育児や介護を機に仕事を辞める経験は、日本の働く女性にとって今も身近な現実です。国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」や厚生労働省「雇用均等基本調査」が示すデータによれば、第1子出産後に離職する女性の割合は2000年代初頭の約60~70%から改善が続いているものの、2020年代前半時点でも40%前後が出産を機に離職するという傾向が確認されています。介護を理由に離職する人は年間約7~10万人規模にのぼり、その大半が女性であることも、複数の統計調査で一貫して示されています。
問題はキャリアを中断すること自体にとどまりません。復職後の賃金水準が中断前を大幅に下回るケース、非正規雇用への移行、管理職への昇進が著しく遅れる現象など、「見えにくい格差」が積み重なることが経済学研究やパネルデータ分析から明らかになっています。こうしたキャリア中断による賃金への「傷跡効果(スカーリング)」は老後の年金格差にまで連鎖し、高齢期の女性貧困リスクを高める構造的要因ともなっています。
本記事では、育児・介護に起因する女性のキャリア中断に関する主要な統計データを整理し、復職後の賃金格差の実態、2007年以降の法整備の到達点と残された課題を体系的に解説します。人事・労務担当者、政策立案に関わる方、あるいは自身のキャリアを見つめ直したい方が、現状を数字で把握するための基礎資料として活用いただける内容です。

キャリア中断とは何か|定義と統計的な位置づけ
「キャリア中断」の概念と日本の統計上の扱い
キャリア中断(英語: career break)とは、育児・介護・疾病・学習などを理由に、継続的な雇用から一時的に離脱することを指す概念です。日本の公式統計では「離職」「退職」として計上されるケースが多く、育児休業(以下「育休」)を取得し職場に復帰した場合は「就業継続」として扱われます。そのため、「離職率」という数字だけでは実態の全体像が見えにくい点に注意が必要です。
政策文書では長く「M字カーブ(エム字カーブ)」という言葉が使われてきました。これは女性の就業率を年齢別に示した折れ線グラフが、育児期(30代前後)に谷を形成し、アルファベットのMに似た形を描く現象です。近年はM字の谷が浅くなりつつある一方、管理職・専門職への就業率を別途示すと依然として「L字カーブ」が観察されるという指摘もあります。就業率が回復しても、キャリアの質・水準が戻っていないことを示すデータとして注目されています(女性就業率・M字カーブの変化|統計データとL字カーブ問題【2026年版】参照)。
主要な調査・統計ソース
キャリア中断に関するデータは、複数の省庁・研究機関が継続的に収集・公表しています。主な調査源を以下に示します。
- 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(夫婦調査)」: 第1子出産前後の就業変化を長期的に追う最重要調査のひとつ。おおむね5年ごとに実施。
- 厚生労働省「雇用均等基本調査」: 事業所・個人を対象に育休取得率・職場復帰率等を毎年調査。直近の育休取得率の推移が確認できます。
- 総務省「就業構造基本調査」: 5年ごとに実施。育児・介護による離職状況、転職・無業の動向を包括的に捉えます。
- 内閣府「男女共同参画白書」: 年次刊行。就業率・管理職比率・育休・介護離職等の統計を一元的にまとめており、政策動向と統計を同時に把握するための基礎資料です(男女共同参画白書とは|統計データで見る日本の現状と課題【2026年版】参照)。
- OECD「Family Database」「Employment Outlook」: 国際比較の際に参照される代表的なデータベース。日本のデータも収録されています。
これらの調査は、調査年・調査対象・定義が異なるため、数値を横断的に比較する際には出典の確認が不可欠です。
育児によるキャリア中断の実態データ
第1子出産前後の離職率の推移
「第1子出産前後の就業変化」について最も広く引用されるのが、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査(夫婦調査)」です。同調査によれば、正規雇用として働いていた女性が第1子出産後も正規雇用を継続した割合は上昇傾向が続いており、2000年代初頭に約30%前後だったものが、2020年代前半には50%を超える水準へと改善が進んでいます。一方、非正規雇用・派遣・有期契約の女性については育休取得要件(同一事業主に引き続き1年以上雇用されていること等)が課されており、制度の恩恵が届きにくい層の離職率は依然として高い水準にあるとみられています。
