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老齢年金の男女格差統計|第3号被保険者と受給額データ【2026年版】

老後の生活を支える公的年金は、男女間で大きな受給額の開きがあることが統計から明らかになっています。厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金(老齢厚生年金+老齢基礎年金)の月平均受給額は男性が約17万2,000円であるのに対し、女性は約10万9,000円と、その差は6万円以上にのぼります。この差は単なる「老後だけの問題」ではなく、現役時代の賃金格差・就労中断・非正規雇用への移行が老後まで持ち越される構造的な問題です。

さらに、配偶者の扶養に入った第3号被保険者(専業主婦・専業主夫)制度をめぐっては、「女性の就労を構造的に抑制している」という批判と「育児・介護を担う配偶者を社会全体で支える重要な仕組みだ」という擁護が対立し続けています。2024年には遺族厚生年金の有期化議論も本格化し、年金制度とジェンダー平等をめぐる政策議論は新局面を迎えています。

本記事では、老齢年金・遺族年金の受給実態を統計データで整理したうえで、第3号被保険者制度の現状と改革議論、諸外国との比較を解説します。企業の人事・福利厚生担当者、社会保険労務士試験受験者、老後設計を考える就業者、男女共同参画政策に関心を持つ方を主な読者として想定しています。

老齢年金の男女格差統計|第3号被保険者と受給額データ【2026年版】 - 解説

目次

老齢年金の男女格差とは|受給額の実態データ

厚生年金受給額における性差の統計

日本の公的年金制度は「二階建て」構造をとっています。国民全員が加入する国民年金(老齢基礎年金)を一階部分、会社員・公務員などが上乗せして加入する厚生年金(老齢厚生年金)を二階部分と称します。

厚生労働省が毎年公表する「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度の老齢年金の月平均受給額は男性が約17万2,000円、女性が約10万9,000円です。男女差は約6万3,000円にのぼり、女性の受給額は男性の約63%の水準にとどまっています。この比率は近年横ばいから微減傾向で推移しており、急速な改善は見られていません。

老齢基礎年金のみ(厚生年金なし)を受給している層に目を向けると、女性の割合が高くなります。専業主婦として長期間過ごした方や、自営業・非正規雇用で厚生年金に未加入だった期間が長い女性は、受給できるのが基礎年金のみとなります。老齢基礎年金の月額は令和6年度の満額で約6万8,000円ですが、納付月数が不足している方はこれを下回る場合があります。

格差を生む三つの構造的要因

老齢年金の男女格差は、次の三つの要因が複合的に積み重なって生じています。

第一の要因は、現役時代の賃金格差です。厚生年金の給付額は、現役期間中の標準報酬月額の平均値と加入期間の長さに比例して決まります。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、一般労働者の女性の賃金は男性の約74~78%の水準にあり、この格差がそのまま老後の年金額に反映されます。

第二の要因は、就労中断と非正規雇用への移行です。出産・育児を機に離職する女性の割合は近年低下傾向にありますが、依然として男性よりも高い水準です。育児休業後に時短勤務や非正規雇用へ移行した場合、報酬が下がり、将来の年金額も縮小します。内閣府「男女共同参画白書(令和5年版)」は、フルタイム正規就業への復帰率が男性よりも女性で低い実態を指摘しています。

第三の要因は、第3号被保険者期間の長さです。第3号被保険者として扶養配偶者の立場に入った期間は、厚生年金の加入実績が一切積まれません。この期間が長くなるほど、老齢厚生年金の受給額は小さくなります。長期の専業主婦期間があった女性の老後は、老齢基礎年金のみ(またはそれに近い水準)に頼らざるを得なくなりやすい状況にあります。

基礎年金のみ受給者が多い背景と生活リスク

令和5年度末時点で老齢基礎年金の月平均受給額は5万6,000円前後とされています。第3号被保険者として長期にわたり保険料を自己負担してこなかった女性の一部は、老齢基礎年金のみで月6万円台の収入しか得られない状態に置かれます。

ひとり暮らしの最低生活費は地域差がありますが、一般的な試算では月15万円程度とされる場合が多く、老齢基礎年金のみでは生活費を賄えないことが多くなります。こうした状況が高齢単身女性の相対的貧困率を押し上げる一因となっており、OECD統計では日本の高齢単身女性の貧困率が主要先進国の中で高い水準にあることが示されています。

