孤独・孤立は21世紀の社会課題として国際的に注目されていますが、その現れ方や背景要因は、ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別。生物学的性別=セックスとは区別される概念)によって大きく異なります。職場を中心に人間関係を構築してきた男性は、退職・離婚・失業などを機に社会的なつながりを急速に失いやすく、「男性は弱みを見せてはいけない」というジェンダー規範が相談行動を阻害します。一方、女性については、ひとり親世帯での経済的困窮、非正規雇用による職場ネットワークの脆弱さ、高齢単身期の長期化など、複合的な要因が孤立を深める構造が見えています。
内閣府は2021年度から「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」を実施し、主観的な孤独感と客観的な社会的接触頻度の両面から男女別のデータを蓄積してきました。2023年には孤独・孤立対策推進法が成立し、国・自治体・民間が連携して孤独・孤立問題に取り組む法的根拠が整いました。
この記事では、孤独と孤立の定義を整理したうえで、日本政府の統計調査から読み解ける男女別の実態データ、自殺統計とジェンダー格差の関係、そして2023年の法整備を中心とする現代的論点を解説します。孤独・孤立問題に関心を持つ方、男女共同参画や社会政策を学ぶ方、自治体・企業の担当者の方にとって、データに基づいた課題理解の入口としてご活用ください。

孤独と孤立の定義|ジェンダー研究における概念整理
孤独(loneliness)と孤立(social isolation)の違い
社会科学では、「孤独(loneliness)」と「孤立(social isolation)」は明確に区別される概念として扱われます。この区別は、政策対応やデータ解釈の出発点として重要です。
孤独は主観的な経験です。社会的なつながりを望んでいるにもかかわらず、それが得られないと感じる心理状態を指します。実際に誰かと接触していても孤独感を抱く場合があり、反対に一人でいても孤独を感じない場合もあります。WHO(世界保健機関)は孤独を「社会的つながりが質・量ともに欠如していると感じること」と定義しています。
孤立は客観的な状態です。友人・家族・地域コミュニティなどの社会的ネットワークから物理的・社会的に切り離されている状態を指します。統計調査では「週に一度も家族以外の人と会話しない」「参加している社会活動・サークルがない」などの指標で測定されます。
内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」では、主観的な孤独感(国際的に広く用いられるUCLA孤独感尺度を参考にした設問)と客観的な孤立指標(社会的接触頻度)の両面から調査が設計されています。両概念は相互に関連しながらも、性別・年齢・世帯類型によって異なるパターンを示しています。
ジェンダー視点で捉える社会的つながりの構造差
ジェンダー研究では、男女の社会的ネットワークの構造が異なる傾向があることが指摘されています。一般に、女性は友人・家族・地域コミュニティとの多様なネットワークを形成しやすく、困ったときに助けを求めやすい傾向があるとされています(情緒的サポートの豊富さ)。
一方、男性のネットワークは「役割ベース」になりやすく、職場・業界団体・スポーツチームなどの機能的つながりに依存する傾向があります。定年退職・失業・離婚などの役割変化が生じると、それに代わる新たなネットワークを形成しにくいという構造的脆弱性があります。
ただし、これらの傾向はジェンダー規範(社会的な「男らしさ」「女らしさ」の期待)による社会的条件づけの結果でもあります。個人差は大きく、生物学的な性差として固定されたものではありません。男性育休の取得促進や地域コミュニティへの男性参画を進めることが、役割変化後の孤立リスクを下げる可能性があるとされています。
孤独担当大臣設置の背景
日本は2021年2月、英国に次いで世界で2番目に「孤独・孤立担当大臣」を設置しました。この政策的対応の背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって孤独・孤立リスクが顕在化したことがあります。外出自粛・テレワーク拡大・学校閉鎖などにより、社会的接触が減少し、特に単身者・ひとり親・高齢者において孤独感の増大が報告されました。
英国では2017年に孤独担当大臣を設置し、2018年に「孤独に関する初の国家戦略」を公表しています。日本の政策立案でも英国の取り組みが参照されました。
日本の孤独・孤立統計|内閣府調査が示す男女別の実態
孤独感の男女別割合