全体で見た「出産を機に離職した女性の割合」は、2000年代初頭の約60~70%から2020年代には約40%前後へと低下している一方、依然として4割近くが職を離れているという事実は、出産・育児が女性のキャリアに与える影響の大きさを示しています。雇用形態によって就業継続率に大きな格差があることも見逃せない点です(非正規雇用のジェンダー格差|統計データで見る女性の雇用構造と2026年の課題参照)。
育休取得率と就業継続率の関係
厚生労働省「雇用均等基本調査(2024年度版)」によると、育休取得対象者に占める女性の育休取得率は80%台を維持しており、取得率自体は高水準です。育休を取得した女性の多くは元の職場に復帰しますが、復帰後1~3年以内に再離職する割合も一定数報告されています。復帰後の離職理由として多く挙げられるのは、業務担当の縮小・評価上の不利益感、保育所確保の困難、子どもの体調不良への職場の理解不足などです。
マタニティハラスメント(マタハラ)やパタニティハラスメント(パタハラ)が就業継続を妨げる要因となるケースも指摘されています。男女雇用機会均等法(最終改正: 令和7年法律第63号・2025年6月11日施行)第11条の3(2026年10月1日以降は第15条)では事業主のマタハラ防止措置義務が定められており、違反事業者に対しては厚生労働大臣による助言・指導・公表といった措置が設けられています。
育休を取得せず離職する背景
育休を取得せずに離職する背景として、厚生労働省の調査では「職場に育休を取りにくい雰囲気があった」「仕事への復帰が見込めなかった」「収入面の不安」「制度の対象外(非正規・短期雇用)」などが挙げられています。特に「職場雰囲気」は、制度整備が進んだ今もなお上位理由に挙がる点が特徴的です。法律が権利を定めていても、職場の慣行・意識が変わらなければ、実質的な利用は困難であることを示す統計上のエビデンスとも言えます。
また、正規雇用で出産した場合と非正規雇用で出産した場合では、育休取得率・就業継続率に顕著な差があります。非正規雇用で第1子を出産した女性の離職率は正規雇用者を大幅に上回る傾向があり、雇用形態によって保護の厚さが大きく異なるという「二重構造」が統計に映し出されています。
介護によるキャリア中断の実態データ
介護離職者数と男女比
総務省「就業構造基本調査(2022年)」によれば、介護・看護を理由に離職した人は年間約10万人規模とされており、そのうち女性が占める割合は約7~8割にのぼります。育児離職の場合と同様、介護の担い手が女性に偏重しているという実態が統計に反映されています。男性の介護離職者も増加傾向にありますが、総数における女性の比率は依然として高い状態が続いています。
介護離職が集中しやすい年齢層は40代後半~50代であり、職場でのキャリアが充実する時期と重なります。この年代に管理職候補・専門人材が職場を離れることは組織の人材損失であるとして、政府は「介護離職ゼロ」を政策目標に掲げ、育児・介護休業法(最終改正: 令和6年法律第42号・2025年10月1日施行)による介護休業・介護短時間勤務・介護休暇等の整備を進めてきました。
介護離職後の就業復帰状況
育児離職と異なり、介護離職後の就業復帰は一般的に困難とされています。介護は育児と異なって終了時期が不確定であり、状況が長期化・重度化するリスクがあります。厚生労働省の調査では、介護離職後に就業へ復帰した人の比率は育児離職後の復帰率を下回る傾向があり、復帰できた場合も非正規雇用や短時間勤務での復帰が中心となっています。
介護と育児を同時に担う「ダブルケア(ダブルケアとは|育児と介護を同時に担う実態と法的支援制度【2026年版】)」の状況では、双方の休業制度の利用が重なり、就業継続がより困難になるケースも報告されています。制度設計の谷間に落ちやすいこの層の統計的把握は、2026年時点でもまだ十分ではありません。
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復職後の賃金格差と「傷跡効果」
傷跡効果(スカーリング)とは何か