第3号被保険者制度の概要と統計

制度の仕組みと法的根拠

第3号被保険者制度は、国民年金法(昭和34年法律第141号、最終改正: 令和6年)第7条第1項第3号に根拠を持ちます。厚生年金保険法(昭和29年法律第115号、最終改正: 令和6年)の第2号被保険者(会社員・公務員)に生計を維持されている配偶者で、年収が130万円未満の場合、「第3号被保険者」として国民年金に加入できます。自ら保険料を納付することなく、老齢基礎年金の受給資格を取得できる点が最大の特徴です。

第3号被保険者に係る国民年金の保険料は、第2号被保険者が加入する厚生年金制度全体から基礎年金拠出金として賄われます。つまり、厚生年金加入者全体が第3号被保険者の基礎年金を間接的に負担する構造です。制度の導入は1985年(昭和60年)の国民年金法改正(基礎年金制度導入)時であり、「夫が稼ぎ手・妻が家庭を守る」という性別役割分業を標準世帯として想定した政策設計が反映されています。

第3号被保険者数の推移データ

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、第3号被保険者数は1990年代前半に約1,000万人超のピークを記録した後、緩やかな減少傾向が続いています。令和5(2023)年時点では、厚生労働省年金局の推計で約720万人前後とされています。共働き世帯が専業主婦世帯を大幅に上回る現代においても、700万人超が依然として第3号被保険者として扶養の範囲内で生活しています。

性別内訳では、第3号被保険者の約97~98%が女性であり、男性の第3号被保険者は全体の2%程度にとどまっています。この実態は、制度の運用が実質的に「女性の配偶者保護」に特化していることを示しています。

「130万円の壁」と就労抑制の実態

第3号被保険者の資格を維持するために年収を130万円未満に抑えようとする行動は「130万円の壁」と呼ばれます。この基準を超えると自ら社会保険料を負担する必要があり、収入増加分よりも保険料負担が大きくなる「逆転現象」が生じるケースがあるため、就労時間を意識的に調整する短時間労働者の存在が指摘されてきました。

政府はこの問題に対応するため、被用者保険の適用拡大を段階的に実施しています。2016年には501人以上の企業、2022年には101人以上の企業、そして2024年10月からは51人以上の企業で週20時間以上・賃金月8万8,000円以上・2か月超の雇用見込みの要件を満たす短時間労働者を厚生年金(健康保険)に強制加入させる措置が施行されました(厚生年金保険法第12条第5号等)。

この拡大により、第3号被保険者の資格を喪失し、厚生年金に自ら加入する層が増加しています。厚生年金への加入は将来の受給額増加につながるため、長期的には老齢年金の男女格差縮小に寄与すると期待されています。ただし、51人未満の中小零細企業の短時間労働者や週20時間未満の就労者は引き続き適用対象外であり、課題が残っています。

遺族年金のジェンダー的課題

遺族厚生年金の受給構造と非対称な設計

配偶者が死亡した場合に支給される「遺族厚生年金」は、厚生年金保険法第58条第1項以下に定められています。現行制度では、妻が遺族厚生年金を受給する場合は原則として年齢要件がなく(ただし30歳未満で子のない妻は5年の有期支給)、終身受給が可能です。一方、夫が受給する場合は、亡くなった妻が死亡した時点で夫が55歳以上であることが必要で、支給開始は60歳からとされています。

この非対称な設計は、「夫が主な稼ぎ手・妻が家庭を守る」という性別役割分業を前提とした制度設計を反映しています。厚生労働省の統計によると、遺族厚生年金の受給者の約85~90%が女性です。長寿化・共働き化が進む現代においても、この構造は大きく変わっていません。

2024年に本格化した有期化議論

厚生労働省の社会保障審議会年金部会は、2024年に遺族厚生年金の見直し議論を本格化させました。議論の主な論点は「子のいない配偶者への遺族厚生年金を最長5年の有期給付とし、就労・自立を促すべきではないか」という方向性です。