内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」(2022年度)によると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した割合は、男性が約4.8%、女性が約4.2%であり、深刻な孤独感の割合では男性が若干高い傾向が示されました。「たまにある」まで含めた広義の孤独感では男女差は縮小し、約35%が何らかの孤独感を抱いていました。
年齢層別に見ると、孤独感は「20代」と「50代・60代」で相対的に高い傾向があります。若年層では社会的移行(就職・進学・転居)に伴う人間関係の変化が、中高年では役割変化(子育て終了・親の介護・定年)が背景にあると考えられています。
世帯類型別では、単身世帯が同居世帯に比べて孤独感・孤立感の指標が高く、この傾向は特に「単身男性の高齢者」と「単身男性の中年」において顕著です。
社会的接触頻度の男女差
客観的な孤立指標として「家族・友人・同僚等と週に1回以上会話する機会がない」人の割合を見ると、男性が女性を上回る傾向があります。内閣府調査では、60代男性において「会話の頻度が低い」層の割合が高く、定年退職後に職場のネットワークを失った後の社会参加の機会の少なさが背景として指摘されています。
「困ったときに相談できる人がいない」と回答した割合も、男性(特に50代・60代)の方が高い傾向があります。これは、「男性は他者に頼るべきでない」というジェンダー規範が相談行動を阻害していることを示唆しています。
コロナ禍が加速させた孤立
内閣府の時系列データからは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大(2020年以降)前後で、孤独感・孤立感の指標が悪化したことが確認されています。特に影響を受けたのは、①テレワーク移行後に職場での対面接触を失った中高年男性、②保育・学校の休園・休校に伴い育児負担が急増したひとり親世帯の母親、③外出自粛の影響を受けた高齢単身者です。コロナ禍は、既存の孤独・孤立リスクを性別・世代を横断して可視化する機会になりました。
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自殺統計とジェンダー格差|男性高リスクの国際的パターン
日本の自殺者数と男女比
厚生労働省「令和5年版自殺対策白書」によると、2022年の日本の自殺者総数は21,881人(男性14,746人、女性7,135人)でした。自殺死亡率(人口10万人対)は男性が約23.5、女性が約11.4であり、男性は女性の約2.1倍の高い自殺死亡率を示しています。
この男女比は2007年以降も継続して男性が女性の約2倍以上となっており、長期的な傾向として定着しています。厚生労働省の統計では、自殺の動機別分析として「健康問題」「経済・生活問題」「勤務問題」「家庭問題」が主要な背景として挙げられており、その組み合わせパターンに男女差があることが示されています。
国際比較|男性高リスクは世界共通パターン
WHO(世界保健機関)の統計では、高所得国において男性の自殺死亡率が女性の2倍以上となるパターンが広く観察されています。北欧諸国・英国・ドイツ・カナダ・オーストラリアなど、男女平等指数が比較的高い国々でも男性の自殺率が女性を大幅に上回っており、これは単純にジェンダー格差指数の低い国に固有の問題ではないことを示しています。
この現象は「男性の自殺過剰(male suicide paradox)」とも呼ばれ、ジェンダー規範・社会的役割・助けを求める行動の男女差がその背景として国際的な研究で指摘されています。
孤独・孤立と自殺の関連
自殺の背景要因は複合的であり、単一の原因に帰することはできません。ただし、社会的孤立との関連については多くの研究が指摘しています。「頼れる人がいない」「悩みを打ち明けられる場所がない」状態が続くことが、精神的健康に深刻な影響を与える可能性があるとされています(精神保健上の具体的な診断・治療については、専門医や精神保健福祉センターへの相談が必要です)。
男性でこのリスクが高まる要因として、研究者は①「助けを求めることは弱さだ」というジェンダー規範による相談行動の抑制、②失業・離婚などのライフイベントによる役割喪失後のネットワーク消失、③定年後の人間関係縮小、を挙げています。これらはいずれも、社会的・文化的に形成されたジェンダー規範と深く関わっており、ジェンダー平等の推進がメンタルヘルスの格差是正につながる可能性があります。
現代的論点|2026年時点の到達点
2007年以降の主な法改正・新法
孤独・孤立問題をめぐる制度的対応は、2020年代に急速に整備されました。
