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扶養義務とは|民法が定める家族の支え合いとジェンダー格差【2026年版】

「高齢の親の介護費用は子どもが負担しなければならないのか」「離婚後も元配偶者へ生活費を払い続ける義務はあるのか」「子どもへの養育費の支払いが止まったとき、法的に取り戻す方法はあるのか」──こうした問いに共通して関わる法的概念が、扶養義務(ふようぎむ)です。

扶養義務とは、経済的に自立することが困難な家族・親族の生活を支えることを法律上義務づけたものです。日本の民法(明治29年法律第89号)は、配偶者間(第752条)や直系血族・兄弟姉妹間(第877条以下)に扶養義務を定めており、当事者間の合意だけでなく、家庭裁判所による調停・審判を通じた強制的な実現も可能です。

一方で、「誰が誰を支えるのか」という問いは、単純な法律論にとどまりません。男女の収入格差や役割分担の現実、「男性が家族を養うべき」というジェンダー規範(社会的・文化的に形成された性役割の期待)が、扶養義務の実態的な分担に深く影響しています。また、同性カップルが現行法の扶養義務の保護から除外されている点も、多様な家族形態という観点から看過できない課題です。

この記事では、民法の条文を軸に扶養義務の定義・範囲・水準・手続きを体系的に解説し、2026年時点の最新の法改正と議論の現在地を整理します。高齢の親の介護費用をめぐる家族間の調整、離婚に伴う生活支援、ジェンダーと扶養負担の交差点に関心をお持ちの方に役立つ内容をまとめました。

扶養義務とは|民法が定める家族の支え合いとジェンダー格差【2026年版】 - 解説

目次

扶養義務とは何か──民法が定める法的根拠

扶養義務の定義と条文上の位置づけ

扶養義務とは、民法上、一定の親族関係にある者が、自分の生活を維持しながら経済的に困窮している他の親族を援助する義務をいいます。「扶養」の字義は食を供し養い育てることを指し、子の養育から高齢者の生活援助まで幅広い場面を含みます。

民法における扶養義務の規定は大きく2つの局面に分かれています。第1は民法(最終改正:令和8年法律第45号・2026年6月24日施行)第752条が定める「夫婦の協力扶助義務」、第2は同法第877条以下が定める「親族間の扶養義務」です。これらは義務を負う当事者の範囲が異なり、求められる扶養の水準(どの程度の生活を保障するか)にも質的な違いがあります。

なお、扶養義務の履行を怠っても即座に刑事罰が課されるわけではありませんが、家庭裁判所の審判や調停調書が成立した後に義務を履行しない場合は、強制執行の申立てや10万円以下の過料の制裁(家事事件手続法第290条)の対象となります。

生活保持義務と生活扶助義務──2種類の扶養水準

扶養義務には、求められる保障水準が異なる2つの類型があります。この区別は、実際に家庭裁判所が扶養料の金額を定める際にも重要な判断基準となります。

第1の類型は生活保持義務(せいかつほじぎむ)です。自分と同水準の生活を相手に保障する強度の高い義務であり、「最後の一片のパンを分け合う義務」とも表現されます。配偶者間(民法第752条)および未成年の子と親のあいだに認められる義務で、義務者自身の生活水準と同等の生活を相手に保障することが求められます。

第2の類型は生活扶助義務(せいかつふじょぎむ)です。自分の生活に余裕がある範囲で援助する義務であり、「余力ある範囲での援助義務」とも呼ばれます。直系血族・兄弟姉妹間(民法第877条第1項)および家庭裁判所が特別に定めた3親等内親族間で生じる義務です。義務者自身の最低限の生活を確保したうえで、残余の余力を分け与えることが求められます。

この違いにより、夫婦間・親子間の生活保持義務が問題となる局面では、審判においても相対的に高い金額が認められる傾向があります。

扶養義務者の範囲──誰が誰に義務を負うのか

配偶者間の扶養義務(民法第752条)

夫婦は婚姻中、互いに協力し扶助する義務を負います(民法第752条)。この義務は婚姻の本質的効果のひとつとされており、婚姻費用(ふうふの生活費全般)の分担請求(同法第760条)の根拠にもなっています。

婚姻関係が継続している限り、別居中であっても扶養義務は消滅しません。配偶者が別居を開始した場合でも、残された側は生活費(婚姻費用)の分担を家庭裁判所に申し立てることができます。調停・審判を通じて定められた婚姻費用は、強制執行の対象にもなります。