有期化に賛成する立場の主な根拠は、「現代は女性も就業できる社会になっており、長期の終身給付は現在の就労実態に合わない」「男女ともに同一条件とすることがジェンダーニュートラルな制度改革につながる」というものです。一方、反対・慎重論は「遺族年金を主な収入源としてきた高齢女性への打撃が大きい」「経済的弱者への社会保障機能を損ないかねない」という観点から主張されています。

2025年時点では、年齢・収入に応じた段階的な適用や経過措置の設計が検討されているものの、具体的な法案提出時期は確定していません。この議論は「ジェンダーニュートラルな制度改革」と「既存受給者の保護」の間で政治的なバランスが難しく、与野党間でも立場が割れている状況です。

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主要データ比較表|老齢年金・遺族年金・第3号被保険者の現状

項目 男性 女性 出典・備考
老齢年金(老齢厚生年金+老齢基礎年金)月平均受給額(令和5年度) 約17万2,000円 約10万9,000円 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
女性受給額÷男性受給額(比率) 約63% 上記データから算出(概算)
厚生年金の平均加入期間(概算) 約35年 約25年 就労中断・非正規転換が影響(各年報より)
第3号被保険者数(2023年推計) 約14万人(約2%) 約706万人(約98%) 厚生労働省年金局推計
遺族厚生年金受給者の男女比 約10~15% 約85~90% 厚生労働省社会保障審議会資料
年金ジェンダーギャップ・日本(65歳以上) 基準(100%) 男性比▲約26%程度 OECD「Pensions at a Glance 2023」
年金ジェンダーギャップ・OECD平均(65歳以上) 基準(100%) 男性比▲約26% 同上(日本はOECD平均とほぼ同水準)

※数値は公表資料に基づく概算です。年度・集計方法によって変動します。

現代的論点|2026年時点の到達点

2007年以降の主な法改正・新法

2007年以降、年金制度とジェンダーをめぐる主な法令改正は以下のとおりです。

  • 離婚時の年金分割制度施行(2007年4月): 婚姻期間中の厚生年金記録を最大50%まで分割できる「合意分割」と、第3号被保険者期間分を自動50%分割する「3号分割」が施行されました(厚生年金保険法第78条の2以下)。離婚後の女性の老後保障を補強する制度として位置づけられています。
  • 被用者保険の適用拡大(2016年~2024年段階実施): 501人以上→101人以上→51人以上の企業で短時間労働者への厚生年金適用を段階的に拡大。第3号被保険者の就労抑制を和らげ、女性の老齢年金格差縮小に向けた核心施策のひとつとして位置づけられています。
  • パートタイム・有期雇用労働法施行(2021年・中小企業全面施行): 同一労働同一賃金の推進が非正規労働者の賃金水準改善、ひいては将来の年金格差縮小につながるとされています。
  • 育児期間中の保険料免除拡充: 産前産後期間中の国民年金保険料免除(2019年施行)や育児休業期間中の厚生年金保険料免除の維持。育児を担う親の年金が不利にならないよう配慮する制度です。
  • 社会保障審議会年金部会による遺族厚生年金見直し議論(2024年): 子のない配偶者への有期化を論点に議論を本格化。2025年時点で具体的な法案は提出されていません。
  • iDeCo・NISAの拡充(2024年~): iDeCoの加入可能年齢延長・NISA非課税枠の恒久化。公的年金の不足を補う私的積立の普及が政策的に促進されています。

議論の現在地

第3号被保険者制度の存廃をめぐっては、「廃止・縮小論」と「維持・保護論」が対立しています。

廃止・縮小論の主な根拠:

  • 「保険料を自己負担せずに年金資格を取得できる制度は公平性を欠く」(個人事業主・第1号被保険者からの指摘)
  • 「130万円の壁が女性の就労拡大を構造的に阻害している」(経済学的な観点)
  • 「共働き世帯が専業主婦世帯を大幅に上回る現代に、旧来の世帯モデルを前提とした制度は時代にそぐわない」

維持・保護論の主な根拠:

  • 「育児・介護を担う配偶者の無償ケア労働(アンペイドワーク)を社会全体で支えるという考え方は合理的」
  • 「制度の急速な廃止は、現在の高齢層・中高年層(特に長期専業主婦であった方)の老後保障を損なう」
  • 「就労を選択しない・できない配偶者のセーフティネットとして機能している」