- 孤独・孤立担当大臣の設置(2021年2月): 政府内に「孤独・孤立担当大臣」を設置し、省庁横断的な政策立案体制を構築。同年3月には「孤独・孤立対策の重点計画」を策定。
- 孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第45号、2023年6月7日公布・2024年4月1日施行): 孤独・孤立対策を国・地方公共団体・関係機関の責務として定めた基本法。第2条で孤独・孤立対策の基本理念を定め、第3条で国の責務、第4条で地方公共団体の責務を規定する。国民の理解の増進等(第9条)・相談支援(第10条)・人材の確保等(第12条)・調査研究の推進(第14条)が基本的な施策として置かれている。ジェンダーを含む多様な観点からの施策実施が求められています。
- 孤独・孤立対策重点計画(2024年度策定): 上記基本法第8条に基づき、内閣府に置かれた孤独・孤立対策推進本部(第20条)が作成。重点施策として、相談支援体制の強化・孤立リスクの高い層への積極的アウトリーチ・地域コミュニティの再構築支援が盛り込まれました。
- 自殺対策基本法(平成18年法律第85号)に基づく大綱改定(2022年): 「自殺総合対策大綱」(2022年10月閣議決定)では、孤独・孤立対策との連携が明記され、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す」という理念のもとで、男女・年齢別の対策強化が示されました。
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法の枠組みとコロナ禍対応(2020~2023年): コロナ禍における外出自粛要請・テレワーク推進が孤独・孤立問題を加速させたことを踏まえ、感染症対策と社会的孤立対策を両立する観点が政策に組み込まれました。
議論の現在地
孤独・孤立問題のジェンダー差をめぐっては、政策・研究の両面でいくつかの異なる視点が存在します。
女性のリスクに注目する立場からは、孤独・孤立問題は女性の方が深刻であるという見解が示されています。その根拠として、ひとり親世帯の相対的貧困率の高さ、非正規雇用率の男女差(女性の非正規比率は約54%・男性は約22%、2023年総務省労働力調査)、高齢単身女性の増加が挙げられます。経済的困窮と社会的孤立が重なる「複合的孤立」の深刻さが指摘されています。
男性のリスクに注目する立場からは、主観的孤独感の高さ・自殺死亡率の男女格差・相談行動の低さのデータから、「男性の孤独・孤立リスクは過小評価されてきた」という主張があります。男性向けの支援窓口・相談機関が女性向けに比べて少なく、利用率も低い現状が課題として挙げられています。
両論を踏まえた中立的整理として、内閣府の調査結果は、孤独・孤立リスクは男女ともに存在し、属性(年齢・世帯構成・就労状況・経済状況)によって異なるパターンを示していることを明らかにしています。「どちらがより深刻か」という二項対立ではなく、それぞれの背景要因に応じた支援設計が必要というのが、現時点での政策論議の方向性です。
残された課題
2026年時点においても、次の課題への対応は発展途上の段階にあります。
①性別を考慮した支援設計の不十分さ: 孤独・孤立対策推進法はジェンダー視点への言及を含むものの、具体的な性別データに基づいた施策設計はまだ不十分です。男性向け相談窓口は女性向けに比べて数が少なく、認知度も低い状況が続いています。
②縦断データの欠如: 内閣府の全国調査は2021年度から始まったばかりで、個人を長期追跡するパネルデータが乏しいです。これにより、孤独・孤立の「原因と結果」の因果関係解明が難しく、効果的な介入タイミングの特定が課題となっています。
③テレワーク普及後の職場コミュニティ変化への対応: リモートワークの常態化によって、職場での対面接触が減少し、特に若年層・中途入社者が職場のコミュニティに入りにくくなっているという報告があります。これへの対策はまだ体系化されていません。
④地方・農村部の孤立対策: 人口減少が続く地方では、地域コミュニティの担い手不足が孤立リスクを高めています。高齢者の孤立については自治体が対応を進めていますが、中年男性・ひとり親家庭など他の層への支援は手薄な地域が多いです。
孤独・孤立の構造的要因|ジェンダー別の背景
男性の孤立を生む役割規範
男性の孤独・孤立の背景には、「稼ぎ手規範(breadwinner norm)」と呼ばれる伝統的な性別役割分担意識が深く関わっています。仕事を通じた社会的役割・地位・人間関係が男性のアイデンティティと強く結びついているため、失業・定年・離婚などにより「役割」を失った際に、それに代わる新たなつながりを形成しにくい構造があります。