なお、離婚が成立すると婚姻関係が解消されるため、民法第752条に基づく扶養義務は原則として消滅します。離婚後の生活支援については、財産分与の枠組み(民法第768条)において「扶養的財産分与」として調整されることがあります。

直系血族・兄弟姉妹間の扶養義務(民法第877条第1項)

民法第877条第1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。直系血族とは、祖父母→親→子→孫のように直線で結ばれる世代関係のことです。この規定に基づき、成人した子は経済的に困窮する親を扶養する義務を負い、親は未成年の子だけでなく成年後も自立できない子を扶養する義務を負います。

扶養義務者が複数いる場合(例:高齢の親に成人した子が3人いる場合)、誰がどの割合で義務を負うかを当事者間で協議できます(民法第878条)。協議が調わない場合、家庭裁判所が各自の収入・生活状況等を考慮して義務の順位や分担割合を定めます。

高齢化が進む現代では、この規定に基づく「老親の扶養義務の分担」が家族間トラブルの一大テーマとなっています。統計的には、親と同居する子(女性が多い傾向)が無償の介護・生活援助の大半を担い、遠方に住む兄弟が費用を出さないといった不均等分担が問題となるケースも少なくありません。

3親等内親族への特別扶養義務(民法第877条第2項)

叔父・叔母と甥・姪のような3親等内親族は、原則として互いに扶養義務を負いません。ただし、民法第877条第2項は「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」と定めています。

「特別の事情」の典型例としては、長期間の同居・生計同一関係、生活困窮の原因が一方の行為に起因する場合などが挙げられます。これは当然に生じる義務ではなく、家庭裁判所の審判によって初めて発生する点で、第877条第1項の義務とは性格が異なります。

扶養の水準──どの程度の生活を保障するのか

扶養の程度・方法の決定(民法第879条)

民法第879条は「扶養の程度又は方法は、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める」と規定しています。

考慮される主な事情は以下のとおりです。①扶養を受ける側の必要額(家賃・食費・医療費・介護費等)、②扶養義務者の収入・財産・既存の生活費、③扶養義務者が複数いる場合の各自の負担割合、④双方の健康状態・就労可能性・生活水準の格差。これらを総合的に勘案し、月額いくら、または現物(同居・介護等)という形で義務の内容が確定します。

婚姻費用・養育費の算定表との関係

扶養義務の実務上の中心課題は、婚姻費用(別居中の生活費)と養育費(離婚後の子の生活費)の2つです。いずれも生活保持義務に基づく高水準の義務であり、家庭裁判所実務では「養育費・婚姻費用算定表」(2019年改定版)が広く活用されています。この算定表は、東京・大阪の裁判官が共同で検討・作成したもので、双方の年収に基づき標準的な金額の目安を示しています。算定表はあくまで目安であり、子の特別な医療費や教育費など個別事情がある場合は増減調整が行われます。

扶養義務の変更と消滅(民法第880条)

一度確定した扶養の内容も、その後に事情の変更があれば家庭裁判所に変更の申立てができます(民法第880条)。変更事由の典型例は、義務者の失業・大幅な収入減、権利者の就労・再婚・回復、権利者の死亡などです。

扶養義務は、扶養の必要性が実質的になくなった場合(権利者が経済的に自立した、死亡した等)には自然に消滅します。当事者間の合意だけで強制的に終了させることは原則としてできませんが、家庭裁判所の調停・審判を通じて正式に変更・終了を確定させることが推奨されます。

扶養義務の実現手続き──調停・審判・強制執行

当事者間の協議から家庭裁判所への申立て

扶養義務の実現は、まず当事者間の話し合い(協議)から始まります。当事者間で協議が整わない場合、または相手が連絡に応じないなど協議ができない場合は、家庭裁判所に扶養請求調停を申し立てます。調停委員が仲介する話し合い(調停)でも解決しない場合は、審判手続きへ移行し、家庭裁判所が義務の内容を決定します。

申立先は、原則として相手方(義務を求める相手)の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立費用は収入印紙1,200円と郵便切手代のみであり、弁護士なしでも手続き自体は可能です。ただし、法的な判断が複雑に絡む事案(DV被害が背景にある、相手が財産を隠している等)では、法律専門家へのサポートを検討することが推奨されます。

