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介護休業制度とは|対象家族・取得要件・介護休業給付金の仕組みと男女共同参画【2026年版】

介護が必要な家族を抱えながら仕事を続けるとき、どのような制度が利用できるのでしょうか。育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、仕事と介護の両立を支える複数の仕組みを定めています。中心となるのが「介護休業」です。要介護状態の家族を介護するため、最長93日を3回まで分割して取得することができます。2025年10月には同法の改正が施行され、介護を担う労働者への支援がさらに拡充されました。

にもかかわらず、日本では介護を担うのは今も女性に偏りがちです。職場での「介護は女性がするもの」という固定的性別役割分担意識(ジェンダー規範とも呼ばれます)が、制度の利用を阻んでいる現実もあります。男性が介護休業を申し出にくい職場風土も依然として残っています。

この記事では、介護休業制度の法的仕組み・取得要件・申請の流れ・介護休業給付金の概要を整理します。介護休暇や勤務時間短縮等の措置との違い、そして介護とジェンダー格差をめぐる現代的課題にも触れます。介護と仕事の両立を検討している方、人事担当者として制度を整備したい方、介護政策とジェンダー問題に関心のある方のお役に立てれば幸いです。

介護休業制度とは|対象家族・取得要件・介護休業給付金の仕組みと男女共同参画【2026年版】 - 解説

目次

介護休業制度の概要と法的根拠

介護休業とは何か

育児・介護休業法は、「育児」と「介護」という2つの家族ケアニーズに対応するため、同一の法律の中に複数の制度を設けています。介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために取得できる休業制度です。原則として対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得することができます。

育児休業と並んで「家族ケアのための権利」として制度化されており、育児・介護休業法はその取得を事業主が拒否してはならないことを定めています。申出を理由とした解雇・降格・賃金の引き下げなどの不利益取扱いも禁止されています。条番号の詳細については、最新の条文を e-Gov 法令検索でご確認ください。

介護休業と「介護離職」の関係

日本では介護を理由に離職する「介護離職」が社会問題となっています。無償ケア労働(アンペイドワーク(unpaid care work)とも呼ばれる、賃金が支払われない家事・育児・介護など)の担い手が女性に偏りやすいことと、介護離職の問題は密接に結びついています。政府は「介護離職ゼロ」を政策目標の一つに掲げており、介護休業はその実現のための中心的な制度です。

ただし、93日という期間はあくまで「緊急対応・療養環境の整備期間」として位置づけられており、長期介護の全期間を休業だけでカバーすることは想定されていません。介護休業後は後述の勤務時間短縮等の措置と組み合わせて就労を継続することが前提となっています。

介護休業の取得要件と対象家族の範囲

対象となる「家族」の定義

介護休業の対象となる「家族」(育児・介護休業法上は「対象家族」)は、配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫とされています。実父母だけでなく義父母や祖父母も含まれる点が特徴です。対象家族の範囲に関する最新の条文は、e-Gov 法令検索または厚生労働省の公式ページでご確認ください。

「要介護状態」の判断基準

要介護状態(じゅうかいごじょうたい)とは、けが・疾病・身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態をいいます。介護保険の要介護認定とは必ずしも連動しておらず、介護保険の認定を受けていない段階でも、実態として要件を満たせば対象になり得ます。判断は事業主との確認を通じて行われ、医師の診断書の提出が求められることがあります。

取得できる期間と分割回数

対象家族1人につき通算93日(約3か月)の休業が認められています。この93日は最大3回まで分割して取得することが可能です。たとえば第1回30日・第2回30日・第3回33日、合計93日という形で取得できます。2016年の法改正以前は分割取得が認められておらず、柔軟な取得方式は同改正によって実現しました。有期雇用労働者も要件を満たせば申し出ることができます。詳細な要件については、厚生労働省の公式ページを参照してください。