傷跡効果(Scarring Effect)とは、過去の失業・離職が長期にわたって個人の賃金・雇用条件に影響を与える現象を指す経済学の概念です。育児や介護を理由としたキャリア中断にも同様の傷跡効果が確認されており、日本では主に次の3つの経路で賃金格差が生じるとされています。
第1に、職場・業界知識のブランクによる評価低下です。技術革新の速い分野では数年のブランクが職務能力の劣化として評価されやすく、復職時の賃金査定や担当業務の範囲に影響します。第2に、勤続評価の断絶です。日本型雇用慣行では勤続年数が評価基準のひとつであり、中断期間があると昇進・昇給のタイミングで不利に扱われるケースが報告されています。第3に、非正規雇用への移行です。復職時に正規から非正規・パートタイムに切り替わった場合、時間当たり賃金の低下のみならず、賞与・退職金・社会保険等を含む年収水準が大幅に下がります。
復職後の賃金水準に関するデータ
労働政策研究・研修機構(JILPT)や国立女性教育会館(NWEC)が公表してきた個人追跡データ(パネルデータ)の分析では、育休を取得せずに離職・再就職した女性の賃金水準は離職前を大きく下回るケースが多く、特に正規から非正規への移行が生じた場合の賃金低下幅は顕著とされています。
一方、育休取得後に元の職場に正規で復帰した女性については、賃金の連続性がある程度保たれるという分析もあります。しかし「昇進・昇格の遅れ」という形での「見えにくい格差」が生じているとの指摘が相次いでおり、内閣府の調査では管理職比率が低いまま推移する「L字カーブ問題」として統計に現れています。育休取得率が向上しても管理職比率の改善が遅れるという現象は、傷跡効果が賃金水準のみならず「キャリアの軌跡」に刻み込まれることを示しています。
生涯賃金・老後の年金への連鎖的影響
キャリア中断の影響は現役期にとどまりません。厚生年金は報酬比例部分を含むため、正規雇用で働き続けた場合と、非正規雇用・専業主婦期間を挟んだ場合とでは、生涯受給額に大きな開きが生じる可能性があります。育児や介護で職を離れた期間が長いほど、また復職後の賃金水準が低いほど、老後の年金額は少なくなる傾向があります。
こうした年金格差の問題は老齢年金の男女格差統計|第3号被保険者と受給額データ【2026年版】で詳しく取り上げています。また、現役期に賃金格差が生じることで、退職後の蓄積資産にも差が生まれ、高齢女性の貧困リスクにつながるという「格差の連鎖」は男女間賃金格差とは|統計データで見るジェンダーペイギャップと是正策【2026年版】でも論じられています。
現代的論点|2026年時点の到達点
2007年以降の主な法改正・新法
育児・介護とキャリアの両立支援に向けた法整備は、2007年以降に大きく前進しました。主な改正を時系列で示します。
- 2007年: 育児・介護休業法改正 ― 3歳未満の子を育てる労働者への短時間勤務制度の義務化、所定外労働免除規定の整備
- 2009年: 同法改正 ― パパ・ママ育休プラス(父母ともに育休を取得した場合の期間延長)導入、子の看護休暇の取得単位の細分化
- 2016年: 女性活躍推進法施行 ― 301人以上の事業主に対し、女性の採用・登用に関する行動計画の策定と公表を義務化
- 2019年: 女性活躍推進法改正 ― 対象企業の範囲を101人以上に拡大、情報公表の強化
- 2022年: 育児・介護休業法改正 ― 産後パパ育休(出生時育児休業)の新設、育休取得意向確認の義務化、男性育休取得率の公表義務を段階的に拡大
- 2025年: 育児・介護休業法改正施行 ― 子の看護等休暇の対象年齢拡大・取得事由の拡充、柔軟な働き方確保措置(テレワーク・時短勤務・フレックス等の選択肢提示)の全企業への義務化
これらの改正は一定の効果をあげており、育休取得率の上昇という統計上の変化として現れています。ただし法制度の整備と職場実態の変化には時差があり、特に中小企業・非正規雇用者への制度普及には課題が残っています。
議論の現在地
2026年時点での議論の焦点は、「育休取得率の向上」から「育休後のキャリア継続・昇進の公平性」へと移行しつつあります。
就業継続・昇進機会の拡充を求める立場からは、評価制度の見直し(勤続年数優遇の緩和・成果主義への転換)や、男性の育休取得促進による「育児はもっぱら女性が担うべき」という職場意識の転換が必要であるとの主張が示されています。女性活躍推進法による情報公開義務が「名目的平等から実質的平等」へのモニタリングツールとして機能しているとの評価もあります。