履行確保と強制執行

調停が成立した場合の「調停調書」と確定した「審判書」は、民事執行法に基づく強制執行の申立てが可能な債務名義となります。相手方が義務を履行しない場合、義務者の給与・預貯金等に対する差押えを申し立てることができます。給与差押えは、婚姻費用・養育費など継続的な支払いについて、将来分まとめて差し押さえることが認められており(民事執行法第151条の2)、未払いリスクの低減に役立ちます。

また、家庭裁判所は審判確定後に義務者に対して「履行命令」(家事事件手続法第290条)を発令できます。正当な理由なく履行命令に従わない場合は10万円以下の過料の制裁があります。ただし、義務者が無職・無資産の場合は差押えできる財産がなく、実効的な回収が困難な場面もあります。

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現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

扶養義務に直接・間接に影響する主な法改正は以下のとおりです。

  • 2013年: 非嫡出子(婚外子)の相続分平等化(民法第900条第4号改正)
    最高裁判所は2013年9月4日の決定において、婚外子の相続分を嫡出子(法律婚の夫婦の子)の2分の1とする規定を違憲と判断しました。これを受けた民法改正により、嫡出子・婚外子の区別にかかわらず相続分は均等とされました。相続と扶養は別制度ですが、婚外子の家族法上の地位全体の向上という文脈で関連する動向です。
  • 2022年: 民法改正(懲戒権の削除・親権の内容明確化)
    子に対する親の「懲戒権」規定(旧民法第822条)が削除され、代わりに「子の利益のために必要な監護・教育を行うこと」が親権行使の基準として明確化されました(民法第820条改正)。子への扶養義務が「子の利益」を中心に位置づけられるようになったことで、虐待などを理由に扶養義務の内容を見直す際の判断基準がより明確になっています。
  • 2024年: 離婚後共同親権制度の導入(民法改正、2026年4月1日施行)
    離婚後も父母双方が親権を行使できる「共同親権」制度が導入されました(民法第819条改正)。これに伴い、子の養育費(扶養料)の取り決めに関する規定が整備され、離婚時の養育費合意の重要性がより強調されています。
  • 2024年: 養育費確保に関する運用改善
    2024年の改正民法は、協議離婚の際に養育費について当事者が定めるべき事項を条文上明確化しました(第766条改正)。離婚届の様式見直しと相まって、養育費の取り決めを離婚時により促進する仕組みが整備されています。

議論の現在地

扶養義務をめぐる主要な現代的議論として、以下の2点が挙げられます。

◎ 高齢親の扶養義務と生活保護:「扶養照会」問題

生活保護の申請時に、福祉事務所が申請者の3親等内の親族に対して「扶養できるか」を問い合わせる「扶養照会(ふようしょうかい)」の問題が、2021年以降に社会的な議論を呼びました。肯定的な立場からは、扶養義務は法律上の義務であり、公的扶助(生活保護)は私的扶養ができない場合のセーフネットとして位置づけるべきとの意見があります。批判的な立場からは、照会が申請者のプライバシーを侵害する、DV被害者や家族関係が断絶した人々に対する申請抑制効果(申請をためらわせる効果)をもたらすとの指摘があります。厚生労働省は2021年3月に事務連絡を発出し、扶養照会を不要とできる範囲を拡大しましたが、自治体間の運用にはなおばらつきが見られます。

◎ 兄弟姉妹間の扶養義務と不均等分担問題

超高齢化が進む中で、誰が高齢の親を主に扶養するかをめぐる家族間のトラブルが増加しています。親と同居する子が実質的に扶養の大半を担い、遠方に住む兄弟が費用の負担を避けるといった不均等分担の問題は、実態としては多く見られますが、家庭裁判所の調停・審判にまで至るケースは一部にとどまり、多くは非公式に処理されています。また、統計的に女性が親の介護を担いやすい傾向があり(無償ケアワークのジェンダー格差)、扶養義務の不均等分担は女性の就労継続にも影響を与えています。