介護休業の申請手続きと事業主の義務

申出のタイミングと方法

介護休業を取得するためには、原則として休業開始予定日の2週間前までに書面等で事業主に申し出ることが必要です。申出には、休業を開始しようとする日・終了しようとする日・対象家族の氏名と続柄・要介護状態である旨などを明示します。申出の様式は厚生労働省がひな形を公表しており、ハローワークでも入手できます。

事業主の義務と不利益取扱いの禁止

育児・介護休業法は、介護休業の申出や取得を理由とした解雇・降格・賃金の引き下げなどの不利益取扱いを禁止しています。また、職場における介護に関するハラスメント(「ケアハラ」とも呼ばれることがあります)の防止措置を事業主が講じる義務が定められています。

「介護休業を取ると昇進に影響する」という示唆や、「介護は家族の女性に任せれば済む」といった発言も、こうした防止義務の趣旨に反するものとなり得ます。具体的な措置義務の内容については、e-Gov 法令検索で最新の条文をご確認ください。

申出を拒否できる場合の例外

原則として事業主は介護休業の申出を拒むことができませんが、労使協定が締結されている場合には、勤続1年未満の労働者や一定の短期雇用者などを適用除外とすることが認められています。この例外の範囲は法令で限定されており、事業主が独自に拡大することはできません。

介護休業給付金の仕組み

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介護休業制度の法律・申請実務を体系的に把握したい方には、改訂版 育児・介護休業のすべてが参考になります。育児・介護休業法の条文解説・Q&A・申請書類のひな形まで網羅した実務書で、2025年改正に対応した内容となっています。

給付金の概要と受給要件

介護休業を取得した場合、一定の要件を満たす雇用保険(こようほけん)の被保険者には「介護休業給付金」が支給されます。雇用保険法に基づく給付であり、厚生労働省・ハローワークが所管しています。

主な受給要件は、雇用保険の被保険者であること、休業を開始した日前の一定期間に賃金支払い実績があること、介護休業期間中の就業日数が一定の水準以下であることなどです。具体的な支給率・計算方法・上限額などの数値については、毎年改正が行われる場合があるため、厚生労働省のウェブサイトまたはハローワークで最新の情報をご確認ください。

申請窓口と手続きの流れ

介護休業給付金の申請は、事業主を経由してハローワーク(公共職業安定所)に行うことが一般的です。申請に必要な書類(介護休業給付金支給申請書・賃金台帳・出勤簿等)は、ハローワークまたは厚生労働省のウェブサイトで確認できます。申請期限は、介護休業終了日の翌日から原則として2か月以内です。事業主が手続きを代行するケースが多いため、休業前に会社の人事担当者に相談しておくとスムーズです。

介護休業・介護休暇・勤務時間短縮等の措置を比較する

3つの制度の位置づけ

育児・介護休業法は、介護に関して「介護休業」のほかにも「介護休暇」と「勤務時間短縮等の措置」を設けています。これら3つは目的・期間・取得単位が異なり、状況に応じて使い分けることで仕事と長期介護の両立が図られます。

制度名 主な目的・場面 取得期間・単位 給付金
介護休業 要介護状態になった直後の緊急対応や療養環境の整備 対象家族1人につき通算93日・最大3回分割可 介護休業給付金(雇用保険)あり
介護休暇 通院付き添い・役所手続きなど短期的な日常ニーズへの対応 年間5日(対象家族2人以上は10日)・1日または半日単位 なし(無給の場合が多い)
勤務時間短縮等の措置 継続的な介護と就労を長期的に両立するための職場環境調整 連続3年以上・短時間勤務・フレックス・在宅勤務等の選択肢を事業主が整備 なし

介護休暇の仕組みと活用場面

介護休暇は、対象家族の通院付き添いや処方薬の受け取り・役所での手続きなど、突発的な短時間のニーズに対応する制度です。年間5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を取得でき、1日または半日(0.5日)単位での取得が可能です。無給での取得が多いですが、就業規則によっては有給扱いとなる企業もあります。介護休業とは異なり給付金の支給はありませんが、短い時間の取得で済む場面では介護休暇が適しています。