一方で、短時間勤務の長期化が職種・職域の制限(いわゆるマミートラック)につながりやすいという問題が指摘されています。また、「育休取得率」という単一指標に注目が集まることで、育休を取得したものの職場に実質的な居場所がなくなるケース、あるいは復帰後に以前とは異なる軽い業務に回されるケースが「見えにくい」状態になるとの懸念もあります。統計の数字が改善しても「実態としての平等」が達成されているかどうかを問い続ける視点が重要です。
残された課題
2026年時点でも解消されていない主な課題は次のとおりです。
①非正規雇用・フリーランスへの制度適用: 育休・介護休業の給付・取得要件が正規雇用者に有利に設計されており、有期・派遣・業務委託で働く女性には恩恵が届きにくい状況が続いています。2024年施行のフリーランス保護法がハラスメント規定を整備したものの、休業給付の仕組みは未整備のままです。
②復職後の昇進格差の定量モニタリング: 育休取得率の公表は進んでいますが、「育休後に昇進機会が同等に提供されているか」「育休取得者と非取得者の昇給格差はどの程度か」を企業別・産業別に把握できる統計体制は十分でありません。EBPMの観点からも、政策の有効性を検証するためのデータ整備が課題です(EBPM(証拠に基づく政策立案)と男女共同参画統計|データで政策を変える仕組みと2026年の現状参照)。
③ダブルケアと制度の谷間: 育児と介護を同時に担う世帯は制度の谷間に落ちやすく、育介法の休業期間・給付水準の組み合わせが複雑になります。この層を支える総合的な統計・支援体制の確立は、今後の政策的宿題です。
国際比較で見るキャリア中断の影響
主要国における育児・介護を理由としたキャリア中断と復職後の状況を比較した概況を示します。数値は調査年・調査手法により異なるため、傾向の参考として参照してください。
| 国・地域 | 育休後の正規就業継続 | 復職後の賃金への影響(概況) | 特徴的な政策 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 取得率は高いが、正規→管理職への転換率は低い | 非正規移行で賃金低下が顕著。生涯賃金格差は大きい | 育休取得率公表義務化(2023)、産後パパ育休(2022) |
| スウェーデン | 育休後の正規復帰率が高く、管理職比率も維持 | 育休が賃金・昇進に与える影響は相対的に小さい | 父親育休のクォータ制(8週間・父親のみ取得可能分) |
| ドイツ | 育休後の正規復帰は増加傾向 | 長期育休(3年)が賃金に与える影響についての研究あり | 育児給付金(Elterngeld)の充実、父親育休の普及を推進 |
| 韓国 | 制度整備は進むが職場実態とのギャップが残る | 復職後の賃金回復に課題。女性管理職比率は低水準 | 配偶者出産育休の義務化、育休給付引き上げ |
| アメリカ | 連邦法による有給育休制度がなく州・企業差が大きい | 育休制度のない職場での離職後は復帰困難の報告が多い | FMLA(無給・12週間)が基本、州法・企業制度に依存 |
(出典: OECD Family Database、ILO World Social Protection Report、内閣府男女共同参画白書等を基に概況を整理。数値は概算であり、調査時点により変動する。)
OECDのデータでは、日本は育休制度の法定整備度が高い国のひとつに位置づけられる一方、実際の育休後の就業継続・管理職転換では先進国中で低い水準にとどまるとされています。制度の整備と職場文化の変革の乖離が、国際比較においても課題として指摘されています。
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相談窓口・参考リソース
育児・介護をめぐるキャリアの問題について相談できる主な公的窓口を示します。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室): 育休取得拒否・マタハラ等の職場トラブルについて、無料で相談・あっせんを受け付けています。
- 法テラス(日本司法支援センター): 電話番号 0570-078374(平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00)。法律相談について弁護士・司法書士を紹介する公的支援機関です。