残された課題

扶養義務をめぐる未解決の論点として、以下の点が挙げられます。

  • 扶養照会の運用統一化: 厚生労働省通知後も自治体間の対応に差があり、生活保護申請の機会均等の観点から、全国統一的な運用基準の整備が課題として残っています。
  • 同性パートナーへの法的扶養保護の空白: 現行法(2026年時点)では同性カップルは法律上の配偶者となれないため、民法第752条に基づく配偶者間の扶養義務の保護を受けられません。一部自治体のパートナーシップ宣誓制度では準扶養的な配慮が行われる場合もありますが、全国統一の法的拘束力を持つ扶養義務の対象には含まれていない状況が続いています。
  • 老親扶養の金額基準の標準化: 婚姻費用・養育費は算定表が実務に定着しましたが、老親への仕送り額等については統一的な算定基準がなく、当事者が判断に迷いやすい状況が続いています。
  • 共同親権施行後の養育費確保: 2026年4月1日施行の共同親権制度は養育費確保の促進が期待されますが、DVを理由に単独親権が認められた事案での非監護親の養育費履行確保は、引き続き運用上の課題とされています。

扶養義務の種類と比較──一覧表

扶養義務の種類 根拠条文 義務者 権利者 水準 主な実務例
夫婦の扶助義務 民法第752条 配偶者 配偶者 生活保持義務(同一水準) 婚姻費用分担、別居中の生活費
親の子に対する扶養 民法第820条・第877条 父・母 未成年・自立困難な子 生活保持義務(同一水準) 養育費、同居子の生活費
子の親に対する扶養 民法第877条第1項 成年の子 高齢・困窮の親 生活扶助義務(余力の範囲) 老親への生活費仕送り、介護費用の分担
兄弟姉妹間の扶養 民法第877条第1項 兄弟・姉妹 困窮する兄弟・姉妹 生活扶助義務(余力の範囲) 生活困窮者への援助
3親等内親族への特別扶養 民法第877条第2項 叔父・叔母等 甥・姪等 家庭裁判所の決定による 特別な事情がある場合のみ

ジェンダー視点から見る扶養義務

「扶養される側」に置かれやすい女性の構造的問題

日本の民法は扶養義務の規定において男女を区別しておらず、形式的には中立の制度設計です。しかし現実には、扶養義務の重さは日本社会のジェンダー格差を色濃く反映しています。

内閣府「令和5年版男女共同参画白書」によれば、配偶者のいる女性の就業率は上昇傾向にあるものの、正規雇用比率や所得水準は依然として男性より低い状況が続いています。この収入格差は、別居・離婚の場面で女性が婚姻費用や財産分与を強く必要とする状況を生み出し、女性が「扶養される側」に位置づけられやすいという構造的問題につながっています。

また、離婚成立後の生活基盤確保を目的とした「扶養的財産分与」(民法第768条に基づく財産分与の一態様)は判例上認められていますが、その金額・期間は個別事情により大きく異なり、十分な保障がなされないケースも報告されています。

男性の「稼ぎ手」期待と扶養義務の歪み

扶養義務の重さが男性の収入・雇用に偏って集中しやすい傾向は、「男性が家族を養うべき」というジェンダー規範に由来しています。この規範は、配偶者控除制度(所得税法上の優遇措置)をはじめとする税・社会保険の制度設計とも連動しており、女性の就労継続を阻む一因となってきました。

近年、産後パパ育休制度の導入(2022年)や男性育休取得率の公表義務化(2023年)など、男性の育児参加を促す制度整備が進んでいます。しかし、扶養義務の実態的な男女間格差が縮小するには、職場文化・賃金格差・キャリア機会の均等化が伴う必要があり、法改正のみでは解消しきれない側面があります。

同性パートナーと法的扶養義務の空白

同性カップルは、日本の現行法(2026年時点)において法律上の配偶者となることができないため、民法第752条が定める配偶者間の扶養義務の保護が及びません。パートナーが病気・失業などで経済的に困窮しても、もう一方が法的な扶養料請求を受け取ることは原則として認められていません。

一部の自治体では、パートナーシップ宣誓制度を通じて法律婚に準じた行政サービスの提供が行われており、扶養に関連する一部の制度(社内福利厚生など)が準用される場合もあります。しかし、これは各自治体・各企業の任意の措置であり、全国統一の法的扶養義務を生じさせるものではありません。多様な家族形態を認める社会的動向と現行法制度のあいだにある乖離は、継続的な立法課題として議論されています。