政府の立場は「適用拡大による段階的な縮小」であり、制度の即時廃止は選択していません。2024年の遺族年金有期化議論でも、急進的な改革ではなく移行期の経過措置を設けた対応が検討されています。

残された課題

第一の課題は、移行期の保護設計です。第3号被保険者制度を縮小・廃止する方向に進んだとしても、長期間専業主婦として過ごした現在の中高年・高齢女性の老後保障をどう担保するかは未解決です。制度改正の際には、既存の生活設計に大きな影響が出ないよう、丁寧な経過措置が不可欠です。

第二の課題は、ケア労働の評価と年金制度の連動です。育児・介護などの無償ケア労働が年金制度の中でどのように評価されるべきかという根本的な問いに、現行制度は体系的な答えを出していません。「育児クレジット」(育児期間中の年金加算)の仕組みは産前産後の保険料免除として部分的に導入されていますが、育児・介護全体を通じた評価制度の確立は今後の課題です。

第三の課題は、遺族年金のジェンダーニュートラル化の工程設計です。妻と夫で異なる受給要件を統一する方向性は有識者の間で概ね支持されていますが、既存受給者への影響、所得代替率の変動、健康保険との連動など、実務的な課題が多く残されており、具体的な工程表の策定が求められています。

国際比較|諸外国の年金ジェンダーギャップ

OECDデータにみる各国の年金性差

OECDが2023年に公表した「Pensions at a Glance 2023」によると、加盟国の65歳以上高齢者における年金受給額の男女格差(ジェンダー・ペンション・ギャップ)はOECD平均で約26%です。日本のジェンダー・ペンション・ギャップも25~30%程度とされており、OECD平均とほぼ同水準に位置します。

格差が特に小さい国(10%前後)としては、スウェーデン・デンマーク・オランダが挙げられます。これらの国では女性の就業率が高く、育児休業が男女ともに広く活用されているため、厚生年金(相当)の加入期間・報酬水準の男女差が小さくなっています。スウェーデンでは仮想積立方式(NDC)を採用しており、個人の就労実績がより透明に年金額に反映される制度設計も格差縮小に寄与しているとされています。

一方、格差が40%を超える国としてドイツ・スイス・ルクセンブルクなどがあります。専業主婦世帯の比率が歴史的に高い国や、パートタイム就労が制度的に女性に集中している国では年金ジェンダーギャップも大きくなる傾向があり、就労の男女差と年金格差の相関関係が国際比較から読み取れます。

日本の改善に向けた三つのカギ

国際比較から見えてくる日本の政策課題は、主に以下の三点です。

第一に、女性の就業継続とフルタイム就業率の向上です。女性の就業継続率は改善傾向にあるものの、育休後のフルタイム正規就業への復帰率が男性よりも低い現状では、老齢厚生年金の格差は縮まりにくい状況が続きます。育児時短勤務・フレックス・テレワーク等の柔軟な就労環境の整備が格差縮小の前提条件となります。

第二に、適用拡大のさらなる推進です。現状の適用拡大は51人以上の企業を対象としており、中小零細企業(50人以下)の短時間労働者や週20時間未満の就労者には届いていません。全規模の事業所への適用拡大が年金格差縮小の次の焦点となります。

第三に、育児クレジットの体系的な拡充です。育児期間全体を通じて年金記録の加算が保証される仕組みを強化することで、育児を担う親の老齢年金が構造的に不利にならない制度設計が求められています。北欧諸国の育児クレジット制度は、こうした課題への一つの回答モデルとして参照されています。

公的相談窓口・参考機関

年金制度に関する個別の相談・記録照会については、以下の公的機関をご活用ください。

  • 日本年金機構「ねんきんダイヤル」: 0570-05-1165(月曜~金曜 8:30~19:00、第2土曜 9:30~16:00)。年金額の試算・被保険者記録の確認・第3号被保険者の届け出手続きに対応しています。
  • 厚生労働省「年金局」: 年金制度改正の情報・法令テキストの公表先。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html
  • 内閣府男女共同参画局: 年金・社会保障とジェンダーに関する政策情報・統計データを公表しています。https://www.gender.go.jp/
  • 法テラス(日本司法支援センター): 0570-078374。離婚に伴う年金分割や遺族年金の権利確認に関して、弁護士・社会保険労務士への相談ルートを案内しています。