勤務時間短縮等の措置と長期介護

介護休業の93日が終わった後、介護が続く場合には「勤務時間短縮等の措置」が活用されます。育児・介護休業法は、事業主に対して、要介護状態の対象家族を介護する労働者が希望するとき、連続3年以上の期間にわたって短時間勤務・フレックスタイム制・在宅勤務・介護サービス費用の援助などの選択的措置を講じることを義務付けています。具体的にどの措置を選択するかは、事業主と労働者が協議して決めます。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

育児・介護休業法は、介護関連の制度についても段階的に改正を重ねてきました。

  • 2012年改正施行: 介護休業の対象となる家族の範囲が拡大され、勤務時間短縮等の措置の取得期間が明確化されました。
  • 2017年1月施行(2016年改正): 介護休業の分割取得(最大3回)が可能になり、介護休暇の半日単位取得が認められました。介護と仕事の両立支援策の実効性が大きく高まりました。
  • 2025年10月施行(令和6年法律第42号): 育児・介護休業法の改正が施行され、介護との両立に関する支援が拡充されました。事業主による従業員への制度周知・意向確認の仕組みが強化されています。詳細な改正内容は e-Gov 法令検索または厚生労働省の公式ページをご参照ください。

議論の現在地

介護の担い手のジェンダー格差

日本の家庭内介護では、介護を担うのは依然として女性が多い傾向があります。総務省「就業構造基本調査」などの調査では、家族介護者の多くが女性であり、介護離職者においても女性の割合が高いことが示されています(最新の数値は内閣府男女共同参画局の公開資料でご確認ください)。

この背景には、「介護は女性が担うもの」という固定的性別役割分担意識、取得した場合の職場への影響を気にする遠慮、そして介護休業を取得しにくい職場風土があると指摘されています。男性が介護休業を申し出ると「なぜ自分が取るのか」と問われるような職場環境が残っているケースも報告されています。

男性の介護参加をめぐる議論

育児分野では男性の育児休業取得率の向上が政策的に推進され、民間企業における男性の育児休業取得率は50.9%(令和7年度雇用均等基本調査・2026-07-31公表)に達しました。介護においても同様に、男性が積極的に介護を担える制度・職場環境の整備が課題となっています。第6次男女共同参画基本計画(令和8年3月13日閣議決定)でも、仕事と家庭の両立を支える環境整備が重点施策に位置づけられています。

費用負担と給付水準

介護休業給付金の支給率や支給上限については、育児休業給付金と比較したときに「介護の方が手薄ではないか」という意見があります。介護期間は育児より長期化するケースも多く、給付水準や給付期間の拡充を求める声が研究者・当事者団体から上がっています。

残された課題

93日という上限の実態との乖離

介護休業の93日という上限は、がんや認知症など数年にわたる介護が必要な場合に「短すぎる」という指摘があります。93日を使い切った後も勤務形態の調整だけで対応しなければならず、介護離職の引き金になることがあります。取得上限の見直しを求める議論は続いており、制度の見直し動向が注目されます。

非正規労働者・フリーランスの保護の不十分さ

有期雇用労働者も一定要件を満たせば介護休業が取得できますが、申請のタイミングや契約更新との関係で取得をためらうケースが報告されています。また、業務委託(フリーランス)として働く方は育児・介護休業法の適用外となるため、経済的保障がなく介護と就労の両立がより困難です。社会全体として、雇用形態によらない保護の在り方が問われています。

介護ハラスメントへの対応

職場での介護に関するハラスメント(ケアハラ)は、防止義務の規定があっても被害者が証明しにくいケースが多いとされています。「介護で休まれると困る」「老親の世話は家族の女性に任せればいい」といった発言が職場内で繰り返されても、被害者が救済を求めるための道のりは容易ではありません。ハラスメント防止措置の実効性を高めるための取り組みが求められています。