相談窓口──扶養に関する問題を抱えたときの相談先

扶養義務に関する手続きや権利の確認は、以下の公的窓口に相談できます。

  • 法テラス(日本司法支援センター)
    電話: 0570-078374(サポートダイヤル)。収入・資産の要件を満たす場合、弁護士・司法書士による無料の法律相談や弁護士費用の立替制度(審査あり)が利用できます。DV被害者への配慮措置もあります。
  • 家庭裁判所
    扶養請求調停・審判の申立て先です。各都道府県の家庭裁判所・支部の窓口で申立書類の書き方について案内を受けることができます。裁判所ウェブサイトにも申立書式の雛形が公開されています。
  • 配偶者暴力相談支援センター(各都道府県)
    DV被害によって別居を余儀なくされた場合、婚姻費用請求の手続きと並行して安全確保のための支援を受けることができます。各都道府県に設置されており、女性相談センター・配偶者暴力相談支援センターが窓口となっている場合が多いです。

具体的な事案の法的判断については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。

まとめ

扶養義務は、配偶者・親子・兄弟姉妹といった家族・親族のあいだに民法が定めた法的な生活保障の仕組みです。義務の水準は生活保持義務(配偶者間・親子間)と生活扶助義務(その他の親族間)に分かれており、家庭裁判所の調停・審判を通じて具体的な金額・方法が確定します。審判後は強制執行も可能であり、特に婚姻費用・養育費については将来分まとめての差押えが認められています。

2013年の婚外子相続分平等化、2022年の懲戒権削除、2024年の共同親権導入と養育費規定の整備など、近年の法改正は子の権利保護を強化する方向で進んでいます。一方、扶養照会の運用格差、同性パートナーへの法的保護の空白、老親扶養における不均等なジェンダー負担など、残された課題も少なくありません。

扶養義務の問題は「家族の問題」として当事者だけで抱えこまれやすいですが、法制度が確実に存在し、家庭裁判所という公的な解決手段も用意されています。困難な状況に直面したときは、公的な相談窓口や専門家への相談を積極的に活用することが、権利実現への第一歩となります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 扶養義務は必ず履行しなければならないのですか?
A. 民法上の扶養義務には法的拘束力があります。ただし、具体的な金額・方法は当事者間の協議や家庭裁判所の判断によって確定します。「自分の生活に余力がない」という事情は、扶養の水準(金額)を定める際の考慮要素になります。義務を一切認めないことは原則としてできませんが、負担の大きさは個別事情を踏まえて調整されます。
Q. 高齢の親が生活保護を申請する場合、子どもに扶養の義務はありますか?
A. 民法第877条第1項に基づき、子は親に対して生活扶助義務(自分の生活に余力がある範囲での援助義務)を負います。生活保護の申請時には福祉事務所が親族に「扶養照会」を行う運用がありますが、照会への回答は強制されるものではなく、援助できないと回答しても直接の制裁はありません。厚生労働省は2021年以降、照会を不要とできる範囲を拡大しています。
Q. 離婚後も元配偶者の生活費を払う義務はありますか?
A. 離婚により婚姻関係が解消されると、民法第752条に基づく配偶者間の扶養義務は原則として消滅します。ただし、離婚時の財産分与(民法第768条)において「扶養的財産分与」として一定期間の生活費支援が取り決められる場合があります。子どもがいる場合の養育費(子への扶養義務)は、離婚後も非監護親の義務として継続します。
Q. 兄弟姉妹間で高齢の親の扶養費用を分担させることはできますか?
A. 民法第877条第1項に基づき、兄弟姉妹間で老親への扶養義務を分担させることは法的に可能です。当事者間で協議が整わない場合、家庭裁判所に扶養義務分担の調停または審判を申し立てることができます。審判では、各自の収入・資産・老親との関係・生活状況などを総合的に考慮した分担割合・金額が定められます。
Q. 事実婚(内縁)のパートナーにも扶養義務はありますか?
A. 事実婚(内縁関係)のパートナーに対しても、法律婚に準じた扶養義務が認められる場合があります。判例は内縁関係に民法第752条の趣旨を類推適用しており、婚姻費用に相当する生活費の分担請求が認められた事例があります。ただし、同性カップルは現行法上この保護の対象外となっており、法的空白が残されています。
Q. 扶養料が決まった後、相手が払ってくれない場合はどうすればよいですか?
A. 調停調書・審判書が確定している場合は、強制執行(給与差押え・預金差押え等)を申し立てることができます。また、家庭裁判所への「履行命令」申立ても可能であり、正当な理由なく命令に従わない場合は過料の制裁があります。手続きの詳細は法テラス(0570-078374)や家庭裁判所の窓口で確認できます。

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