策はまだ少数にとどまっています。同一労働同一賃金の観点からは、継続雇用後の賃金決定においても不合理な格差は是正されなければならず、特に女性に多い「定年前の職位が低い→継続雇用後の処遇も低い」という連鎖を断ち切る制度設計が求められます。2026年以降も、70歳就業機会確保措置の義務化論議、介護離職対策の強化、シニア女性の就労支援施策が引き続き重要な政策テーマとなります。本記事の内容を、人事制度の見直しや個人のキャリア検討の参考としてください。
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よくある質問(FAQ)
- Q1. 継続雇用の対象者になれない場合はありますか?
- 高年齢者雇用安定法第9条の2012年改正以降、65歳未満の定年を設ける事業主は、希望する労働者全員を継続雇用する義務があります。選別基準を設ける経過措置は2025年3月末で完全終了しており、現在は就業規則の解雇事由・退職事由に相当する客観的合理的な理由がある場合を除き、希望者全員が対象となります。具体的な事案については、都道府県労働局または弁護士へご相談ください。
- Q2. 定年後に再雇用された際、賃金が大幅に下がりました。違法ではないですか?
- 定年後の賃金低下が業務内容・責任の変化に比べて大幅すぎる場合、パートタイム・有期雇用労働法第8条の「不合理な待遇差」として違法とされる可能性があります。最高裁は個々の待遇ごとに不合理性を判断するとしており、一律に「大幅減は違法」とも「合法」とも断言できません。具体的な状況については、労働局の相談窓口や弁護士にご相談ください。
- Q3. 女性が継続雇用後に管理職から一般職に職種変更されることは問題ですか?
- 継続雇用に際して職位・担当業務を変更すること自体は直ちに違法ではありませんが、「女性だから」「育児・介護をしているから」という理由による不利益な職種変更は、男女雇用機会均等法第6条の違反となる可能性があります。男性との間で合理的な差異なく扱いが異なる場合も同様です。都道府県労働局の均等相談窓口への申告が可能です。
- Q4. 70歳まで働きたいと申し出ましたが、企業に断られました。違法ですか?
- 2021年4月施行の高年齢者雇用安定法第10条の2による70歳までの就業機会確保措置は「努力義務」であり、違反しても直接的な罰則はありません。ただし、厚生労働大臣が指導・勧告でき、勧告に従わない場合は企業名が公表されます。2026年時点では義務化の議論が審議会で進んでおり、今後の法改正動向に注目が必要です。
- Q5. 介護を理由に継続雇用を辞退したあと、再就職を目指せますか?
- ハローワークや自治体の就労支援機関を通じた再就職支援が利用できます。雇用保険(基本手当)の受給資格要件(直近2年間に12ヶ月以上の被保険者期間等)を満たしていれば、求職活動中の給付を受けながら再就職を目指すことができます。また、法テラスや都道府県労働局では就労に関する法律相談も受け付けています。