相談・支援窓口

介護や仕事の両立、職場での不利益取扱いについて不安や疑問がある場合は、以下の公的相談窓口をご活用ください。

  • 地域包括支援センター: 市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。要介護認定の申請方法・介護サービスの紹介から、仕事と介護の両立に関する情報提供まで対応しています。最寄りのセンターは市区町村の窓口またはウェブサイトで確認できます。
  • ハローワーク(公共職業安定所): 介護休業給付金の申請窓口です。介護を理由とした離職を防ぐための就業相談も行っています。
  • 法テラス(日本司法支援センター): 電話 0570-078374。介護に関連する労務問題(職場でのハラスメント・不利益取扱い等)について、弁護士・社会保険労務士への相談先を案内しています。経済的な理由で弁護士費用が払えない方向けの審査制度もあります。

具体的な事案については、弁護士・社会保険労務士など専門家への相談をご検討ください。

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仕事と家族ケアをめぐる社会構造に関心のある方には、仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)が参考になります。育児・介護の両立を阻む日本の労働構造を国際比較の視点から分析した書籍です。

まとめ

介護休業制度は、育児・介護休業法に基づき、要介護状態の家族を持つ労働者が最長93日(最大3回分割)を取得できる権利です。取得を理由とした不利益取扱いは禁じられており、雇用保険の被保険者には介護休業給付金が支給されます。介護休暇(年5日・短期)や勤務時間短縮等の措置(連続3年以上)と組み合わせることで、仕事と長期介護の両立が可能になります。

一方で、介護を担うのが依然として女性に偏りがちであること、93日という上限が長期介護の実態と合わないケースがあること、非正規・フリーランスへの保護が不十分であることなど、課題は残ります。2025年10月施行の改正で制度が拡充された部分もありますが、職場文化の変容と男性の介護参加が今後の鍵になります。

具体的な申請方法・給付金額・最新の法令内容については、ハローワークや厚生労働省の公式サイト、e-Gov 法令検索をご活用ください。

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よくある質問

介護休業と介護休暇の違いは何ですか?
介護休業は要介護状態の家族を介護するために最長93日(最大3回分割)を取得できる長期の休業制度で、雇用保険から給付金が支給される場合があります。介護休暇は通院付き添いや役所の手続きなど日常的な短時間のニーズに対応するために年間5日(対象家族2人以上は10日)を取得できる制度で、一般的に無給です。状況に応じて使い分けることが大切です。
介護休業は3回に分けて取得できますか?
はい、対象家族1人につき通算93日を最大3回まで分割して取得することができます。これは2016年の育児・介護休業法改正(2017年1月施行)によって認められた仕組みです。たとえば第1回目に30日・第2回目に30日・第3回目に33日と分けて取得することが可能です。
雇用主が介護休業の申出を断ることはできますか?
原則としてできません。育児・介護休業法は、要件を満たす労働者からの介護休業の申出を事業主が拒むことを禁止しています。労使協定が締結されている場合には勤続1年未満の労働者などを適用除外とすることが認められていますが、事業主が独自の基準で申出を拒否することはできません。申出を理由とした解雇・降格なども禁止されています。
介護休業給付金の申請はどこで行いますか?
介護休業給付金の申請は、事業主を経由してハローワーク(公共職業安定所)に行います。必要な書類(介護休業給付金支給申請書・賃金台帳・出勤簿等)はハローワークまたは厚生労働省のウェブサイトで確認できます。休業前に会社の人事担当者に申請の流れを確認しておくとスムーズです。具体的な支給率・計算方法は厚生労働省の最新資料でご確認ください。
介護休業を93日使い切った後、仕事はどうなりますか?
介護休業の93日を使い切った後も、育児・介護休業法は事業主に対して「勤務時間短縮等の措置」を講じる義務を課しています。短時間勤務・フレックスタイム制・在宅勤務・介護サービス費用の援助などの選択肢の中から、事業主と労働者が協議して活用できる措置を決めます。これらを組み合わせながら就労を継続することが想定されています。

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