具体的な事案については、弁護士・社会保険労務士など専門家への相談をご検討ください。

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まとめ|年金格差を「老後に先送りされた構造的不平等」として捉え直す

老齢年金の男女格差は、現役時代の賃金格差・就労中断・非正規雇用への移行が老後まで積み重なった結果です。月6万円以上の受給額差は「女性の稼ぎが少ないから」という個人の問題に還元できるものではなく、賃金制度・就労慣行・年金制度設計が組み合わさった構造的問題として理解することが重要です。

第3号被保険者制度は、専業主婦世帯の保護という当初の意図をもつ一方で、現代においては「130万円の壁」を通じた就労抑制装置として機能しているという側面が経済学・社会学の観点から指摘されています。政府は適用拡大という手段で制度を段階的に縮小する路線をとっていますが、中小零細企業労働者や週20時間未満就労者への対応など、残された課題は少なくありません。

遺族年金のジェンダーニュートラル化議論は2024年以降本格化しており、今後の法改正の動向を注視する必要があります。公的年金制度の見直しと並行して、私的積立(iDeCo・NISA)の活用も含めた個人・家計レベルの老後設計の重要性が男女ともに高まっています。制度改正の情報を継続的に確認し、自らの年金記録(ねんきん定期便等)を定期的に把握しておくことが、老後設計の第一歩となります。

よくある質問(FAQ)

Q. 女性の老齢年金が低い主な理由は何ですか?
厚生年金の受給額は現役時代の報酬額と加入期間に連動して決まります。女性は男性と比べて賃金水準が低く、出産・育児による就労中断や非正規雇用への移行も多いため、加入期間と報酬額の両面で不利になりやすく、老齢年金の受給額に大きな差が生じます。
Q. 第3号被保険者制度とはどのような制度ですか?
厚生年金(第2号被保険者)に扶養される配偶者で年収が130万円未満の方が、保険料を自己負担せずに国民年金に加入できる制度です(国民年金法第7条第1項第3号)。老齢基礎年金の受給資格を取得できますが、厚生年金の実績は積算されません。制度利用者の約97~98%が女性です。
Q. 「130万円の壁」とは何を指しますか?
第3号被保険者の資格を維持するための年収上限(130万円未満)を「130万円の壁」と呼びます。この基準を超えると社会保険料の自己負担が発生するため、手取りが一時的に減少することを避けて就労時間を調整する動きが生じます。2024年10月からは51人以上の企業での週20時間以上就業者には厚生年金が強制適用されるようになりました。
Q. 遺族厚生年金の受給要件に男女差があるのはなぜですか?
遺族厚生年金の受給要件は夫と妻で異なります。妻は原則年齢不問で受給できる(30歳未満・子なしは5年有期)一方、夫は原則55歳以上かつ支給開始は60歳からとされています。この非対称な設計は「夫が稼ぎ手」という役割分業を前提とした歴史的な制度設計を反映しており、2024年以降に見直し議論が本格化しています。
Q. 諸外国と比べて日本の年金ジェンダーギャップはどの程度ですか?
OECD「Pensions at a Glance 2023」によると、日本の65歳以上の年金受給額における男女格差はOECD平均(約26%)とほぼ同水準とされています。スウェーデン・デンマークなどの北欧諸国では10%前後と格差が小さく、女性就業率の高さと男女ともに育児休業を活用する文化が格差縮小の要因となっています。
Q. 年金格差を縮めるためにどのような政策が進んでいますか?
主な政策として、①被用者保険の適用拡大(短時間労働者を厚生年金に組み込む段階的拡大)、②同一労働同一賃金の推進による賃金格差是正、③離婚時の年金分割制度(合意分割・3号分割)、④育児期間中の保険料免除・育児クレジット的な措置があります。2024年には遺族厚生年金の有期化議論も始まり、制度のジェンダーニュートラル化を目指す動きが続いています。

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