「男性は感情を表に出すべきでない」「弱みを見せてはいけない」「他者に頼るべきでない」というジェンダー規範は、悩みを相談する行動を阻害します。各種相談機関の利用率を見ると、男性は女性に比べて低い傾向があります(厚生労働省「相談支援体制の状況」各年度版)。
この規範は「有害な男らしさ(toxic masculinity)」とも呼ばれ、男性自身のウェルビーイングを損なうとして国際的な批判的男性学から問題視されています。男性が感情を表現することや、支援を求めることが社会的に受容されるよう、意識・制度両面からの変革が課題とされています。
女性の孤立を深める複合的要因
女性の孤独・孤立リスクは、経済的困窮・ライフステージの変化・無償ケア労働の過剰な負担が複合的に絡み合って生じます。
ひとり親世帯(母子世帯): 厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の年間収入の平均は約272万円で、父子世帯(約518万円)を大きく下回ります。経済的余裕がないことで、社会参加・友人との交流・地域活動への参加機会が制限されます。
非正規雇用の女性: 非正規雇用では、職場での安定した人間関係の構築が難しく、有給休暇取得率も低い傾向があります。育児との両立を図るために非正規を選択した女性が、結果として社会的ネットワークの形成機会を失うという逆説的な状況が生じています。
高齢単身女性: 厚生労働省「令和4年簡易生命表」によると、2022年時点の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年です。配偶者と死別後に長期間単身で生活する期間は男性より女性の方が長くなる傾向があります。子育て・介護の主な担い手として長年活動してきた女性が、その役割が終わったときにつながりを失うリスクも指摘されています。
比較表|男女別・孤独・孤立プロファイル
| 比較項目 | 男性の特徴 | 女性の特徴 |
|---|---|---|
| 主観的孤独感(深刻度) | 「しばしば・常にある」割合が若干高い(約4.8%) | 「しばしば・常にある」割合は若干低い(約4.2%) |
| 社会的ネットワークの特徴 | 職場・業界・役割ベースで、役割変化に脆弱 | 多様なつながり(友人・家族・地域)で比較的安定 |
| 相談行動 | 「相談できる人がいない」割合が高い。ジェンダー規範が抑制要因 | 相談行動は比較的積極的。ただし相談先の選択肢が経済状況に左右されやすい |
| 高リスク層 | 50~60代単身男性、定年退職直後の男性、長時間労働者 | ひとり親世帯の母親、非正規雇用の女性、高齢単身女性 |
| 孤立の主要トリガー | 失業・離婚・定年・配偶者との死別 | 育児による社会参加の減少・ひとり親化・配偶者との死別 |
| 自殺死亡率(2022年、人口10万対) | 約23.5(女性の約2.1倍) | 約11.4 |
| 主な経済的リスク | 失業・無業状態が孤立を加速しやすい | 非正規雇用・ひとり親による収入不安定が孤立を深める |
| 支援機関の利用状況 | 相談窓口の利用率が低い傾向 | 女性向け窓口の充実があるものの、利用ハードルが残る |
(出典:内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」2022年度、厚生労働省「令和5年版自殺対策白書」をもとに整理)
支援制度と相談窓口
孤独・孤立対策推進法に基づく支援体制
孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第45号)第9条から第14条にかけて、国及び地方公共団体が講ずべき施策として、①国民の理解の増進等(第9条)、②相談支援(第10条)、③関係者相互間の連携と協働の促進(第11条)、④人材の確保等(第12条)、⑤調査研究の推進(第14条)を定めています。同法第4条では地方公共団体の責務として、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、区域内の当事者等の状況に応じた施策を策定・実施することが求められています。
自治体によっては、孤独・孤立対策に特化した相談窓口や地域の支援ネットワーク構築を進めており、お住まいの市区町村の窓口への問い合わせが有効な場合があります。
主な公的相談窓口
- よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター): 電話番号 0120-279-338(24時間・無料)。孤独・孤立を含む様々な悩みに対応。
- こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省): 電話番号 0570-064-556。各都道府県の精神保健福祉センターに接続。