- よりそいホットライン: 電話番号 0120-279-338(24時間。DV・生活困窮など複合的な困難を抱える方も含め対応)。
具体的な事案については、弁護士など専門家への相談をご検討ください。
まとめ
女性のキャリア中断は、「個人の選択」というより、雇用形態・職場環境・育児介護の社会的受け皿の充実度に強く規定される構造的な問題です。統計が示す「第1子出産後の離職率」「介護離職者数」「復職後の賃金低下」は、個々人の境遇に見えて、制度設計と職場文化の結果として集積したデータです。
2007年以降の法整備は、育休取得率という指標の改善に確実に貢献しています。しかし復職後の昇進格差・生涯賃金格差・老後の年金格差というデータが示すように、「就業継続」と「キャリアの実質的平等」は別の問題として区別して考える必要があります。統計を読む際には、取得率・復職率といった一次指標の背後にある「質の格差」を問い続けることが、政策評価にも個人の判断にも欠かせない視点です。
今後の動向として注目されるのは、育休後の昇進格差・賃金格差を企業別に可視化する情報公開の拡充と、非正規・フリーランス層への制度適用の拡大です。これらの課題がどのように具体化されるか、継続的に統計データとともにウォッチしていくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 育休を取得しても、復職後に賃金が下がることはありますか?
- A. 育休取得後に元の職場へ正規で復帰した場合、直接的な賃金カットは違法とされる可能性がありますが、昇進・昇格の遅れという形での賃金格差が生じる事例が報告されています。また、復職後に短時間勤務を選択した場合は、給与の総額が減少することがあります。個別の状況については、都道府県労働局や専門家への相談が推奨されています。
- Q. 第1子出産後の離職率は統計上どのくらいですか?
- A. 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」等によれば、2000年代初頭は約60~70%が出産を機に離職していましたが、育休制度の整備に伴い2020年代には概算で40%前後まで低下しているとされています。ただし雇用形態によって大きな差があり、非正規・有期雇用では依然として離職率が高い傾向があります。
- Q. 介護離職後、再就職はできますか?
- A. 介護離職後の就業復帰は、育児離職後に比べて困難な傾向があると複数の調査が示しています。介護の終了時期が不確定であること、スキルのブランクが生じやすいことなどが理由として挙げられます。復職できた場合も非正規・短時間勤務での復帰が多く、賃金水準の低下が生じやすいとされています。ハローワークの専門窓口(マザーズハローワーク等)への相談も選択肢のひとつです。
- Q. 育休取得率は今後も改善が続くと見られますか?
- A. 2025年施行の育児・介護休業法改正により、企業規模を問わず育休取得意向確認・柔軟な働き方確保措置の提示が義務化されたことで、取得率のさらなる改善が期待されています。ただし取得率の向上が「復職後のキャリア継続の公平性」の改善に直結するかどうかは別の問題であり、昇進格差・賃金格差への対策が政策の次の焦点とされています。
- Q. キャリア中断後の賃金格差を「傷跡効果」と呼ぶのはなぜですか?
- A. 傷跡効果(Scarring Effect)は経済学の用語で、過去の離職・失業が将来の賃金・雇用条件に長期にわたって影響を残す現象を指します。育児・介護を理由としたキャリア中断においても、勤続年数の断絶・評価の連続性の喪失・非正規移行などを通じて、復職後も賃金水準や昇進機会に影響が続く傾向が確認されており、この比喩的表現が定着しています。
- Q. 生涯賃金や年金への影響はどのくらい大きいですか?
- A. 具体的な金額は職種・賃金水準・中断期間・雇用形態によって大きく異なりますが、正規雇用を継続した場合と育児・介護で非正規雇用へ移行した場合とでは、生涯賃金・退職金・老後の厚生年金受給額に数百万円規模の差が生じる可能性があるとする試算も研究者から示されています。個別の試算については、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士への相談が参考になります。