- いのちの電話: 電話番号 0570-783-556(毎日16時~21時、毎月10日は8時~翌8時)。孤独感・自殺念慮等の相談に対応。
- 法テラス(日本司法支援センター): 電話番号 0570-078374。ひとり親・離婚・貧困等に関連する法的問題の相談(経済困窮者には費用立替制度あり)。
- 内閣府孤独・孤立対策ページ: 孤独・孤立に関する相談先一覧を公開しており、お住まいの地域の相談窓口を確認できます。
心身の不調を感じる場合は、医療機関・精神保健福祉センター・専門相談窓口へのご相談をご検討ください。具体的な事案については、弁護士や専門家への相談をご検討ください。
まとめ
孤独・孤立のジェンダー差は、単純に「どちらの性別が深刻か」という問いには収まらない複雑な構造を持っています。主観的な孤独感の深さでは男性がやや高く、自殺死亡率でも男性が女性の約2倍という格差があります。一方、複合的な経済困窮・ケア負担との組み合わせによる孤立の深刻さでは、ひとり親女性・非正規雇用女性・高齢単身女性の状況を無視できません。
2023年に成立した孤独・孤立対策推進法は、この問題を国レベルの政策課題として正式に位置づけました。しかし、法律の成立は出発点にすぎず、ジェンダー別の実態データの蓄積・男性向け相談窓口の充実・女性の複合的孤立への重層的支援など、具体的な施策は発展途上です。
孤独・孤立を生む構造的要因——「稼ぎ手規範」による男性の役割依存的ネットワーク、非正規雇用・ひとり親・高齢単身による女性の経済的困窮——はいずれも、ジェンダー平等の推進と深く結びついています。男女共同参画社会の実現が、孤独・孤立リスクの低減にもつながるという視点から、統計データを継続的にウォッチしていくことが重要です。
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よくある質問
- Q. 孤独と孤立は何が違いますか?
- 孤独(loneliness)は、社会的つながりを望んでいるにもかかわらず得られないと感じる主観的な心理状態です。孤立(social isolation)は、社会的なネットワークから客観的に切り離されている状態を指します。一人でも孤独を感じないことがあり、逆に他者に囲まれていても孤独感を抱く場合があります。政策では両方の指標を使って実態を把握します。
- Q. 男性の方が孤独感が高いのはなぜですか?
- 内閣府の調査では、深刻な孤独感(「しばしばある・常にある」)は男性の方が若干高い傾向があります。背景として、「男性は弱みを見せてはいけない」というジェンダー規範が相談行動を阻害すること、職場中心のネットワーク構造が退職・失業時に崩れやすいことが指摘されています。ただし孤独感は年齢・世帯類型によっても大きく異なり、単純な男女比較だけでは実態を把握できません。
- Q. 孤独・孤立対策推進法とはどのような法律ですか?
- 2024年4月1日に施行された法律(令和5年法律第45号)で、孤独・孤立対策を国・地方公共団体・関係機関の責務として定めた基本法です。第2条で基本理念を定め、第3条で国の責務、第4条で地方公共団体の責務を規定し、国民の理解の増進等(第9条)・相談支援(第10条)・調査研究の推進(第14条)などを施策として置いています。
- Q. 女性が孤立しやすい状況とはどのようなものですか?
- 女性の孤立リスクが高まりやすいのは、①ひとり親世帯となった場合(経済的困窮+時間的余裕の欠如)、②育児期の非正規雇用への移行(職場ネットワークの縮小)、③高齢単身期の長期化(配偶者死別後の孤立)です。経済的困窮と社会的孤立が重なる「複合的孤立」の深刻さが指摘されています。
- Q. 孤独・孤立感を感じたらどこに相談すればよいですか?
- よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)やいのちの電話(0570-783-556)が利用できます。法的な問題が絡む場合は法テラス(0570-078374)への相談が可能です。自治体の男女共同参画センターや精神保健福祉センターも、孤独・孤立の相談に対応しています。まずは最寄りの窓口に連絡してみることをおすすめします。
- Q. 男性育休の普及は孤独・孤立の予防につながりますか?
- 育児参画を通じて、職場外での多様な人間関係(育児コミュニティ・地域活動等)を構築するきっかけになる可能性があります。役割ベースの職場ネットワークへの過度な依存を減らし、ライフステージの変化に伴う孤立リスクを低減する効果が期待されています。ただし育休取得の効果には個人差があり、本人の希望・職場環境・育休後のキャリア設計との整合性も重要です。
